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コラム

第301回 受賞ニュース

2012.04.10

平成23年度の最後を飾るかのように,3月に終わりに2件の受賞ニュースが届きました.

1件目は平成23年度工学研究科学生表彰で,修了生の村上 隆治君が受賞し3月22日に授賞式が行われました.
工学研究科学生表彰は本研究科の優秀な学生を表彰するもので,今年度,新設された表彰制度です.
村上君はシステムサイバネティクス専攻博士課程前期生の中から,ただ1名表彰されました.

2件目は日本人間工学会中国・四国支部優秀論文賞で,昨年,下関市で開催された日本人間工学会第44回中国・四国支部大会においてM1の中村 豪君(発表当時B4)が発表した以下の論文が受賞しました.
この大会で発表された69件の研究論文の中で第1位という高い評価を獲得しました.

日本人間工学会中国・四国支部優秀論文賞(2012)
対象論文:Otto Bock筋電義手操作を目的としたバーチャルトレーニングシステム
中村 豪, 村上 隆治, 芝軒 太郎, 島 圭介, 栗田 雄一, 辻 敏夫, 大塚 彰, 陳 隆明
日本人間工学会中国・四国支部九州・沖縄支部合同開催支部大会講演論文集, pp. 84-85, 2011.
受賞日:2012年3月31日

これらの賞は,本人の努力に加えて,研究を支えてくれたグループメンバー,さらには研究室メンバー全員の協力があってはじめて受賞することができたのだと思います.

春から縁起の良いニュースが届きました.
この調子で今年度も引き続き,高いレベルの研究を目指していければと思います.

第300回 平成24年度(2012年度)のスタート!

2012.04.03

去る3月23日に平成23年度(2011年度)広島大学学位記授与式(卒業式)が行われ,本研究室からは博士課程前期11名,学部8名の計19名が修了/卒業しました.

博士課程前期修了生の井上 晴仁君,植野 岳君,来山 茂央君,久保 諒祐君,小松 雄亮君,齋藤 牧紀君,中原 裕貴君,平松 侑樹君,堀内 徹也君,村上 隆治君,山田 泰隆君は修士(工学)の学位を得て,就職のためそれぞれの勤務地に向かいました.

学部卒業生には学士(工学)の学位が授与され,伊藤 達也君,伊藤 雅史君,末田 大和君,中村 豪君,早志 英朗君,福地 智宏君,宮本 健太郎君の7名は本学大学院工学研究科博士課程前期に進学しました.

また,佐々木 桂一君は就職のため研究室を離れました.

全員,それぞれの道で活躍されることを祈ります!

研究室を離れる12名と入れ替わるようにして,新しいメンバー9名が本研究室に加入しました.
M1の清岡 雅弘君,高間 蓮成君,4年生の今儀 潤一君, 氣比田 晃士君,櫻田 浩平君,佐藤 純平君,松岡 玄樹君,右田 涼君,森本 将斗君です.

今年も若くて元気のよい素晴らしいメンバーが集まってくれました.
最初はいろいろと戸惑うこともあるかと思いますが,新しい経験が力となって蓄積されていくと信じます.
何事にも積極的に取り組んでいくとよいでしょう.
院生,共同研究者のみなさん,サポート,よろしくお願いします.

2012度の研究室メンバー構成は,教員3名,秘書1名,博士研究員2名,博士課程後期学生6名,博士課程前期学生19名,学部生7名の計38名です.
今年度もメンバー全員が互いに助け合うことによってオリジナリティに溢れた魅力的な研究活動を展開し,少しでも世の中のためになるような研究成果を発信していければと思います.
今年度もどうぞよろしくお願いします!

第299回 2011年度全体ゼミは今日で終了しました

2012.03.02

2月29日(水)に行なわれた修士論文発表会も無事終了し,今日で2011年度の全体ゼミも終了です.
修士論文発表会では以下の11名が発表を行ないました(発表順).

  • 山田 泰隆
    Virtual C.elegans: A Dynamic Neuro-Body Model for Chemotaxis simulation
    バーチャル線虫: 神経-身体動力学モデルを用いた走化性シミュレーション
  • 来山 茂央
    Unconstrained and Noninvasive Measurement of Swimming Behavior of Small Fish Based on Ventilatory Signals for a Bioassay System
    呼吸波計測に基づく小型魚類遊泳行動の非接触・非拘束計測法の提案とバイオアッセイシステムへの応用
  • 齋藤 牧紀
    A Comparison Between Human Sense of Smell and the Neural Activity of the Olfactory Bulb in Rats
    ラット嗅球の神経活動パターンとヒトのニオイ感覚の比較
  • 平松 侑樹
    A Novel Recurrent Probability Neural Network for Dual-arm Motion Discrimination and Its Application to Human-Machine Interfaces
    双腕動作識別のためのリカレント確率ニューラルネットの提案とジェスチャを用いたヒューマン・マシンインタフェース
  • 村上 隆治
    A Skill Training System for EMG-based Prosthetic Hand Using VR Technology
    VRを利用した筋電義手操作トレーニングシステム
  • 植野 岳
    Cybernetic Rehabilitation Aid: A Rehabilitation System for Joint Movements Using EMG Signals and Tactile Stimulation
    サイバネティックリハビリテーションエイド: EMG信号と触覚提示を用いた関節運動リハビリテーションシステム
  • 堀内 徹也
    Omnidirectional Log-Linearized Arterial Viscoelastic Index and Its Application to Intravascular Ultrasound Examination
    方向依存性対数線形化血管粘弾性モデルの提案と血管内超音波画像計測への応用
  • 久保 諒祐
    Noninvasive Evaluation of Endothelial Function Based on Dilation Rate of Integrated Air-cuff Plethysmogram
    積分カフ脈波拡張率に基づく血管内皮機能の非観血評価
  • 小松 雄亮
    Development of Vital Sign Monitoring System with Air-pack Sensor
    エアパックセンサを利用したバイタルサインモニタリングシステムの開発
  • 井上 晴仁
    Analysis of Viscosity Perception Property in Circle Tracing Task with Bimanual Arm Movements
    両腕での円軌道追従タスクにおける粘性知覚特性の解析
  • 中原 裕貴
    Steering Control System Based on Human Arm Impedance Properties for Emergency Avoidance Assistance
    緊急回避支援のための上肢運動インピーダンス特性を考慮したステアリング制御系

全員,オリジナリティにあふれた魅力的な研究内容で,学生生活の最後にふさわしい発表会になりました.
最後の最後まで発表内容を改善しようという姿勢も素晴らしかったと思います.
あとはそれぞれの研究課題や問題点を整理し,後輩たちがスムーズに研究をつなげるよう,最後のまとめと引継ぎをしっかりお願いします.

修論発表会,おつかれさまでした!

今日で2011年度の全体ゼミは終了しますが,2012年度卒業研究テーマ説明会が3月5日(月)に,研究室公開(オープン・ラボ)が3月6日(火)10:00-17:00に予定されています.
また,3月14日(水)には新しい4年生が研究室に配属され,新年度に向けての活動を開始します.
4月3日(水)には,研究室の新メンバーでの2012年度第1回全体ゼミを行なう予定です.

振り返るとあっという間の一年でしたが,研究室としては非常に充実した良い一年でした.
みなさん,1年間,本当にごくろうさまでした!
研究室のメンバーは変わりますが,新年度も,グループ内,グループ間の結束をさらに進め,みんなで協力&競争しながら良い活動を続けていければと思います.

来年度も引き続き,どうぞよろしくお願いします!

第298回 2011年度卒論発表会,終了しました

2012.02.24

2011年度の卒業論文発表会が2月22日(水)に行われ,本研究室からは4年生8名が1年間の研究成果を発表しました.
発表者と研究題目は以下のとおりです(発表順).

  • 宮本 健太郎
    小型魚類を利用した水質監視用バイオアッセイシステムの開発
  • 伊藤 達也
    次元圧縮型リカレント確率ニューラルネットを用いたブレイン・マシン・インタフェース
  • 早志 英朗
    判別成分分析に基づく新しい次元圧縮型リカレント確率ニューラルネット
  • 中村 豪
    MYOBOCK操作を目的としたバーチャルトレーニングシステム
  • 佐々木 桂一
    上肢筋骨格モデルを利用した運動効率性評価
  • 末田 大和
    確率共鳴現象による知覚感度向上に関する考察
  • 伊藤 雅史
    指タップ運動中の自律神経活動評価
  • 福地 智宏
    電磁誘導を利用した頸動脈波センサの開発

全員,この1年間の研究成果がよくあらわれた発表で,研究内容,プレゼンテーション,質疑応答とも最高レベルの卒論発表会だったと思います.
もちろん,いろいろな課題が残った人もいると思いますので,各自,自分自身の発表や質疑応答をもう一度,精査し,プレゼンテーションや研究内容に関する今後の課題を明確にしておくとよいでしょう.
次の研究発表の機会にはさらによい発表ができると信じます.

これまで日々指導をしてくれた各グループの先輩たちに感謝しつつ,自分の研究に自信と誇りを持ち,より高いレベルの卒業論文完成を目指して引き続きがんばってください.

卒論発表会,おつかれさまでした!

第297回 2011年度卒業論文・修士論文発表会

2012.02.09

2011年度の卒業論文・修士論文発表会の日程が決定しました.

<卒論発表会>
日時:平成24年2月22日(水) 9:00〜10:20(予定)
場所:工学部103講義室

<修論発表会>
日時:平成24年2月29日(水) 9:30〜12:15
場所:工学部103講義室

卒論発表会ではB4の8名が,修論発表会ではM2の11名が研究発表を行う予定です.

発表会まであと2〜3週間となったこの時期,発表に向けていま一度,それぞれの
・研究の意義・目的,
・従来研究の流れと問題点,
・自分の研究のセールスポイント(新規性・有用性),
・何ができたのか・できなかったのか,
・今後の課題
などについてよく考察し,発表のストーリがわかりやすく,かつ魅力的かどうか,確認しておくとよいでしょう.

1年間かけて行った研究内容を割り当てられた短い時間で発表することは至難の業ですが,できるだけわかりやすい発表にしたいですね.
研究内容については,全員,十分に魅力的だと思いますので,自信を持ってその魅力をアピールするとよいでしょう.

学生生活の総決算にふさわしい内容の発表を期待しています.
ゴールまでもう一息,がんばってください!!!

第296回 ロボットリハビリテーションセンター

2012.02.02

兵庫県立総合リハビリテーションセンター内にある兵庫県立リハビリテーション中央病院には,今年度からロボットリハビリテーションセンターが設置されています.
http://www.hwc.or.jp/hospital/robot/

このロボットリハビリテーションセンターは,「ロボットテクノロジーをリハビリテーション手段として活用し,効果的なリハビリテーション手法を開発・提供すること」を目的として設立されたもので,センター長は本研究室の共同研究者でもある陳 隆明先生です.
陳先生は兵庫県立リハビリテーション中央病院のリハビリテーション科部長・整形外科部長も併任されており,日本の電動義手処方分野における第一人者です.
生体システム論研究室では筋電グループを中心として筋電義手・バイオリモート研究会を開催しており,数年前から陳先生に参加していただいています.

平成24年1月21日(土)から約1週間,筋電グループの村上 隆治君,中村 豪君がロボットリハビリテーションセンターに滞在し,本研究グループで開発中の筋電義手操作トレーニングシステムの臨床実験を行いました.
実験には,総合リハビリテーションセンターの患者さんや作業療法士,義肢製作所の方々がご協力くださり,ほぼ計画通りにトレーニング効果の検証実験を行うことができました.

研究室で開発した基礎的な技術を,実際の医療現場で役立つレベルにまで高めていくことは容易なことではありません.
けれども,私たち生体システム論研究室で開発した技術シーズを核として,医師や療法士の方々との医工連携,協力企業の方々との産学連携を組み合わせれば,世界標準技術の確立も夢ではないでしょう.
本研究室独自の工学技術を駆使し,治療を受けておられる患者さんや医療に携わっておられるメディカルスタッフの方々を効果的に支援できるよう,今後も取り組んでいければと思います.

第295回 学会シーズンの終わりに

2012.01.24

そろそろ1月も終わりに近づいていますが,この1週間の間に学会関係のイベントが2件ありました.

1件目は国際会議で,A-lifeグループD2の服部 佑哉君が The Seventeenth International Symposium on Artificial Life and Robotics (AROB 17th ’12)に参加し,線虫(C.elegans)の咽頭筋モデルに関する研究発表を行いました.
AROBはA-life関係の国際会議で,これまでにもA-lifeグループのメンバーが何度も研究発表を行っています.

2件目は計測自動制御学会中国支部支部賞表彰式で,筋電グループM2の村上 隆治君が第20回計測自動制御学会中国支部学術講演会奨励賞を受賞しました.
よかったですね!
おめでとうございます!

以下は服部君の発表議事録,村上君の授賞式レポートです.
今年度も残り2か月余りとなりましたが,良い状態で終わりを迎えられそうです.
B4,M2のみなさんもラストスパート,がんばってください!

国際会議発表議事録

■学会情報
17th International Symposium on Artificial Life and Robotics (AROB2012)
開催日:2012年1月19〜21日
場所:大分県別府市別府国際コンベンションセンター http://isarob.org/

■発表論文
An electrophysiological model of the pharyngeal muscle in Caenorhabditis elegans
Yuya Hattori, Michiyo Suzuki, Zu Soh, Yasuhiko Kobayashi and Toshio Tsuji
The Seventeenth International Symposium on Artificial Life and Robotics 2012, GS5-2, Oita, Japan, Jan. 19-21, 2012.

■質疑応答
Q1.数理モデルで生物の機能を解明する従来研究はあるのか.
A1.線虫では,化学走性に関するモデルや温度走性に関するモデルがあります.
その他の生物では,バッタの歩行リズムを生成する神経回路やヤツメウナギの神経回路をモデル化した研究があります.

Q2.細胞モデルの膜電位がきれいな形で出ているが,簡単にこのような形を出すことができるのか.
A2.膜電位の形は,細胞モデルに含まれているパラメータの値で決まります.
もちろん,膜電位が変な形となるパラメータの値もあります.
手作業でこのパラメータの値を決めるのは非常に難しいですが,モデルと共に提案したパラメータ調整法を使えば,ある程度簡単にパラメータを決めることができます.

■感想
セッションの議長の先生がなかなか来なかったり(迷子になっていたそうです),前の発表が終わった直後にPCがフリーズしたり,セッションの参加者が非常に少なかったりといろいろとハプニングがありました.
発表は特に緊張しなかったのですが,生物系の専門用語の発音が難しかったため,正しく伝わったかどうか不安な点がいくつかありました.
発表後に,生物系の先生に「面白い研究.生物系の人はモデルを扱うことが難しいから,このモデルを生物の機能解明に使ってほしい」と言っていただけたので,安心しました.

授賞式レポート

対象論文:
筋電義手操作のためのバーチャルトレーニングシステムの提案と仮想Box and Block Testの提案
村上 隆治, 芝軒 太郎, 島 圭介, 辻 敏夫, 大塚 彰, 陳 隆明
第20回計測自動制御学会中国支部学術講演会論文集, pp.154-155, Nov.26-27, 2010.

<計測自動制御学会中国支部 平成24年支部会議>
場所:広島工業大学 三宅の森 Nexus21 703室
日時:2012年1月19日(木) 14:00〜14:15
受賞名:第20回計測自動制御学会中国支部学術講演会 奨励賞
授与者:計測自動制御学会中国支部支部長 玉野 和保
受賞者:村上 隆治

感想:
日頃の研究の成果が評価されてうれしく思います.
研究室内での1回1回の発表を大切にしてきたことや,就職活動をとおしてはじめて研究発表を聞く人にも分かりやすく説明することを心がけた結果だと思います.
修論発表・提出締切が近づいているので,魅力ある発表・論文となるように引き続き頑張りたいと思います.

第294回 学会シーズンはまだ続く

2012.01.19

2011年の年末から2012年の年始にかけて,IEEE/SICE International Symposium on System Integration (SII2011),第12回計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会(SI2011),日本機械学会第24回バイオエンジニアリング講演会という3つの学会に参加し,計7件の研究発表を行いました.

以前は12月中旬から1月中旬にかけての約1か月間に学会が開催されることなどほとんどなかったのですが,最近は年末年始も関係なくなってきています.
時代はますます加速度的にその変化のスピードを増していますね.
この変化に取り残されないようにするためには,研究のスピードとクオリティをできるだけ高く保つことが重要です.
今回の7件の発表はこの条件を十分にクリアしていたのではと思います.

以下は研究発表を行った研究室内の学生たちがまとめてくれた発表記録です.
2012年も質と量を両立した研究活動を続けていければと思います.

【2011 IEEE/SICE International Symposium on System Integration (SII2011)】
■開催地:Clock Tower Centennial Hall, Yoshida Campus, Kyoto University
■開催期間:December 20-22, 2011
■発表形式:口頭発表
■学会URL:http://www.si-sice.org/SII2011/

平松 侑樹

【論文情報】
A Novel Dual-arm Motion Discrimination Method Using Reccurent Probability Neural Networks for Automatic Gesture Recognition
Yuki Hiramatsu, Taro Shibanoki, Keisuke Shima and Toshio Tsuji
Proceedings of the 2011 IEEE/SICE International Symposium on System Integration (SII 2011), pp. 1346-1351, Kyoto, Japan, December 20-22, 2011.

【質疑応答】
■Q1. 時間軸方向の正規化はどのようにしているのか.
−A1. 切り出した動作ごとにデータ数が30サンプルになるように間引きしています.

■Q2. 誰でも使えるシステムなのか.
−A2. はい.使用者ごとに動作の特徴をニューラルネットに学習することで,使用者に合わせたシステムを自動的に構築できます.

■Q3. 学習時間が大幅に減少できた一番の要因はなにか.
−A3. 各腕ごとの動作学習のみで双腕動作を識別できるためです.
これにより例えば各腕3動作の学習のみで15動作の識別が可能となるため,学習時間が低減できます.

■Q4. 弱い動作は切り出しできないのではないか.
−A4. 動作切り出しの閾値を適切に決定することで,加速度の小さな弱い動作も切り出し可能です.

【感想】
非常に落ち着いて発表できました.発表に合わせて頷いてくださる方々もおり,魅力的な発表ができたのではないかと思います.
しかし質疑応答の際に上手く答えることができず,島さんに補足して頂いた場面もありました.
反省点など多々ありますが,予稿作成から発表を通して非常に貴重な経験をさせて頂けたと思います.
今回学んだことを充分活かして修士論文に取り組んでいきたいと思います.

【第12回計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会(SI2011)】
■開催地:京都大学 吉田キャンパス
■開催期間:2011年12月23〜25日
■学会URL:http://www.si-sice.org/si2011/

早志 英朗

【論文情報】
判別成分分析に基づく新しい次元圧縮型リカレント確率ニューラルネット
早志 英朗, 平松 侑樹, 芝軒 太郎, 島 圭介, 卜 楠, 栗田 雄一, 辻 敏夫
第12回計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会論文集, pp. 559-562, 2011.

【質疑応答】
■Q1. 被験者の運動イメージを識別しているとのことですが,どうやってそのイメージをしてもらっているのでしょうか.
−A1. まずはじめに左右の人差し指を実際に動かしてもらい,次に先程の動作のイメージをしてもらうよう指示し計測しています.

■Q2. 被験者に正しいイメージをしてもらうためには,どのような方法をとるべきでしょうか.
−A2. 被験者の脳波の特徴の変化をバンドパスフィルタ等を用いてフィードバックする必要があると考えています.

■Q3. ネットワークへの入力信号は何チャネルでどれくらいの時間なのでしょうか.
−A3. 3chの脳波を計測し,それぞれを40Hzまでの10帯域にウェーブレットパケット展開を用いて分解し,計30帯域を20秒間入力しております.

【感想】
会場の雰囲気にのまれやや緊張してしまいましたが,発表,質疑応答ともおおむね問題なくできたと思います.
聞いていた方々の関心が脳波識別にあり,ネットワークの説明にあまり関心を持って頂けなかったようなので,もっとわかりやすい説明をする必要があると感じました.
他の研究室の発表も聞くことができ,初めての学会でしたが良い経験になりました.

佐々木 桂一

【論文情報】
筋骨格モデルを利用した上肢到達運動の効率性評価
佐々木 桂一, 栗田 雄一, 辻 敏夫
第12回計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会論文集, pp. 1646-1649, 2011.

【質疑応答】
■Q1. 筋張力のグラフで不連続なのはなぜですか.
−A1. 筋力最適化計算で筋力が最小になる点を求めているために,不連続になる場合があります.

■Q2. 筋レベルでの運動効率評価は妥当なものか.
−A2. 現在はシミュレーション結果の妥当性は検証できていません.
今後,運動時の上肢の筋電位を計測することで,シミュレーションの妥当性を検証する必要があります.

【感想】
発表に関しては時間がかかってしまい,質疑応答の時間が短くなってしまったことは反省点です.
また質疑応答では,落ち着いて答えることができましたが,返答が不十分なものがあり,より研究内容を知る必要があると感じました.
今回の学会発表はとても良い経験となったので,今後の研究に生かしていきたいと思います.

丸元 崇弘

【論文情報】
非定常リズム信号を生成可能なCPGシナジーモデルの提案と指タップ運動機能評価への応用
丸元 崇弘, 植野 岳, 芝軒 太郎, 島 圭介, 栗田 雄一, 辻 敏夫, 神鳥 明彦, 佐古田 三郎
第12回計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会論文集, pp. 1673-1676, 2011.

【質疑応答】
■Q1. 基本パターンはどのように導出しているのですか.
−A1. Bizziらが提案している筋シナジーの抽出方法を応用して導出しています.
この方法を用いることで基本パターン,重み係数,時間シフトの3つのパラメータを求めることができます.
基本パターンは乗法更新アルゴリズムという方法で行列を用いて求めます.

■Q2. 交差検定でCPG数を決定する具体的な方法を教えて下さい.
−A2. まず,計測されたリズム運動のデータをK分割します.1つをテストデータ,残りを学習データとして学習データからCPGを求めます.
そして,求めたCPGでテストデータをどのぐらい近似できるか近似精度として決定係数で算出します.
CPGの数を増やしていき,近似精度の変化が閾値より小さくなった場合,そのときのCPG数として決定します.

■Q3. システムを同定することの意義は何ですか.パラメータを求めて何がわかるのですか.
−A3. 提案するモデルを用いてシステム同定することで,どのパラメータが運動異常に影響を与えているかなど,運動異常の特性の違いを議論できればと考えています.
また,現在はシステム同定のみですが,同定したパラメータをモデル化して,さらなる議論を行っていきたいと考えています.

【感想】
発表は落ち着いてすることができました.
質問に対してはある程度納得してもらえるような答え方をすることができたと思います.
しかし,従来の定量評価システムとの違いをうまく伝えることができず,今後の目的をもう少し詳しく説明することができたと思いました.
また,準備と片づけを落ち着いてできなかったことが反省点です.
他の発表に関しては分野が違う内容でとても刺激になりました.
今後もこの経験を活かして研究を行っていきたいと思います.

宮本 健太郎

【論文情報】
小型魚類の水質汚染監視用バイオアッセイシステムの開発
宮本 健太郎, 来山 茂央, 曽 智, 平野 旭, 栗田 雄一, 辻 敏夫, 滝口 昇,大竹 久夫
第12回計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会論文集, pp. 2389-2392, 2011.

【質疑応答】
■Q1. 一つの水槽に2匹の試験魚を入れて汚染判別を行わないんですか.
−A1. 行動解析の方は可能だと思いますが,信号計測が難しいと考え今回は1匹で汚染判別を行いました.
しかし,個体差の問題もあるので,今後そのようなシステムの構築を検討していきたいと思います.

■Q2. エタノールを投入せずに長時間計測した場合,warningやcautionと判別されないんですか.
−A2. 水質正常時が短時間では時々cautionと判別されますが,長時間の計測での汚染判別はまだ行っていないので今後行う予定です.

■Q3. このシステムでは化学物質の濃度の変化などは確認できるのですか.
−A3. 今回は試験魚の状態の変化から,水質が異常かどうかを判別するシステムなので濃度の変化は確認できません.

【感想】
発表に関してはある程度練習どおりできたと思います.
また,質疑応答から今後に向けての色々な課題が見えてきてとても有意義な学会でした.
今回の学会発表はとてもいい経験になったので,今後の発表に生かしていきたいと思います.

【日本機械学会第24回バイオエンジニアリング講演会】
■開催地:大阪大学豊中キャンパス 基礎工学部棟
■開催期間:2012年1月7日(土),8日(日)
■発表形式:口頭発表
■学会URL:http://www.jsme.or.jp/conference/bioconf12/index.html

大塚 紘之

【論文情報】
力覚重畳技術を利用した生体臓器の硬さ呈示
大塚 絋之, 栗田 雄一, 永田 和之, 服部 稔, 徳永 真和, 惠木 浩之, 辻 敏夫
日本機械学会[No.11-47] 第24回バイオエンジニアリング講演会講演論文集,7D13,2012.

【質疑応答】
■Q1.グラフに示している値は測定値か.
−A1.測定値を用いています.呈示目標は物体の力覚特性を,VR,ARでは装置の出力を測定しています.

■Q2.押し込み量などの位置情報はどうやって検出しているのか.
−A2.装置のみの呈示ではポテンショメータを使用し,鉗子を用いた呈示ではハプティックデバイスが検出した位置情報を使用しています.

■Q3.装置の出力は呈示している反力の何割なのか.
−A3.デバイスがあまり大きい出力ができないため,だいたい5割から6割ほどになります.

【感想・反省点】
発表はほぼ練習通り行うことができ,内容にも興味を持って頂けたようでした.
しかし,質疑応答で返答が不十分な場面があったため今一度自分の研究を整理し,適切な返答を行えるようにする必要がありました.
今回の経験を研究や発表に生かそうと思います.

第293回 2012年,今年もよろしくお願いします!

2012.01.10

昨年12月最後の全体ゼミ以降,SII2011&SI2011での研究発表,大掃除,研究室忘年会,新年早々の第24回バイオエンジニアリング講演会での研究発表と慌ただしく年末年始が過ぎ,今日から2012年の全体ゼミを開始しました.

忘年会には共同研究者である広島国際大学の寺内 睦博先生,県立広島大学の島谷 康司先生が参加してくださり,楽しい時間を過ごすことができました.

今年も年明けから3月にかけて修士論文,卒業論文の作成と論文発表会が予定されており,3月23日には卒業式・学位記授与式を迎えます.
各自,体調には十分に気をつけながら,できるだけ高いレベルの研究論文の完成を目指して新たな気持ちでがんばってください!

昨年末の12月21日には,博士研究員のアブドゲニ・クトゥルク君が母国ウィグルに帰国し,新疆医科大学に講師として赴任しました.新疆医科大学は新疆ウイグル自治区ウルムチに本部を置く公立大学で,15の学院,1万数千人の学生を有する総合大学です.
また,6つの付属病院を備えており,年間外来患者数は200万人以上にのぼります.

アブドゲニ君は医工連携に関連した学科に所属し,教育,研究に従事することになります.
ウィグルと日本を結ぶ新たな医工連携研究を目指して,しっかりがんばってください.
健闘を祈ります!

今年も欧州経済危機をはじめ20世紀の常識が通用しないような出来事がいろいろと起こりそうな気配がしますが,研究室としては自分たちができることをしっかり行い,高いレベルの研究活動を通じて研究室メンバー全員のスキルアップ,キャリアアップを図っていければと思っています.

2012年もどうぞよろしくお願いします!

第292回 行く年,来る年

2011.12.20

2011年の全体ゼミも今日で終了しました.
今年は東日本大震災や福島原発事故といった大きな出来事が重なり,ものごとの価値観が大きく変化するほどのたいへんな一年になりました.
生体システム論研究室にとっても,4月に栗田雄一先生が赴任されるなど,いろんな意味で再スタートの年となりました.

新しい研究への取り組みや就職活動などいろいろと忙しい一年だったと思いますが,研究室全体としても,また研究室メンバー一人一人にとっても,充実した一年になったのではと思います.
これも,研究室スタッフ,学生諸君,多くの共同研究者・研究協力者の皆様をはじめ,本研究室を支えてくださったすべての人たちのおかげです.
ここに改めて御礼申し上げます.

以下,2011年の生体システム論研究室の研究業績をまとめておきます.

  • 学術雑誌論文:9編(掲載決定を含む)
  • 国際会議論文: 9編(Proceedings印刷中を含む)
  • 国内学会発表:28件
  • 解説・記事: 2編
  • 著書(分担執筆): 1編
  • 博士学位論文: 1件
  • 招待講演: 1件
  • 受賞: 2件
  • 展示会: 1件
  • 特許: 登録 2件,出願 1件

2010年代に入り,大規模な気候変動や地殻変動,世界規模での政治不信,未曽有の経済危機など,時代はますます混迷の度を深めているように思えます.
こんな時代だからこそ,私たちは自分たちのやるべきこと,自分たちができることをきちんと行い,自分たちの能力にさらなる磨きをかけるとともに,研究室メンバー全員で協力しながら魅力的な研究活動を続けていければと思っています.

来年も研究室メンバーにとって,また本研究室に関わってくださっているすべてのみなさんにとって良い年になるようがんばりましょう!
2012年もどうぞよろしくお願いします.

第291回 研究室見学

2011.12.13

本研究室では,来訪者からの依頼,大学院入学を希望する学生への対応,オープンキャンパス・オープンラボ等の大学行事など,年間を通じてかなりの人数の見学者を受け入れています.
研究室見学では,実験室や学生居室等各部屋の見学,研究内容の概要説明を行い,いくつかの研究テーマについてはデモンストレーションを行います.
このような機会は,研究活動を進めていく上でも,また説明者の説明能力の向上を図る上でも,非常に重要と考えています.

一般的に,見学会で研究紹介を行なうためには,少なくとも以下の点を満足する必要があるでしょう.
・見学していただく価値がある研究内容と研究成果
・見学者の目の前で確実にデモを行なうだけの高い再現性と信頼性
・研究の特徴を効果的に説明するわかりやすいデモンストレーション
・説明者の高い説明能力

見学者への説明を通じて自分達の研究の課題や不足点が見えてくることもありますし,見学者から有益なコメントや研究のヒントが得られることもあります.
説明者にとっては,説明能力を向上するためのよい訓練の場であり,その場の雰囲気や流れをコントロールする力を養う絶好のチャンスでもあります.
良いデモや説明ができる人は非常に魅力的ですね.
研究室メンバー全員,いつでも研究説明やデモができるよう,普段から心がけておくとよいでしょう.

12月3日(土)には,工学部第二類の見学を希望する高校生とその父兄を対象として研究室見学を行いました.
今回の見学は筋電グループが対応してくれました.
以下に,その見学の様子をまとめてくれた記録を引用します.
当日は,対応も説明も理想的で,見学者の方々もたいへん感激されていました.
短い時間でも相手に最大限の良い印象を与える能力,これが大切ですね.
ごくろうさまでした!

デモ内容:CHRIS,Bio-Remote,5指義手
実演者 :芝軒,菊池
説明者 :芝軒,菊池
場 所 :A1-231,A1-241

【質疑応答】
Q1.電極位置はどのように決めているのか.
A1.各動作の筋の反応を確認しながら電極位置を決めております.
例えば,指を動かすと腕の筋の一部が動くので,そこに電極を取り付けるようにしています.

【辻先生コメント】
C1.腕に複数の電極を取り付けて,その個人に合った電極をPCが選定している.

C2.3指義手は3本の指しか動かせないが,5指義手は5本の指をそれぞれを動かすことができ,より人間の手に近い構造である.
そのため複雑な動きが可能である.

C3.5指義手を実際に売り出すためには故障・アフターサービスなどを考慮する必要がある.
そのため現状は困難だと考えられる.

C4.Bio-Remoteはリモコンが沢山入っており,家電の操作が可能である.
また家電だけではなくゲームを行うこともできる.

C5.Bio-Remoteを用いることで寝たきりの方でも隣の部屋から家電操作や他の人との会話ができる.

C6.最終的には誰でも使えるようなユニバーサルデザインを実現していきたい.

【感想】
実演に対しての反応はとてもよかったと思います.
相手の反応を見ながら説明することができ,相手の方も納得しながら聞いて頂けたように思います.
今後はより専門的な知識の説明を取り入れていけるように心がけていきたいです.

第290回 学会シーズンは続く

2011.12.06

11月26日(土)は先週お知らせした第44回日本人間工学会中国・四国支部大会(山口県下関市)だけでなく,第20回計測自動制御学会中国支部学術講演会(岡山県岡山市)も開催されました.

毎年この時期は学会シーズンということもあり,同じ日に別の大会が開かれることも珍しくありません.
第20回計測自動制御学会中国支部学術講演会を担当された岡山大学の先生方から依頼があり,本研究室からはM2の村上 隆治君が研究発表を行いました.
単独参加での学会発表でしたが問題なく発表を終え,しかも当日行われた審査の結果,計測自動制御学会中国支部奨励賞を受賞することになりました.
4年生のときに研究を始めてからこれまでに費やした膨大な時間とエネルギー,そしてさまざまな経験によって,どんな問題をも軽々と乗り越えてしまうだけの実力を身につけた証拠だと思います.
素晴らしいです!

以下に村上君がまとめてくれた発表記録を引用します.
なお,表彰式は平成24年1月19日(木)に広島工業大学にて行われる予定です.
おめでとう!

皆様
村上です.
お忙しいところ失礼致します.
岡山大学で開催されました第20回計測自動制御学会中国支部学術講演会の議事録をお送り致します.

■開催地: 岡山大学工学部1号館
■開催期間:2011年11月26日(土),27日(日)
■発表形式:口頭発表

筋電義手操作のためのバーチャルトレーニングシステムの提案と仮想Box and Block Testの実現
村上隆治,芝軒太郎,島圭介,辻敏夫,大塚彰,陳隆明
第20回計測自動制御学会中国支部学術講演会講演論文集,pp.154-155,Nov. 26, 2011

【質疑応答】
■どれくらいの期間の訓練を想定されているのか.
−できるだけ短期間が望ましく,これまでの実験の結果からおよそ5日程度を想定しています.
今後,長期間の訓練を実施予定なのでどのくらいの期間で十分なのかを判断していきたいと思います.

■健常者と切断者のデータから言える両者間の違いは何か.
−今回の結果は両者間で実験条件が異なるため,純粋な比較は困難です.
以前に同一条件で行った結果から違いを述べると,切断者のほうが手先速度がかなり速かったです.
これは被験者が筋電義手のユーザーであったことが理由と考えられますが,まだ切断被験者が1名のため,この方の運動能力が高いだけなのかもしれません.
今後は切断被験者を増やしていき,切断者間の共通点,健常者との違いなどを探っていきたいと思います.

■EMGの計測位置を上手く決める必要があるのではないか.
−おっしゃるとおりです.
現在は被験者の腕に触りながら試行錯誤的にEMGが上手く計測できそうな位置に電極を貼り付けています.
本研究室では適切な電極位置を決める手法を提案しておりますので今後はその導入を行う予定です.

【感想・反省点】
少し発表時間をオーバーしましたが,特に大きな問題はなく落ち着いて発表できました.
EMG信号になじみのない方もおられたようなのでEMG信号の波形を実際にお見せした方が良かったのかもしれません.
また,質問に対してもう少し簡潔に回答できるようにしていきたいと思います.

以上です.
それでは,失礼致します.

第289回 第44回日本人間工学会中国・四国支部大会に参加しました

2011.11.29

11月26日(土)に下関市生涯学習プラザで開催された第44回日本人間工学会中国・四国支部大会に参加しました.

日本人間工学会中国・四国支部は,本研究室の前身でもある旧人間工学研究室がその設立と運営に関わってきた学会で,現在も本研究室が会の運営に協力しています.
今年度は山口県下関市開催ということもあり,第32回日本人間工学会九州・沖縄支部大会との合同開催という形となりました.
http://www.ergonomics.jp/local-branch/chugoku-shikoku/conference/2011/index.html

本研究室からは以下の7件の研究発表を行いました.

体表脈波を用いた自律神経系指標による飲酒検知法
小島重行,内川竜一,小倉由美,藤田悦則,辻敏夫,金子成彦
日本人間工学会中国・四国支部九州・沖縄支部合同開催支部大会講演論文集,pp. 134-135, 2011.

両腕による円軌道追従タスクにおける協調運動特性の解析
井上晴仁,田中良幸,辻敏夫
日本人間工学会中国・四国支部九州・沖縄支部合同開催支部大会講演論文集,pp. 142-143, 2011.

遺伝的アルゴリズムを用いた頸部損傷軽減シート設計支援システムの開発
成末充宏,田中良幸,辻敏夫,山下雅也
日本人間工学会中国・四国支部九州・沖縄支部合同開催支部大会講演論文集,pp. 72-73, 2011.

次元圧縮型確率ニューラルネットを用いたブレイン・マシン・インタフェース
伊藤達也,植野岳,芝軒太郎,島圭介,栗田雄一,辻敏夫,卜楠
日本人間工学会中国・四国支部九州・沖縄支部合同開催支部大会講演論文集,pp. 82-83, 2011.

血管粘弾性インデックスによる指タップ運動中の自律神経活動評価
伊藤雅史,平野博大,小松雄亮,堀内徹也,平野陽豊,栗田雄一,鵜川貞二,神鳥明彦,島圭介,中村隆治,佐伯昇,河本昌志,吉栖正生,佐古田 三郎,辻敏夫
日本人間工学会中国・四国支部九州・沖縄支部合同開催支部大会講演論文集,pp. 28-29, 2011.

確率共鳴現象による指先触知覚機能向上性の評価
末田大和,栗田雄一,服部稔,徳永真和,惠木浩之,竹村裕,辻敏夫
日本人間工学会中国・四国支部九州・沖縄支部合同開催支部大会講演論文集,pp. 112-113, 2011.

Otto Bock筋電義手操作を目的としたバーチャルトレーニングシステム
中村豪,村上隆治,芝軒太郎,島圭介,栗田雄一,辻敏夫,大塚彰,陳隆明
日本人間工学会中国・四国支部九州・沖縄支部合同開催支部大会講演論文集,pp. 84-85, 2011.

4年生の伊藤達也君,伊藤雅史君,末田大和君,中村豪君にとっては初めての学会発表でしたが,全員,非常に良い発表だったと思います.
また聴講に参加した院生のみなさんが積極的に発言をしていた点もよかったと思います.

学会で研究発表を行うためには研究内容を充実させることはもちろん,論文や発表用スライドなどを期日に合わせて準備し,聴衆の前に出て制限時間内にわかりやく魅力的な発表を行い,さらには質問にもその場で的確に答えなければなりません.
今回の学会発表に向けて費やされた膨大な時間とエネルギーは,発表者の力として蓄積され,すでに目に見える形で発表に表れていたと思います.
学会発表を無事に終えた後の達成感と開放感,そして少しの悔恨感を忘れることなく次の発表の機会に活かしていくとよいでしょう.

第45回大会は岡山県倉敷市で行われる予定です.
来年度も多くの研究発表ができるよう,高いレベルの研究成果を目指してがんばりましょう!

第288回 講演後の反響

2011.11.22

2011年10月24〜26日の3日間,パリで 3rd Intenational Joint Conference on Computational Intelligence (IJCCI 2011)が開催されました.
IJCCIは,ECTA (International Conference on Evolutionary Computation Theory and Applications), FCTA (International Conference on Fuzzy Computation Theory and Applications), NCTA (International Conference on Neural Computation Theory and Applications)という3つの国際会議を合同開催したjoint conferenceで,A-lifeグループの曽 智君が参加し研究発表を行いました.

学会での講演の良し悪しを測ることは容易ではありませんが,講演後の反響の大きさは一つの手がかりとなります.
講演後に話しかけられたり質問を受けたりするということは,講演内容がオーディエンスにとって(少なくとも一部のオーディエンスにとって)興味深いものであったということを意味します.
年末から年始にかけて学会が続きますが,口頭発表を終えた後に多くの人に話しかけてもらえるような研究成果&発表を目指したいですね.

以下は曽君が作成してくれた発表記録です.
特別講演に関する情報も興味深く,今後の研究のヒントとなるかもしれませんね.
学会発表,おつかれさまでした!

■開催地: フランス・パリ
■開催期間:2011年10月24〜26日
■発表形式:口頭発表
■予稿情報:
On-Center/Off-Surround Neural Network Model For Olfactory Attention
Zu Soh, Toshio Tsuji, Noboru Takiguchi, and Hisao Ohtake
3rd Intenational Joint Conference on Computational Intelligence (IJCCI 2011) Proceedings, pp.183-189, Paris, France, 24-26 Oct. 2011.

【質疑応答】
Q1.マウスのニオイ識別実験は1個体だけで行ったのか?
A1.いいえ,8個体で実験しております.識別率の棒グラフのSDは8匹のSDを表しております.

Q2.どのようにして糸球体の神経活動パターンを計測しているのか?
A2.インターネットのデータベースからダウンロードして使っておりますが,そのサイトでは,2DG法という方法を使って計測しております.
45分間ラットにニオイを嗅がせてから,冷凍して嗅球を取り出してスライスして...(質問者から分かったと合図されたので)URLをチェックすれば詳しい情報が見られます.

Q3.マウスのニオイ識別率をうまく予測していたが,完璧なモデルができたとしてどのようなことに応用できると考えているのか?
A3.マウスのニオイ識別率はニオイの類似度を表すPerceptual characteristicsと考えることができる.
これをヒトに応用すれば,ニオイを直接嗅がずともどんなニオイかコンピュータが判断できるようになるので,官能検査を行う機械を作ることができると考えている.

【感想】
質問時間での反応は微妙だったものの,発表が終わってから質問に来られた方が数人おりました.
そのときの質問内容はいずれも応用に関するものでした.
つたない英語であったものの発表・質疑応答ともに最低限の内容は伝わった印象でした.
反応が微妙だったのは,モデルの必要性や妥当性が評価しずらかったからだと考えられます.
学会全体的には,情報の次元を圧縮するときは相互情報量を使うべきと主張した特別講演など面白い発表がいくつもあり充実しておりました.

第287回 電動車いすカップル誕生!

2011.11.15

ババイオリモート&CHRISの研究開発にご協力いただいてる小林 勝さんが毎日新聞で紹介されました.

小林さんは1972年に事故で頸髄を損傷され,約25年間,自宅で療養生活を送られてきましたが,10年ほど前から我々の研究チームの一員としてバイオリモート&CHRISの開発にご協力いただいています.
https://bsys.hiroshima-u.ac.jp/wordpress/pub/img/article/shinano070626.jpg

現在も,M1の杉江 研勇君を中心とする筋電グループのメンバーが(有)追坂電子機器と協力しながらバイオリモートのリニューアルに取り組んでおり,近いうちに2台目のバイオリモートを小林さんの自宅に設置する予定です.
また,MEグループではM2の小松 雄亮君を中心として,(株)デルタツーリングの協力のもと非拘束・非接触ヘルスモニタリングシステムを開発中で,プロトタイプを小林さん宅に設置し睡眠時のバイタルサイン計測実験を行っています.
将来的にはバイオリモートとヘルスモニタリングシステムを統合し,使用者の生活支援と健康支援を同時に実現できればと考えています.

小林さんの最近の様子が毎日新聞で紹介されました.

何事にも非常に積極的で,いろいろなアイデアを次々と実行されており,本当にいつも頭が下がる思いでいっぱいです.
末永くお幸せに!

今後も,バイオリモートのさらなる充実(操作可能機器および使用可能センサの拡充,操作予測やヘルスモニタリングなど新機能の開発,医療・福祉とテクノロジーを融合した支援体制の確立)を図るとともに,小林さんの生活がすこしでも便利に,そして自由になるよう活動を続けていければと思います.

東日本大震災:半年 広島から私たちにできること⑤
人とのつながり大切 尾道・遠距離、年齢差越え、電動車いすカップル誕生
毎日新聞 2011年9月27日
http://www.f-welfare.net/fukushi/news/2011/10/36436/

第286回 平成23年度修論中間発表会が終了しました

2011.11.08

11月5日(土)にシステムサイバネティクス専攻初の修士論文中間発表会が開催され,本研究室からは11名のM2が研究発表を行いました.

今年度も早くから万全の準備ができていた人,直前に大きく進展した人の2つのタイプに分かれましたが,紆余曲折(?)の後,最終的には全員,非常にレベルの高い研究内容・予稿・発表となり,感心しました.
質問にも概ね適切に答えることができており,この点もよかったと思います.
懸命に取り組んだ成果がよく表れていた中間発表でした.
適切な指導してくれた各グループのみなさんも素晴らしいチームワークだったと思います.
ごくろうさまでした!

最も重要な点は,今回の予稿・発表スライドの作成作業を通じて,修士論文の内容がほぼ固まり,完成形(ゴール)がはっきりしたことでしょう.
中間発表や学会発表といった厳密な締切が設定される機会を利用して一気に形を作り上げるということも,物事を進めるうえで時に大きな効力を発揮します.
もちろん,理想的には自分自身でスケジュールを組み,自分のペースできちんと物事を進めていくことが大切ですが,これには強靭な意志力と高いレベルの問題解決能力が必要です.
ときには,「外圧」をうまく利用することも有効な手段ですね.

今後は,見えてきた修士論文の完成形をより明確にするための研究課題を整理し,早めに論文をまとめていくとよいと思います.
そして,そのプロセスの中で,自分の研究のオリジナリティや特徴,利点を強調するような実験や解析をできる限り追加していくとよいでしょう.

早いもので2011年も残り約6週間となりました.
秋から冬にかけて,体調に十分に気をつけながら研究を進めていきましょう.
修論中間発表,おつかれさまでした!

第285回 学会シーズン到来

2011.10.27

秋から冬にかけて,多くの学術講演会や研究発表会が開催されます.
現在,本研究室では,
・第44回日本人間工学会中国・四国支部大会,
・第20回計測自動制御学会中国支部学術講演会,
・第12回計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会,
・第24回日本機械学会バイオエンジニアリング部門講演会,
・2011 IEEE/SICE International Symposium on System Integration,
・17th International Symposium on Artificial Life and Robotics
などに向けて,多くの学生が論文の作成に取り組んでいます.

また11月5日には本学システムサイバネティクス専攻設置後,初の修士論文中間発表会が予定されており,M2の学生はその予稿を作成中です.

これまで進めてきた研究成果を論文としてまとめるためには,少なくとも,
・研究目的,
・従来研究の問題点,
・自分の研究の新規性・独自性,
・研究成果,
・今後の課題
が明確にされておらねばならず,その内容が科学論文としての体裁を備えたきちんとした書き言葉で理路整然とまとめられていなければなりません.

初めて科学論文を執筆する人にとっては非常にたいへんな作業だと思いますが,同時に非常によい経験になると思います.
「客観的かつ論理的に自分がしていることをまとめ,その内容を平易かつ魅力的に説明できる能力」を身につけることができれば,今後,さまざまな場面で役立つでしょう.

現在,論文作成にあたり,各グループごとに多くの院生の人たちが後輩の研究指導を行い,論文作成の助けをしてくれています.
指導してもらった人たちは先輩達に感謝するとともに,いずれ後輩の研究指導ができるようしっかり力をつけていってください.
また設定された締切に遅れることのないよう,スケジュール管理を徹底しましょう.
以下のページに論文作成時に注意してほしい2つのポイントをまとめていますので,ぜひ参考にしてください.
https://bsys.hiroshima-u.ac.jp/wordpress/news/10696

できるだけ高いレベルの論文を目指し,引き続き,がんばってください!
良い論文の完成を楽しみにしています.

第284回 2011年度新学術領域班会議

2011.10.18

文部科学省科学研究費補助金新学術領域研究「神経系の動作原理を明らかにするためのシステム分子行動学(領域代表者:飯野雄一)」の2011年度班会議・ワークショップが,8月20日〜22日にチサンホテル新大阪,および神戸国際会議場において行われました.
http://www.molecular-ethology.jp/schedule/schedule_index.html

本研究室では,A-lifeグループのメンバーを中心として「生物行動のシステム工学的解釈とバイオミメティックセンサシステムの提案」というテーマで研究に取り組んでいます.
https://bsys.hiroshima-u.ac.jp/wordpress/news/10655

研究メンバーは,A-lifeグループの曽 智君,服部 佑哉君,来山 茂央君,齋藤 牧紀君,山田 泰隆君,正 岡 和弥君,宮本 健太郎君,金沢大学の滝口 昇先生,日本原子力研究開発機構の鈴木 芳代さん,それに大阪大学の大竹 久夫先生で,みんなで分担しながら,線虫,マウス(ラット),ゼブラフィッシュの研究に取り組んでいます.

先日,開催された2011年度班会議では,以下の2件の研究発表を行いました.

環境条件に依存した線虫の運動パターンの変化の解析
鈴木芳代,服部佑哉,曽智,坂下哲哉,小林泰彦,辻敏夫
新学術領域研究,神経系の動作原理を明らかにするためのシステム分子行動学, 2011年度班会議,ポスター発表プログラム, P34, 2011.

生体信号を用いたゼブラフィッシュのカメラレス行動計測法とOn-Center/Off-Surroundニューラルネットを用いた嗅覚アテンションメカニズムのシミュレーション
曽智,来山茂央,辻敏夫,滝口昇,大竹久夫
新学術領域研究・神経系の動作原理を明らかにするためのシステム分子行動学, 2011年度班会議ポスター発表プログラム, P33, 2011.

今年度の班会議では,他大学の研究者の方から線虫,ゼブラフィッシュに関する共同研究の申し出を受けるなど,生物分野の先生方に興味を持っていただくことができました.
また,その後に参加した包括型脳科学研究推進支援ネットワーク2011年ワークショップ,味と匂学会第45回大会においてもマウス(ラット)嗅覚系に関する研究成果を曽 智君,齋藤 牧紀君が発表し,大学や企業の研究者の方々と交流することができました.

この新学術領域研究も来年度が最終年度となります.「生物に学ぶ」,「生物を利用する」という立場から,魅力的で役に立つ研究成果を目指し,生物学と工学を融合した新しい学際研究を確立していければと思っています.

第283回 オープンキャンパス開催報告(その2)

2011.10.11

先週に続いてオープンキャンパス2日目の総括です.
アンケートに記入された見学者のコメントから分かるように,多くの方に楽しんでいただけたようです.

オープンキャンパスでデモを行うためには,研究内容が優れているだけでなく,
・研究の魅力をわかりやすく説明できること,
・ライブで実演できるだけの再現性と確実性を備えていること
という条件を満足する必要があります.

そう簡単なことではありませんが,工夫をすれば本研究室のどの研究テーマも上記条件をクリアできると思います.
各自,自分の研究を来年度のオープンキャンパスでデモンストレーションするためにはどのような工夫が必要か考えてみるとよいでしょう.
今後もより良い研究デモンストレーションを目指してがんばりましょう!

===<2日目>======================================
平野(陽)です.
本日,オープンキャンパスの2日目が開催さました.
本研究室では昨日に引き続き,ME・生体・A-Lifeグループがデモを行いました.

本日は50名強の方が研究室を訪れました。.
高校生だけでなく保護者の方もおられました.
以下,本日のアンケート結果と各デモの議事録です.

アンケート結果

テーマ名         得票数/見学数(割合(%))
超音波・エアパック脈波:34/55(61%)
医療用シミュレータ   :36/55(65%)
ドライビングシミュレータ:45/55(81%)
小型魚類         :33/55(60%)
線虫            :35/55(64%)
※得票数は,面白いと感じたテーマにチェックされた数

アンケートに書かれていた感想

・全部興味深い内容で,とてもおもしろかったです.
・かなり実用的で,将来に役立つ物作りだと感じました.
・身近なところ全てに工学部の力があることを知り,感動しました.
・とても丁寧な説明で分かりやすかったです.
・どの研究も奥深く,また親切に接してくださったので,良かったです.
・大変勉強になりました.
・面白い実験をたくさん見せて頂き,とても興味を持ちました.
・どれも面白い研究内容でした.

各デモ議事録

グループ名:MEグループ(部屋番号:544)
デモ内容:超音波測定,エアパックセンサ
説明者 :平野
実演者 :木原,堀内

質問内容:
Q1.エアパックセンサは実用化されるのですか.
A1.今冬に発売予定となっております.

Q2.ME組の研究は工学的知識だけでもできますか.
A2.医学的知識も必要ですが,研究室に入ってからの勉強で十分です.
工学的知識も必要ですので,工学部の授業をしっかり勉強しておくことが重要です.

Q3.大学卒業後も医学部とのつながりはありますか.
A3.就職先によります.
医療機関や医療メーカーに就職すればつながりがあるかもしれません.

Q4.シートからは脈波だけ計測されるのですか.
A4.脈波以外にも体動や呼吸波が計測されます.
これらはフィルタ処理をすることで分離することができます.

Q5.シート脈波の結果は太った人と痩せた人で違った補正のかけかたしているのか.
A5.筋肉の特性とシートの特性を合わせることで補正をかけることなく太った人も痩せた人も同様の結果を得ることができます.

Q6.エアパックはパスカル単位で計測しているのですか.
A6.圧力の変化をボルト単位に変化して計測しています.

感想:
説明やデモをしている時は相槌を打つなど反応があったが,質疑応答になると反応がなかった.
研究内容だけではなく,大学生活のことや受験のことについての質問を誘ってみたが反応は薄く,待ち時間をこちらが一方的に話す形となってしまった.
もう少し,相手に質問しやすい雰囲気を作った方がよかったのかなと思いました.
来年度は質問をしてこないことを前提に対策をとる必要があると感じました.

グループ名:生体グループ(部屋番号:A1-532)
デモ内容①:ドライビングシミュレータ
説明者  :成末
実演者  :中原

質問内容:
Q1.大学はどんな感じなのか.
A1.大学では自分で授業を決めることができたり,いろいろな部活やサークルに所属することもできるので,高校までとはまた違った楽しみ方ができると思います.

Q2.どうやってステアリングの固さを変えているのか.
A2.ステアリングの固さは機械インピーダンスの運動方程式を用いて表わされており,剛性K,粘性B,慣性Mの3つのパラメータを変更することにより固さを変えるができるようになっています.

Q3.実車のステアリングの固さを再現することはできるのか.
A3.実車のステアリングに関するデータがあれば,それを基に再現することは可能です.

Q4.制御PCの画面に表示されているものは自作しているのか.
A4.私たちの研究室で自作したものとなっています.
ただし,1人で作成したのではなく,過去の先輩から引継いでそれを応用していくことで現在の形となっています.

感想:
特に大きな問題はなく,説明を行えたと思います.
ただ,全体的の反応が薄く,質問もあまり出なかったので,もう少しわかりやすく説明する必要があったのではないかと思います.

グループ名:生体グループ(部屋番号:A1-532)
デモ内容②:医療用シミュレータ(ハプティックデバイス)
説明者  :佐々木
実演者  :大塚

質問内容:
Q1.ハプティックデバイスは医療の現場で使われているのですか.
A1.まだ研究中なので実際には使われていません.

Q2.プログラムはすぐできるようになりますか.
A2.頑張り次第ですが,複雑なプログラムができるにはかなり時間がかかります.

Q3.ハプティックデバイスを九大でも見たのですが・・・
A3.この装置は市販品なので同じ装置を用いて研究している所もあります.

Q4.補助物体は何でできているのですか.
A4.人肌ゲルといって人間の肌に近い感触を持つものでできています.

Q5.硬くなるのはどの様な制御をしているのですか.
A5.つつく時に装置からつつく方向とは反対方向に力を出して,硬く感じるように調整しています.

感想:
説明はトラブル無く行うことが出来ましたが,見学に来ていた人の反応から内容をうまく伝えきれていないと考えられる場面がありました.
もっと説明を簡潔にして聞いた人がイメージしやすくする必要があると考えます.
デモでは良い反応が多かったので,楽しんでもらえたと思います.
今後もより良いデモを目指して検討していきたいと思います.

今後の課題:
・説明の仕方の検討

グループ名:A-lifeグループ(部屋番号:533)
デモ内容①:小型魚類(ゼブラフィッシュ)の生体電気信号計測
説明者  :来山
実演者  :来山

質問内容:
Q1.この装置をどのように使うのか.
A1.計測している信号は呼吸に同期していて,呼吸は周囲の環境の変化に応じて調整されるため,魚にとっての周囲の環境である水の変化を調べることができます.
そのため,浄水場などで水質検査装置に使うことができます.

Q2.波形の高さは何を表しているのか.
A2.信号の大きさを表しています.上であるほど電位が大きく,下であるほど電位が小さいことを表しています.

Q3.電極は電気の流れを測っているのか振動を測っているのか.
A3.鰓を動かす時に発生する電気の流れを測っています.

感想:
全体的に消極的だったのですが,こちらから話しかけると少し話が盛り上がったので,もっと気をつけた方がいいと思いました.
デモは5分いっぱいまで使ってしまっていたので,終わりが急な展開になり,良い印象を与えられなかった可能性があります.

グループ名:A-lifeグループ(部屋番号:533)
デモ内容②:超小型生物(線虫)の人工生命体
説明者  :正岡
実演者  :正岡

質問内容:
Q1.線虫はどこに住んでいるのか.
A1.土壌のあるところならどこにでも生息しています.

Q2.τは何を示しているのか.
A2.トルクを示しており,線虫が出している筋の力を表しています.

感想:
説明の時間が長くなり,質問の時間をうまくとることができませんでしたが,去年よりは,砕けた感じで話しかけることができたと思います.
次回は,もっと人を惹きつけられるような説明を目指して頑張りたいと思います.

受付・案内係
今後の課題点
・まばらに来訪者が来た際の効率良い案内の方法を検討した方がよい.
(時間調整用の一時待機室があれば良いかも)
・案内係は各デモ部屋に入る前にノックをした方がよい.
(前グループデモ終了後に次グループを受け入れる準備を行えているか確認するため)

第282回 2011年度オープンキャンパス開催報告(その1)

2011.10.04

8月8日(月),9日(火)の2日間,広島大学オープンキャンパス2011に参加しました.
本学全体では約2万9千名の参加者があり,工学部にも多くの見学者が訪れました.
http://www.hiroshima-u.ac.jp/nyushi/opencampus/campus-guide/

生体システム論研究室のデモは,1日目は筋電グループ(A1棟2階),2日目は生体グループ・MEグループ・A-lifeグループ(A1棟5階)が担当し,大学院受験生を除く研究室メンバー全員で見学対応にあたりました.
デモ見学のあとにアンケート調査を実施しましたが,2日間で120枚のアンケート用紙を回収できましたので来訪者の総数は150名近くに達したと思われます.
各グループとも昨年度よりも良い反響が得られたようで,オープンキャンパスに向けて取り組んだ準備の成果と思います.

研究室全体としても,各研究グループとしても,そして一人一人の研究メンバーとしても,今回のオープンキャンパスの経験を今後の活動に活かしていければいいですね.

以下は,杉江君(1日目),平野(陽)君(2日目)がとりまとめをしてくれたオープンキャンパス報告です.
みなさん,オープンキャンパス,おつかれさまでした!
(2日目分は来週に掲載します.)

===<1日目>======================================
杉江です.
お忙しいところ,失礼致します.

本日,オープンキャンパス1日目が開催され,本研究室では筋電組がデモを行いました.
今年は去年の倍近くの約70人の方が訪れ,高校生だけでなく保護者の方もおられました.
反応も良好で,楽しんでいただけたようでした.

以下,本日のデモの議事録です.

グループ名:筋電グループ(部屋番号:A1-241)
デモ内容①:三指義手,五指義手,筋電マウス,Bio-Music
説明者  :菊池
実演者  :村上,丸元,早志

質問内容:
Q1.研究室は何年生から入れますか.
A1.4年生から入れます.しかし,希望の研究室に入れるかは成績次第です.

Q2.五指義手は豆腐などの柔らかいものでも持てますか.
A2.持てます.
ただし,潰さないで持てるようになるにはトレーニングが必要です.

Q3.先天的に腕がない人でも義手は使うことができますか.
A3.はい,できます.ただし,筋電信号を分離させるトレーニングが必要です.

Q4.義足の研究はされていないのですか.
A4.現在,義足の研究はしていません.

Q5.五指義手でジャンケンはできますか.
A5.はい,できます.

Q6.大学のサークルはどういうものがありますか.
A6.いろいろあります.
体育系や文科系で大きく分かれています.

Q7.マウスで右クリックはできますか.
A7.はい,できます.

Q8.腕にセンサを張る場所は決まっているのですか.
A8.決まっていません.そのため,頬や胸,足など筋電が計測できるところであれば使うことができます.

Q9.五指義手ではどういう指の形状を制御するのが難しいですか.
A9.すべて指の制御が難しいです.
指の筋は前腕部のほとんど同じ筋で構成されているので筋電分離がうまくできていれば上手く操作することができます.

Q10.五指義手の反応速度はもう少し速くできないのですか.
A10.PC内の計算処理速度を今よりも速くすることができれば可能です.

感想:
高校生がとても多く,3指義手,5指義手,筋電マウス,Bio-musicのすべてに大変興味を示して頂きました.
反応が良かったため,デモを楽しんで説明することができたと思います.
ただし,前半の5指義手の実演ではあまり上手く実演ができていなっかたため,今後とも引き続き良いデモが行えるように事前準備,メンテナンス等をしっかり行っていきます.

今後の課題:
・5指義手の実演について

グループ名:筋電グループ(部屋番号:A1-231)
デモ内容②:CHRIS,Bio-Remote
説明者  :杉江
実演者  :杉江

質問内容:
Q1.大学のテストは中間テストと期末テストだけですか.
A1.講義によって異なります.テストがない講義もあります.

Q2.企業と協同研究をしていますか.
A2.はい,しています.例えば日立やマツダといった会社としています.

Q3.AO入試ってどんなのですか.
A3.筆記試験の変わりに与えられたテーマに対して小論文を書く入試です.

Q4.誤動作はおきないんですか.
A4.おきるときもあります.
しかし,できるだけおきないような処理をしています.

Q5.アクションゲームをする時に筋電信号だと難しくないですか.
A5.難しいかもしれません.
しかし,Bio-Remoteでは腕を動かすだけで計測できる信号(加速度信号)でも操作できるため,それを使えば簡単にできると思います.

Q6.大学にはどんなサークルがあるんですか.
A6.文化系,運動系などいろいろあります.

感想:
午前中はBio-Remoteのトラブルが発生し,1回目のデモを実演することができませんでした.
このトラブルの原因を調査する必要があります.
しかし,午後はトラブルもなくデモができました.
見学に来られた方々が楽しんで頂けたようで良かったです.
特に,Bio-Remoteに興味を持った方々が多かったと思います.
今後は,今回の経験を活かしてより良いデモしてきたいと思います.

今後の課題:
・トラブル対策手順表の作成
・トラブルの原因調査
・CHRISを廊下に展示

アンケート集計結果
得票数:58/65(241部屋),56/65(231部屋)

コメント:
・説明が分かりやすく,楽しんで研究している様子が分かりました.
・障害を持たれる方に使用できれば便利だと思いました.
・実用化できるように頑張ってください,期待しています.
・いろいろセンサーがあり大変そうだと思いました.
・夢が広がりました,将来この研究室に入り研究したいと思いました.
・テレビで見たような技術が体験できて良かったと思います.
・質問にも丁寧に答えてくださり,とても分かりやすかったです.
・人間の身体に流れる電気を利用して,義手や家具を動かせるのに驚きました.
・他の研究室よりも話が上手で分かりやすかったです.
・義手の指を自由に動かすことができているのかすごいと思いました.
・この研究室では特に人の役に立つようなことをしていると感じるので,広島大学に入学できたらこの研究室に所属できるように頑張りたいと思いました.
・筋電信号で音楽が演奏できているのに感動しました.
・筋電信号を利用してリモコンを動かすのが面白かった.変換さえできれば体1つで操作できるといのは夢があふれていると思った.
・障害を持った方の行動範囲が広がり,社会へ進出される機会が増える可能性を感じました.頑張ってください.

第281回 平成23年度後期全体ゼミを開始しました

2011.09.27

8月2日(火)の前期全体ゼミ最終回からはやくも2カ月近くが経過し,今日から後期全体ゼミを開始しました.

この間,オープンキャンパス,科学研究費新学術研究班会議,大学院入試,ゼミ旅行などいろいろな行事がありました.
特に4年生の大学院進学希望のみなさんは受験勉強でたいへんだったと思いますが,全員,見事に合格でき本当によかったです.
みなさん,おめでとうございます!

8月26〜27日には大学院入試の打ち上げも兼ねて,香川県にある小豆島ふるさと村にゼミ旅行に出かけました.
当日は天候にも恵まれ,美しい海に囲まれた環境の中で楽しい時間を過ごすことができました.
幹事を務めてくれた平野(陽)君,村上君,平野 (博)君,木原君,佐々木君,ごくろうさまでした!
(オープンキャンパスと科学研究費新学術研究班会議の詳細については,来週以降に報告します.)

また10月1日付で,マツダ(株)技術研究所の竹村和紘さんが大学院博士課程後期に入学されることになりました.
生体グループに所属し,生体特性を考慮した自動車操作性に関する研究テーマで博士学位の取得を目指します.
みなさん,どうぞよろしくお願いします.

これから年末に向けて,修論中間発表会や各種学会・研究会での研究発表等,さまざまな行事が予定されています.
高いレベルの研究成果を目指して,後期も各グループで協力しながら研究活動を継続していきましょう.
後期もよろしくお願いします.

第280回 平成23年度前期全体ゼミ,終了しました

2011.08.02

卒論・修論中間発表会も無事に終わり,平成23年度全体ゼミは本日終了しました.

今年度は4月に栗田雄一先生が着任され,研究室も大いに活性化されました.
また,震災の影響で就職活動はかなり混乱しましたが,本研究室では比較的,早期に全員の内々定が決まり,就職活動を無事に乗り切ることができました.
7月には博士課程後期2年(社会人選抜)の小島 重行さんが広島大学エクセレント・スチューデント・スカラシップ平成23年度成績優秀学生に選ばれるという嬉しいニュースもあり,前期を通じて充実した研究活動を行うことができたと思います.

このあと,8月8日(月),9日(火)のオープンキャンパス,8月20日(土),21日(日)の科研費新学術領域班会議をはじめ,いくつかの予定を残していますが,全体ゼミは夏休みに入ります.
夏休み期間中は,各自の状況に合わせて,それぞれ有意義な時間を過ごすとよいでしょう.
大学院入試受験予定のみなさんは夏の誘惑に負けることなく,8月24日(水),25日(木)の入試に向けて受験勉強,しっかりがんばってください!
全員そろって合格してくれることを祈ります.

第279回 修論中間発表会2011

2011.07.26

卒論中間発表会に続いて,7月19日(火),26日(火)の2日間,2011年度の修士論文中間発表会を行いました.

この時期に研究室内で修論中間発表会を行う目的は,修士論文のまとめ方を早い段階で検討し,今後の課題やスケジュールを確認することにあります.
もちろん個人差はありますが,今年度は全体的に順調に進捗しており,それぞれの日頃の研究活動の成果がよく伝わってくる発表会だったと思います.
研究が進んでいる人は,より難易度の高い新しい研究課題にチャレンジしたり,学会発表や論文投稿を検討するなど,積極的に進めていくとよいでしょう.
また,修論のストーリが完成していない人は,新規性や有用性といった研究のポイントを明確にし,魅力的な結論が導けるよう検討してみてください.

毎年恒例の自己評価用のチェックリストを以下にまとめておきます.
各自,今回の中間発表について,もう一度,よく内容をチェックしてみるとよいでしょう.

1.研究題目は研究の特徴や魅力を端的に表しているか,
2.研究の必要性はクリアか,
3.研究目的は明確で説得力があるか,
4.従来研究のサーベイは十分か,
5.従来研究の問題点が明確に示されており,解決すべき研究課題が明示されているか,
6.研究の新規性,オリジナリティが明確になっているか,
7.研究内容の再現性,一般性,普遍性は十分か,
8.研究結果は従来研究の結果と比較して魅力的か,
9.目的に挙げた研究課題が解決されているか,
10.結論は明確か,

今年度のシステムサイバネティクス専攻主催の修士論文中間発表会は11月5日(土)に予定されています.
夏休み期間中の時間を有効に活用し,9月末までには修士論文の内容がおおよそ固まるよう,進めていくとよいでしょう.
M2のみなさん,発表,おつかれさまでした!

第278回 インパクトファクターと被引用回数

2011.07.19

現在,本研究室が所属する大学院工学研究科では,研究活動の活性化を目的として研究業績の評価を行っています.
研究の業績をどのようにして評価するか,これはなかなか難しい問題ですが,以下の2つのインデックスが一般によく用いられます.

1.インパクトファクター(Impact Factor, IF)
インパクトファクターとは学術雑誌の影響度を評価する際に用いられる指標で,ある1年間においてその雑誌に掲載された論文が平均して何回,引用されたかを示す尺度です.
ただし,対象とする学術雑誌や引用回数は学術データベースWeb of Scienceに掲載されているものに限られます(つまり,国内の和文の学術雑誌は対象外となります.)
分野が異なる学術雑誌を一概に比較することはできませんが,同じ分野であればインパクトファクターの高い雑誌ほど影響度が高いということになります.

2.被引用回数(Times Cited, TC)
被引用回数はその論文が他の論文から引用された回数で,Web of Scienceを対象としてカウントした値が用いられます(日本語論文はもちろん対象外).
上述のインパクトファクターでは雑誌の影響度しか評価できませんが,被引用回数であれば論文そのものの影響度,重要性を評価することができます.
また,ある研究者のすべての論文の被引用回数を総和した被引用総数を計算することも可能です.

最近では,この2つの他にも論文の質(被引用件数)と数の両方を考慮したh-indexという指標も使われているようです.
http://ja.wikipedia.org/wiki/H%E6%8C%87%E6%95%B0

そこで,研究室ホームページに掲載している学術雑誌論文のインパクトファクターと被引用回数を調べてみました.
以下に,それぞれのベスト5を示します.
なお,論文の先頭についている番号は,研究室ホームページ(https://bsys.hiroshima-u.ac.jp/wordpress/international-journal-papers)に記載している論文番号です.

インパクトファクター

第1位 (IF=4.869): NeuroImage
139. Brain Activation during Manipulation of the Myoelectric Prosthetic Hand: A Functional Magnetic Resonance Imaging Study
Masaharu Maruishi, Yoshiyuki Takana, Hiroyuki Muranaka, Toshio Tsuji, Yoshiaki Ozawa, Satoshi Imaizumi, Makoto Miyatani, and Junichiro Kawahara
NeuroImage, Vol.21, No.4, pp. 1604-1611, 2004.

第2位 (IF=3.709): European Journal of Neuroscience
166. Motor strategies and excitability changes of human hand motor area are dependent on different voluntary drives
Zhen Ni, Nan Liang, Makoto Takahashi, Takamasa Yamashita, Susumu Yahagi, Yoshiyuki Tanaka, Toshio Tsuji, and Tatsuya Kasai
European Journal of Neuroscience, Vol. 23, pp. 3399-3406, 2006.

第3位 (IF=2.932): International Journal of Innovative Computing, Information & Control
194. EMG Pattern Classification using Hierarchical Network based on Boosting Approach
Masaru OKAMOTO, Yukihiro MATSUBARA, Keisuke SHIMA and Toshio TSUJI
International Journal of Innovative Computing, Information & Control, Special Issue on Soft Computing and Applications, Vol. 5, No. 12(B), pp.4935-4943, 2009.

第4位 (IF=2.496): IEEE Transactions on Biomedical Engineering
183. Analysis of Current Density and Specific Absorption Rate in Biological Tissue Surrounding Transcutaneous Transformer for an Artificial Heart
Kenji Shiba, Masayuki Nukaya, Toshio Tsuji, and Kohji Koshiji
IEEE Transactions on Biomedical Engineering, Vol. 55, No. 1, pp. 205-213, Jan. 2008.

185. Energy Transmission Transformer for a Wireless Capsule Endoscope: Analysis of Specific Absorption Rate and Current Density in Biological Tissue
Kenji Shiba, Tomohiro Nagato, Toshio Tsuji, and Kohji Koshiji
IEEE Transactions on Biomedical Engineering, Vol. 55, No. 7, pp. 1864-1871, 2008.

第5位 (IF=2.327): Chemical Senses
214. An artificial neural network approach for glomerular activity pattern prediction using the graph kernel method and the Gaussian mixture functions
Zu Soh, Toshio Tsuji, Noboru Takiguchi, and Hisao Ohtake
Chemical Senses, Vol. 36, No. 5, pp. 413-424, 2011.

被引用回数

第1位 (TC=112)
53. Human Hand Impedance Characteristics during Maintained Posture in Multi-Joint Arm Movements
T.Tsuji, P.Morasso, K.Goto and K.Ito
Biological Cybernetics, Vol.72, pp.475-485, 1995.

第2位 (TC=103)
127. A Human-Assisting Manipulator Teleoperated by EMG Signals and Arm Motions
Osamu Fukuda, Toshio Tsuji, Makoto Kaneko and Akira Otsuka
IEEE Transactions on Robotics and Automation, Vol.19, No.2, pp.210-222, April 2003.

第3位 (TC=53)
71. Active Antenna for Contact Sensing
M.Kaneko, N.Kanayama and T.Tsuji
IEEE Transactions on Robotics and Automation, Vol.14, No.2, pp.278-291, 1998.

第4位 (TC=37)
81. A Log-Linearized Gaussian Mixture Network and Its Application to EEG Pattern Classification
T.Tsuji, O.Fukuda, H.Ichinobe and M.Kaneko
IEEE Transactions on Systems, Man, and Cybernetics-Part C: Applications and Reviews, Vol. 29, No. 1, pp.60-72, February, 1999.

第5位 (TC=25)
110. Further insight into the task-dependent excitability of motor evoked potentials in first dorsal interosseous muscle in humans
Y. Hasegawa, T. Kasai, T. Tsuji and S. Yanagi
Experimental Brain Research, Vol.140, pp. 387-396, August 2001.

ここに挙げたIFやTCが良いのか,悪いのか,よくわからない結果となりましたが,今後はこのような研究業績評価が普通に行われることになりそうです.
もちろん,これで研究成果のすべてが決まるわけではありませんが,これらの基準で評価されることがわかっているのであれば,普段から少しずつインパクトファクターや被引用回数を上げる努力をしておくことも大切でしょう.

ときどき自分自身の業績評価を行ってみるとおもいしろいと思います.
「もっと論文を投稿しよう」という気になると思いますので.
(ちなみに学内であれば,以下のページに検索の仕方が説明されています.http://www.lib.hiroshima-u.ac.jp/database/wos3.html

第277回 卒論中間発表会2011

2011.07.12

今年度も7月5日(火),12日(火)の2日間,恒例の卒論中間発表会を開催しました.

生体システム論研究室では,毎年,7月に卒論中間発表会を行っています.
4年生の卒論テーマが決まったのが4月頃で,実質的に研究テーマに取り組み始めたのは5月頃からだったと思いますので,7月初旬の中間発表会は時期的にはかなり早い設定です.
しかし,研究テーマ決定後の具体的な目標として,また大学院進学希望者にとっては院試勉強に向けてのひとつの区切りとして,非常によい経験になったのではと思います.

発表してくれた伊藤 達也君,伊藤 雅史君,佐々木 桂一君,末田 大和君,中村 豪君,早志 英朗君,福地 智宏君,宮本 健太郎君の8名全員,全力で研究に取り組んでいる様子がよくわかる素晴らしい発表だったと思います.
短い準備期間にもかかわらず十分に魅力的な研究発表のレベルに達している人も多くおり,非常に感心しました.
全力で取り組んだ成果が,発表態度や話し方にも目に見える形で表れていたと思います.

各自,自分に研究発表に対して満足できた点,心残りの点などいろいろあるかと思いますが,今回の自分の発表内容をもう一度,見直し,今後の課題や目標をよく整理しておくとよいでしょう.
今回の結果に自信を持ち,より高いレベルを目指してすこしずつ進めていくことが大切です.
もちろん,各グループの先輩たちの助けがなかったらこれだけの発表はできなかったのではと思います.
指導をしてくれた先輩たちに深く感謝するとともに,今回の経験を次回の発表に活かせるよう,引き続きがんばってください.

4年生から大学院にかけての数年間は,新しい知識を面白いように吸収できる特別の時期だと思います.
この時期にどれくらいの力をつけるかによって,その後の人生が大きく変わってくると言っても過言ではありません.
特に,研究を始めたばかりの4年生にとってこの1年は,多くの新しい知識だけでなく,ものごとを主導的に進めていくのに必要な実行力を身につける絶好のチャンスです.
より高いレベルを目指して積極的に行動していくとよいでしょう.

4年生のみなさん,おつかれさまでした!

第276回 コラム

2011.07.05

研究室ホームページでは,研究室関係のニュースやトピックスを “Column” としてまとめています.
https://bsys.hiroshima-u.ac.jp/wordpress/news_list/column

本研究室では授業期間中,全体ゼミを毎週行っており,その内容を全体ゼミ議事録としてまとめています.
議事録の内容は,研究室のニュースやお知らせ,各研究グループの今後の予定,研究発表者の内容まとめと質疑応答メモ,発表評価アンケート結果などですが,議事録冒頭に記載した研究室ニュースやトピックスなどに関する話題を2004年6月23日分から研究室ホームページにも掲載しています.

ホームページに掲載したコラムもすでに270回を超えました.
この中から,問い合わせが多いトピックスに関連した記事を以下にピックアップしておきます.

■生体システム論研究室に興味をお持ちのみなさんへ

「生体システム論研究室って?」
https://bsys.hiroshima-u.ac.jp/wordpress/news/10624
https://bsys.hiroshima-u.ac.jp/wordpress/news/10625

「サイバネティクスを超えて」
https://bsys.hiroshima-u.ac.jp/wordpress/news/10740
https://bsys.hiroshima-u.ac.jp/wordpress/news/10741

■博士学位取得に関心があるみなさんへ

「博士課程後期への進学 -博士号取得への道-」
https://bsys.hiroshima-u.ac.jp/wordpress/news/10501

「博士学位取得への道」
https://bsys.hiroshima-u.ac.jp/wordpress/news/10542
https://bsys.hiroshima-u.ac.jp/wordpress/news/10543
https://bsys.hiroshima-u.ac.jp/wordpress/news/10544
https://bsys.hiroshima-u.ac.jp/wordpress/news/10545

「論文投稿のすすめ」
https://bsys.hiroshima-u.ac.jp/wordpress/news/10647
https://bsys.hiroshima-u.ac.jp/wordpress/news/10648
https://bsys.hiroshima-u.ac.jp/wordpress/news/10649

■来年,就職活動を予定しているみなさんへ

「魅力的な発表のためのチェックリスト」
https://bsys.hiroshima-u.ac.jp/wordpress/news/10725

■今年度論文執筆を予定しているみなさんへ

「今年こそ(?)-早期論文作成のすすめ-」
https://bsys.hiroshima-u.ac.jp/wordpress/news/10636
https://bsys.hiroshima-u.ac.jp/wordpress/news/10637

特にM2のみなさんは最後の記事を確認しておきましょう.

今後も “Column” を通じて,さまざまな研究室情報を発信していければと思います.
すこしでも,みなさんの参考になれば幸いです.

第275回 サイバネティクスを超えて (2)

2011.06.28

<前回から続く>

■未知の環境を探索するバクテリア模倣型移動ロボット[2]

はじめて経験する環境で特定の刺激を手掛かりとしてその信号源を探索するロボットには、多くの困難がつきまといます。
環境には手掛かりである刺激を乱す多くのノイズが存在しますし、環境から働く予測不可能な力によって正確な現在位置さえ計測することは困難です。
そこで、私たちは体長わずか2〜4μmいう小さな身体でこの難題を解決しているバクテリアに注目しました。
まず、大腸菌E. coliの走化性トランスデューサー型蛋白質と細胞内蛋白質によるシグナル伝達経路を化学反応式で表現し、刺激入力から鞭毛モータ出力までの一連の過程をモデル化しました。
次に、このモデルをコンピュータに組み込み、人工センサでキャッチした刺激信号を入力として移動ロボットの前進と方向転換を切り換えるバクテリア模倣型制御アルゴリズムを構築しました。
大腸菌の走化性アルゴリズムを搭載したバクテリア型移動ロボットは、そのサイズの違いから当初はうまく動作できなかったものの、アルゴリズムに含まれる反応速度パラメータなどを進化的に調節することにより、生物とほぼ同様の探索行動を再現することができました(図2)。
私たちの研究班では、他にもゾウリムシ型や線虫型の移動ロボットの開発を進めており、それらの行動アルゴリズムの違いに興味を持っています。

■ロボット技術は生物研究に役立つか?

生物の走化性アルゴリズムをロボットに搭載することにより、生物モデルが人工物を制御する能力を秘めていることを証明することができました。
私たちの研究班では、研究の次のステップとして、「ロボット技術を利用して生物の運動に伴う内部状態の変化をキャッチできるか」という取り組みに着手しています[3]。
対象としている生物は線虫です。
私たちは線虫の身体をロボットとみたて、線虫の運動を記録したビデオ画像から、その運動を実現するために必要とされる筋や運動ニューロンの活動を計算できないかと考え、現在、研究に取り組んでいます。
光学計測による生物実験とロボット技術を駆使したモデル解析のコラボレーションによって、生物学と工学を結び付ける新たな新学術研究が展開できればと考えています。

図2 バクテリア模倣型移動ロボット
(a) 開発した移動ロボット。底部に設置したフォトセンサにより床面の明るさを計測し、上部に搭載したCPUで左右両輪を独立に制御します。
(b) 実験に用いた仮想環境。床に描いた濃淡模様を化学物質の濃度勾配にみたてることにより、誘引物質への集積行動と忌避物質からの逃避行動を仮想的に再現しました。

[2] Toshio Tsuji, Michiyo Suzuki, Noboru Takiguchi, Hisao Ohtake: Biomimetic Control Based on a Model of Chemotaxis in Escherichia coli, Artificial Life, Vol. 16, No. 2, pp.155-177, Spring 2010.
[3] 曽 智, 山田 泰隆, 正岡 和弥, 服部 佑哉,鈴木 芳代,辻 敏夫,大竹 久 夫: 線虫 C. elegans の動力学モデリングとシミュレーション, 第55回システム制御情報学会研究発表講演会論文集, T0411, 2011.

第274回 サイバネティクスを超えて (1)

2011.06.21

本研究室は,文部科学省科学研究費補助金新学術領域研究「神経系の動作原理を明らかにするためのシステム分子行動学」に参加し,生物学と工学を融合した研究に取り組んでいます.
先日,「領域ニュース」のvol.2に本研究室における取り組みの一部を紹介しました.
以下,2回に分けてその内容を紹介したいと思います.

サイバネティクスを超えて
〜生物のしくみに学ぶロボティクス〜

■はじめに

「生物が外界からの情報を感覚器を通じて獲得し、中枢で処理し、筋肉系の行動として再び外界に働きかける過程は、機械のシステムと同じ次元で議論できる。」
これはノーバート・ウィーナーが提唱したサイバネティクスの考え方です。
実際、ヒューマノイドに代表される生物型ロボットには、生物と見紛うような動きをするものが多く見られますし、工場で使われるような決まった作業を繰り返し行うためのロボットは、その作業精度と耐久性において生物の能力をはるかに凌駕しています。
しかしながら、その一方で、生物が経験や学習、進化のプロセスを通じて獲得してきた巧みなスキルや臨機応変な判断力など、ロボットで再現することが困難な能力も非常に多く存在しています。
このような能力をロボットに与えるためには、制御や通信といった工学技術の枠に生物をあてはめるというサイバネティクス的アプローチだけではなく、生物の有する機能やメカニズムに正面から向き合い、生物のアルゴリズムそのものを工学的に吸収するというアプローチが必要ではないでしょうか。
そこで私たちの研究班では、生物が有する情報処理メカニズムを「生物のしくみに学ぶ」という立場で理解し、機械システムの設計や制御に応用したいと考えています。
具体的には、人間の生体信号(筋電位や血圧脈波等)を計測・理解し、その結果を利用して電動義手や食事支援ロボットなどの機器を操作する技術[1]や、単細胞生物の環境適応アルゴリズムに基づく移動ロボットの知能化制御技術[2]などを開発してきました。
以下、これらの研究の概要を紹介します。

■運動機能を代行するバイオミメティック人間支援ロボット[1]

人間の身体には脳波や筋電位、眼電位など、さまざまな生体電気信号が存在しています。
私たちはこれらの電気信号を人間とロボットの間のインタフェースの手段として利用することを考え、体内の電気信号を伝搬する神経とインタフェースする人間支援ロボットの開発を目指しています。
例えば、図1は人間の作業を助ける義手型ロボットです。操作者の腕には筋電位を計測するための電極が取り付けられており、筋に強く力を入れるとロボットも大きな力を発揮し、逆に操作者が力を抜いてリラックスするとロボットの腕もやわらかく動作します。
ロボットの制御アルゴリズムには人間の神経‐筋系モデルを組み込んでおり、これにより人間のようなやわらかな動きを再現することができます。
他にも電動車椅子型や食事支援型、音楽演奏型などのタイプがあり、身体障害者の方々の生活支援を目的として開発しています。

図1 義手型人間支援ロボット
計測した筋電位から操作者が意図する筋力、動作、関節の粘弾性を瞬時に読み取り、操作者の運動を再現します。
手首関節を含むハンド部分を取り外して前腕切断者の身体に装着することができ、切断者の意図した運動を代行することが可能です。

[1] 辻 敏夫, 島 圭介: 生体信号でロボットを自在に操る, 電子情報通信学会誌,Vol. 90, No. 10, pp. 854-858, 2007.

<以下,次回に続く>

第273回 科学研究費

2011.06.14

本研究室では,毎年,学外から多額の研究費をいただいて研究活動を行っています.
中でも,文部科学省と日本学術振興会の助成事業である科学研究費は,専門家による厳しい審査(ピアレビュー)を経て採否が決定される重要な研究費です.

今年度は,4つの研究グループの研究テーマに関連して,研究代表者,研究分担者として以下の8件の科研費の交付を受けました.

■「生物行動のシステム工学的解釈とバイオミメティック・センサ・システムの提案」
       (新学術領域研究(研究領域提案型),研究代表者:辻 敏夫)

■「磁気で力を測る:指タップ力計測法の提案とパーキンソン病診断支援システムの開発」
       (基盤研究(B).研究代表者:辻 敏夫)

■「滑り知覚規範による人の力制御戦略のモデル化とその工学的応用」
       (若手研究(B),研究代表者:栗田 雄一)

■「双腕拘束作業における人間の力感覚・運動相互作用の解明とデバイス反力設計への応用」
       (基盤研究(C),研究代表者:田中 良幸)

■「ニューラルネットワーク制御による多指機構を有する5指駆動型筋電義手の開発」
       (基盤研究(C),研究代表者:陳 隆明)

■「分子生物学と医工学を用いた大動脈瘤病態への新規アプローチ」
       (基盤研究(C),研究代表者:吉栖 正生)

■「動脈硬化評価のための血管機能総合診断システムの構築」
       (基盤研究(C),研究代表者:東 幸仁)

■「昼食後の短時間仮眠がその後の運動パフォーマンスに与える効果に関する研究」
       (挑戦的萌芽研究,研究代表者:福場 良之)

また,日本学術振興会特別研究員の島 圭介君,曽 智君,芝軒 太郎君にも,科学研究費補助金(特別研究員奨励費)が支給されています.

厳しい経済情勢の中,これらの研究費によってさまざまな実験装置や研究資材を購入したり,国内/国外の学会に参加することができるのはたいへんありがたいことです.
私たちは,この恵まれた状況に感謝しつつ,研究費を決して無駄にすることがないよう,気を引き締めて研究に取り組んでいく責任があります.
そして,研究成果を実社会に還元できるよう,高いレベルの学術性と実用性を兼ね備えた研究を推進していければと考えています.

第272回 第二類講座対抗駅伝2011

2011.06.07

工学部第二類恒例の講座対抗駅伝が6月4日(土)に開催されました.

生体システム論研究室からは,「チーム生体」,「STRIKIN’ BACK」という2チームが出場しました.
卒業生のみなさんの中にも,駅伝の結果を楽しみにしている人がいる(?)ようですが,今年度も2位,21位と素晴らしい好成績を収めました!

個人賞(区間賞)も,M2の植野 岳君,M1の大塚 紘之君,B4の伊藤 達也君,中村 豪君の4名が見事に獲得しました.
特に植野君は3年連続の入賞です!
以下は,駅伝幹事の福地 智宏君がとりまとめてくれた今年度の結果です.

◇チーム順位
2位 チーム生体
21位 STRIKIN’ BACK

◇個人賞(区間賞)
第4区の3位: 中村 豪 君
第5区の2位: 植野 岳 君
第6区の3位: 大塚 紘之 君
第7区の2位: 伊藤 達也 君

研究や就活で忙しい中,みんな,よくがんばったと思います.
来年の駅伝も楽しみですね.
みなさん,おつかれさまでした!!!

第271回 2011年度に入って最初の学会発表を行いました.

2011.05.31

本研究室では国内,国外の学会での研究発表に積極的に取り組んでおり,毎年20〜30件の研究発表を行っています.
学会にはその分野の専門家や他大学の若い研究者が数多く参加しており,貴重な意見や最新の情報を得ることができる絶好の機会です.

特に学生の発表者にとっては自分自身を成長させる大きなチャンスであり,他では得ることができないような貴重な経験となります.
また,論文提出締め切り日や発表日といったスケジュールが設定されるので,卒論や修論を進める上でも非常に良いドライビングフォースとなるでしょう.

今年度も5月後半に2つの学会に参加しました.
まず,5月17〜19日に大阪大学で開催された第55回システム制御情報学会研究発表講演会(SCI’11)において,PDの曽 智君が「生体・生命システムの計測と数理」というオーガナイズドセッションで講演を行いました.

線虫 C. elegans の動力学モデリングとシミュレーション
曽 智, 山田 泰隆, 正岡 和弥, 服部 佑哉,鈴木 芳代,辻 敏夫,大竹 久夫
第55回システム制御情報学会研究発表講演会論文集, T0411, 2011

また,5月27〜28日に岡山コンベンションセンターで開催されたROBOMEC2011では,D1の平野陽豊君,M1の平野博大君がそれぞれ研究発表を行いました.
この学会はすべての発表がポスター発表で,二人とも多くの聴講者とディスカッションすることができました.

箔状圧電センサを利用した血圧脈波の計測
―足背動脈波計測と血管粘弾性インデックスの推定―
平野陽豊, 丸山大海, Kutluk Abdugheni, 辻敏夫, 福田修, 上野直広, 鵜川貞二, 中村隆治, 佐伯昇, 河本昌志, 吉栖正生
日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会2011講演論文集,2P2-O09(1)-(4),2011.

光電容積脈波を利用した対数線形化末梢血管粘弾性インデックスの提案
平野博大, 堀内徹也, 丸山大海, 平野陽豊, Kutluk Abdugheni, 辻敏夫, 鵜川貞二, 中村隆治, 佐伯昇, 吉栖正生, 河本昌志
日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会2011講演論文集,2P1-B06(1)-(4),2011.

毎年,秋から冬にかけて多くの学会が開催されます.
学生諸君はぜひ積極的にチャレンジしていくとよいと思います.

第270回 広島大学オープンキャンパス2011

2011.05.30

今年度の広島大学オープンキャンパスは,8月8日(月),9日(火)の2日間,広島大学東広島キャンパスで実施されます.
生体システム論研究室でも4つの研究グループごとにデモンストレーションを用意し,私たちが取り組んでいる研究の内容をできるだけわかりやすく紹介したいと考え ています.

8月8日(月) 工学部・工学研究科A1棟2階 筋電グループ
8月9日(月) 工学部・工学研究科A1棟5階 生体グループ,MEグループ,A-lifeグ ループ
#両日とも,10:30, 11:30, 13:30, 14:30, 15:30, 16:30にデモを行う予定です.

研究室へのアクセスは以下のページをご参照ください.
https://bsys.hiroshima-u.ac.jp/wordpress/access
http://www.hiroshima-u.ac.jp/add_html/access/ja/saijyo7.html
http://www.hiroshima-u.ac.jp/top/access/higashihiroshima/

本学への進学を考えている高校生だけでなく,大学院工学研究科システムサイバネティクス専攻への入学を希望している他大学の学生,生体システ ム工学や人間工学に興味を持っている工学部第二類の1~3年生など,本研究室に興味を持ってくださっているすべての方々の参加を歓迎します.
当日は,研究室生活や研究内容に関する質問,進学相談なども受け付ける予定です.
以下に,各グループがまとめてくれた昨年度のオープンキャンパスの開催録を紹介します.
研究者相手の発表とは違って,一般の人々に自分たちの研究の魅力をうまく伝えることは意外に難しいですね.
できるだけわかりやすく研究の本質 を説明するためには,説明者自身が研究内容の重要なポイントをきちんと把握していることはもちろん,その専門的な内容をわかりやすい言葉で表現するだけのコミュニケーション能力を備えている必要があります.
非常に良い機会だと思いますので,各グループごとに昨年度の結果を見直し,よりわかりやすく,かつ魅力的な説明ができるよう,デモンストレーション内容や説明の仕方を工夫するとよいでしょう.
昨年度は100名を超える見学者で大盛況でした.今年度も多くの方々のご参加をお待ちしています.

-<2010年度オープンキャンパス開催録>———————-
■2010年オープンキャンパス 1日目:
●グループ名:筋電グループ(部屋番号:241)
デモ内容①:3指義手,5指義手,筋電マウス,Bio-Music
説明者 :菊池
実演者 :山口,平松
◆質問内容:
Q1. 義手以外には何を行っているのか.
A1. 生体信号を計測して車椅子や家電機器を操作しています.また,生物の仕組みのモデル化や人間の身体の特性を考慮した車の設計など様々な研究を行っています.
Q2. 義手を操作するには電極を貼り付けなければならないのか.
A2. 筋電信号を計測するために貼り付ける必要があります.実際に処方されている筋電義手には電極が内蔵されているため,義手を腕に装着すると操作することが可能です.
Q3. 先天的に腕を失くしている方でも義手を操作できるのか.
A3. 訓練することによって操作できるようになる可能性があります.本研究室では仮想空間に義手のモデルを生成して,その操作訓練を行う訓練システムを開発しています.
Q4. 肩から切断していた場合でも操作できるのか.
A4. 筋電信号の計測ができれば操作可能です.しかしながら,実際には筋電信号の計測やコントロールが難しく,上腕切断の方が義手を自在に操作できるように研究を進めていく必要があります.
Q5. 電極を貼る位置はどのように決めているのか.
A5. 現在は経験的に上手く信号を計測できる部分に貼っています.実際に義手を患者に処方する場合でも経験的に決めているため,本研究室では適切な電極位置を選ぶ研究も行っています.
Q6. 義手の重さはどのくらいか.
A6. 3指義手は800g程度です.最近では500g未満の軽い義手も開発されています.
Q7. 5指義手の握る強さは調整できるのか.
A7. 操作者の力の入れ具合に合わせて調整可能です.
Q8. どの部分まで腕が残っていれば義手を操作できるのか.
A8. 筋電信号の計測ができれば操作可能ですので,肩に近い部分まで切断していても操作できる可能性はあります.しかし,実際には肘より上が切断している場合は筋電義手の操作が難しく,義手を処方されないケースが多いです.
Q9. 工学部に女の子は少ないのか.
A9. 少ないです.しかし,サークルやバイトなどをすることで出会うはことはできます.
Q10. 就職はどの程度できるのか.
A10. 本研究室のM2は今年全員就職が決まっています.工学部には学校推薦という制度があるため,就職活動が有利に進められると思います.
Q11. 筋電信号に個人差はないのか.
A11. あります.そのため,本研究室ではニューラルネットを用いて個人個人の信号を学習することで,誰でも操作可能なシステムを開発しています.
Q12. 5指義手はワイヤーを引っ張ることで曲げているのか.
A12. そのとおりです.指ひとつひとつにモータがついており,ワイヤーで引っ張っています.
Q13. 5指義手はこの研究室で作っているのか.
A13. 本研究室で作製しております.設計図を書いて部品を発注し,組み立てています.
Q14. 電極を貼りかえるたびに学習する必要があるのか.
A14. 基本的には学習する必要があります.学習することによって筋電信号の個人差や電極の位置の違いなどに対応することができ,誰でも同じように操作することが可能になります.
Q15. 義手制御システムはどのくらい大きいのか.
A15. 現在は様々な計測機器や変換機器などを個別に用意して接続しているため大きくなっていますが,システムを1チップ化して小さくする研究も行っています.
Q16. 研究のやりがいはありますか.
A16. あります.開発したシステムを実際に一般の方に使用していただいたり,研究会などで外部の方に評価していただけので,やりがいをもって研究活動を行うことができます.
◆感想:
特に大きな問題はなく,各種システムの操作・説明が上手く行えていました.アンケートの評価もとても良く,楽しく聞いていただけたと思います.質疑応答に関して,知識がまだ十分でなく答えに詰まることがありましたが,M1,M2でサポートできていました.
今後もより良いデモができるよう事前準備,メンテナンス等しっかり行っていきます.
—–

●グループ名:筋電グループ(部屋番号:231)
デモ内容②:車椅子,家電,ゲーム
実演者 :植野
説明者 :杉江
◆質問内容:
Q1. 車椅子の値段はいくらなのか.
A1. まだ,市販はされていないのですが,EMG信号の計測,学習,制御のシステム全体で500万円ほどになります.
Q2. 販売されているのか.
A2. 販売はされていません.学生だけでは,システムのアフターケアなどを行うことが難しいので,サポートをしていただける企業があれば,すぐにでも売り出したいと考えています.
Q3. 車椅子が大きく,使える場所が限られると思うが,どこで使うのか.
A3. この車椅子を使用しなければいけないということはないので,より小さな車椅子を用いればどこでも使えます.また,家電機器の操作などは車椅子を用いなくても,パソコンと赤外線を送信する小型の装置だけで使用可能です.
Q4. 人によって筋の付き方も違うと思うが,誰でも使用可能なのか.
A4. 誰でも使用可能です.確かに人によって筋の付き方が違い,EMG信号の大きさも異なるのですが,このシステムでは使う人に合わせてパソコンに動作を学習させることができます.
Q5. 動作と制御内容の対応を間違えてしまう事はないのか.
A5. 上手く対応をさせていれば,ほとんど間違えることはありません.例えば,「手首を上に曲げると椅子が上に動く」など,直感的にわかりやすいように割り当てておけば,動作と制御の対応を間違えにくくなります.
Q6. 義手で用いていた電極と家電操作で用いた電極は何が違うのか.
A6. 義手の操作に用いた電極は医療用で,ペーストを塗る必要がある代わりに精度よく計測できます.家電操作で用いた電極は精度が少し落ちる代わりに簡単に皮膚に接触させるだけで使えるものです.
Q7. 新しいテレビなど,製品を買った場合にはどうするのか.
A7. 新しく買ったテレビのリモコンの赤外線を装置に当て,パソコンに覚えさせることで,新しい製品でも,この家電操作のシステムを用いて使うことが出来ます.
◆感想:
終始ほとんど途切れることなく見学の方が来られて,中には反応の大きな人や鋭い質問をされる方もあり,非常に充実したオープンキャンパスであったと思います.今回の経験を活かして,これからのデモもより良いものにしていきます.
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◆見学者からのコメント:
・とても進んでいて驚きました.専門外でも分かりやすく説明していただき,よかったと思います.
・広大に合格したら,この研究室に入りたいと思いました.
・筋電位信号で障害のある人も自由に動けるようになることはすばらしいと思った.
・見てきた中で一番面白かった.
・はじめて大学の研究室をみて感動しました.
・電動義手が特に興味がわいた.
・脳波(思考)で動かせるように研究してください.
・学問が具体的に社会に役立つために応用されていてすばらしい.
・説明が丁寧で分かりやすかった.
・大変面白かったです.研究室の方の仲もよさそうで良いかんじでした.障害者の方たちのためになる点もすばらしいし,健常者の方にもいろいろ活用できると思いました.
・筋肉からでる電気でいろいろなものを動かせることに驚いた.
・電動車椅子のことを今回初めて知りましたが,とてもすごいと思いました.500万円でも安いと思ったぐらいです.
・保護者として参加しました.ここの研究室の学生さんはとても感じが良く,説明が丁寧でした.ありがとうございました.
・説明も分かりやすく,理解しやすかったです.いずれの研究も実用化され社会に役立つよう期待しています.
・テレビでしか見れなった技術を間近で見る事ができたのでうれしかった.
・どちらも実用化できればとても便利だと思います.自分も動かしてみたかったです.
・ブレインコントロールを考えてみると,もっと重度障害の方でも使えると思います.
・知らない世界を見せていただき,とても感動しました.皆様が研究されていることが色々な方の助けになっていることがすばらしいと思います.

■2010年オープンキャンパス 2日目:
●グループ名:MEグループ(部屋番号:544)
デモ内容:超音波測定,エアパックセンサ,薄状圧電センサ
説明者 :平野(博)
実演者 :木原,堀内
◆質問内容:
Q1. ドライビングシートを用いて飲酒運転をどのように評価しているのか.
A1. 脈の感覚や呼吸はを調べることで飲酒しているか評価します.
Q2. ドライビングシートの実用の目処はどの程度たっているのか.
A2. 飲酒,居眠り,いらいらなど情報がわかるようになっており,数年のうちに実用化できるくらい出来上がっています.
◆感想:
午前中,B4の説明が堅苦しいものとなっており,高校生の反応があまり良くなかったように思えた.午後からは,発表側も慣れてデモをしたときや,逆質問をしたときの高校生の反応が良くなったように思えた.時間配分がうまくいかず,他のグループの方や高校生に迷惑をかけた点などがあったので,今後は注意していきたいと思います.
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●グループ名:A-lifeグループ(部屋番号:533)
デモ内容①:メダカの生体電気信号計測
説明者 :来山
実演者 :来山
◆質問内容:
Q1. 実際に工場廃水の監視はメダカを使っているのか.
A1. 実際にメダカ等の小型魚類を工場などで使用しています.しかしながら,今ある装置は魚が死んだかどうかしか判断できないので,汚染の発見が遅れる可能性があります.今研究しているシステムでは汚染が始まると即座に発見できるため,有用だと思います.
◆感想:
質問が少なかったことと,あまり興味をもってもらえなかったことが残念でした.もっと興味をもってもらえるような説明やPPTを作るべきだったと後悔してます.ただ,中にはよく話を聞いてくれていた人もいたので少しは充実感がありました.この反省を次に生かせるように精進していきたいです.
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●グループ名:A-lifeグループ(部屋番号:533)
デモ内容②:線虫バーチャルモデルの開発
説明者 :正岡
実演者 :正岡
◆質問内容:
Q1. ロボットは水中でどう動いているのか.
A1. ロボットはくねり運動をしているだけで,その時にかかる水の抵抗を利用して水中を泳いでいます.
◆感想:
本日のデモでは少し固い発表になってしまったので,高校生が食いつけるような発表ができたらよかったです.実物のロボットがあればもっとインパクトが出ると思うので,今度はもっとおもしろいデモにしたいです.
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●グループ名:生体グループ (部屋番号:532)
デモ内容:ドライビングシミュレータ,モーションキャプチャ
説明者 :松原,成末
実演者 :中原,井上
◆質問内容:
Q1. 高速,低速時を考慮してステアリングを設計しているのか.
A1. 今回は行っておりません.しかし,実際に考慮する必要はあると考えます.
Q2. 実車にデモ内容のような電子制御を導入し,異常が生じるとどうなるのか.
A2. 壊れた場合は制御できなくなります.なんらかの安全対策が必要になります.
Q3. この制御は実車に使われているのか.
A3. 近年では,多くの自動車で電子制御を用いたステアリング制御が行われています.しかしながら,私たちが考案したプログラムは現段階では使用されておりません.
Q4. 赤い服を着ていても計測できるのか.
A4. 色を抽出して計測を行っているので,マーカと同じ色の服を着ている場合は計測できません.
Q5. 手についている赤いものは何ですか.
A5. マーカといって,その動きを計測することで運転中の人間の動きなどを記録することができます.
Q6. 大学の勉強は忙しいか.
A6. 大学では自分の興味がある分野の勉強ができるので,勉強したい分野が多ければそれだけ忙しくはなります.
Q7. 今のステアリングの位置は最適な位置か.
A7. 今は実車に基づいて位置を設定しております.
Q8. この装置(仮想ペダル装置)は何をするか.
A8. 操作しやすいペダルを実現するために研究を行っている装置です.
◆感想:
特に大きな問題はなく,説明を行えたと思います.ただ,午前中は説明が硬くあまり良い反応をいただけなかったので,もう少し分かりやすく説明を行う必要があったと感じました.午後からは,積極的に質問や体験をしていただいたので良かったと思います.
——

◆見学者からのコメント:
・ドライビングシミュレータが面白かったです.
・実際に体験できておもしろかったです.
・親切で丁寧な説明でわかりやすかった.
・普段できない体験ができて楽しかったです
・工学系のことだけでなく他の学部に応用させることに興味を持ちました.
・普段の生活に利用できたりするので、すごいと思った.
・水中で線虫が動くことに興味を持ちました.
・「生体システム論」は、どういったものか理解することができました.
・工学はロボットだけを作っているイメージがありましたが、医学分野で役立つことも研究しているとわかり勉強になりました.ありがとうございました.
・線虫モデルは,将来的に役立つと思いました.
・工学部にはいろいろな内容の研究があり,みなさんが楽しそうに研究している印象を受けました.
・研究している内容に複雑さを感じ,興味がわきました.
・実際に体験することができ,よかったです.
・さまざまな応用例をあげて頂き,わかりやすかったです.

第269回 広島大学ハイパーヒューマンテクノロジープロジェクト研究センター

2011.05.17

広島大学ハイパーヒューマンテクノロジープロジェクト研究センターの第3期の活動を開始しました.

「広島大学プロジェクト研究センター」は,
1) 本学の特徴ある研究を広く学内外に発信すること
2) 自立的で自由な発想の下で展開される学部や研究科の枠を超えたプロジェクト型の研究活動を推進すること
を目的として,2003年4月1日に設置されました.
ハイパーヒューマンテクノロジープロジェクト研究センターもこのとき同時に設置され,21世紀COEプログラム応募に向けての基盤作りのため第1期(2003-2007年度)の活動を開始しました.
その後,広島大学21世紀 COEプログラム「「超速ハイパーヒューマン技術が開く新世界」(2004-2008年度)が採択され,第2期(2008-2010年度)の活動を経て,今年度から第3期(2011-2013年度)が始まりました.

平成23〜25年度 広島大学ハイパーヒューマンテクノロジープロジェクト研究センター
 センター長: 辻 敏夫 (広島大学大学院工学研究院)
 研究実施部局: 広島大学大学院工学研究院
            広島大学大学院医歯薬学総合研究科
            広島大学病院

第3期では,生体の機能解析及びハイパーヒューマンテクノロジー基盤技術の確立を目指して,
(1) 人間の生体機能解析およびそのモデル化技法の開発
(2) サイバネティックインタフェース技術の開発
(3) 生体生理信号マイニング技術の開発
(4) 生物模倣型ハイパーヒューマン技術の開発
という4つの課題に取り組みます.
この4つの課題は本研究室の各グループの研究課題でもあり,本研究室のメンバー全員が広島大学ハイパーヒューマンテクノロジープロジェクト研究センターの活動に大きくかかわっていることになります.

本センターでは,人間の高度で巧みな認知・行動能力に学びつつ,最終的には人間の能力をはるかに超えた新しい技術の創出を目指して,これまでのエンジニアリングの枠組みを超えた横断的研究を展開していきたいと思っています.
どうぞよろしくお願いします.

第268回 2011年度生体システム論研究室歓迎会を開催しました

2011.05.10

今年度から赴任された栗田 雄一先生と新しく研究室に配属されたM1,B4のみなさんを迎え,恒例の歓迎会を開催しました.
当日は,筋電義手開発やリハビリ,新生児運動機能解析などの研究を一緒に行っていただいている県立広島大学保健福祉学部の大塚 彰先生,島谷 康司先生も参加してくださり,楽しい時間を過ごすことができました.
幹事を務めてくれたM1の菊池君,成末君,ごくろうさまでした!

2011年度の研究室メンバーは,学部4年生8名,大学院博士課程前期21名(M1: 12名,M2: 9名),博士課程後期5名,博士研究員3名,秘書1名,教員3名で,総勢41名となります.
研究室内には筋電グループ,生体グループ,ME(メディカルエンジニア リング)グループ,A-life(人工生命)グループという4つの研究グループがあり,それぞれのグループにおいて研究指導,スケジュール管理や研究資材の調達,研究室生活に必要な物品の購入,コンピュータや実験装置の管理など,研究室運営に必要な業務を分担して行っています.
どのグループもグループリーダ,副リーダを中心として全メンバーが役割を分担し,全員で協力しながら研究室を支えてくれています.

本研究室では,極めて巧みで高度な生体機能に注目し,その特徴を電子電気・システム・情報工学の立場から解析・モデル化するとともに,生体システム特有のメカニズムに基づいた新しい医療福祉機器,産業機器の開発を目指しています.
その意味で,4つの研究グループが取り組んでいるさまざまな研究テーマは一つの大きな研究の構成要素であり,研究室メンバー全員で一つの研究に取り組んでいることになります.

今年度もグループ内,グループ間でよく協力し,互いのレベルを高めあえるような活動を継続していければと思います.

第267回 研究発表と評価アンケート

2011.04.26

生体システム論研究室では,研究発表に対する評価アンケートを実施しています.

週1回開催される研究室の全体ゼミでは,毎週数名の学生が自身の研究成果に関する発表を行っています.
発表者は自分の発表日に合わせて研究を進め,研究の目的,内容,進捗状況,結果,考察などについてPCとプロジェクターを使ったプレゼンテーションを行います.
一方,聴講者はプレゼンテーションを聴き,その内容を評価します.

聴講者による発表評価アンケートを行う目的は,大きく分けて以下の2点です.
(1) 発表者に聴講者の感想や意見をフィードバックし,発表内容,研究内容を改善するための手掛かりを与えること
(2) 聴講者に緊張感のある積極的な聴講を促すとともに,的確な質問やコメントを行うための能力を訓練すること

評価の方法はアンケート形式で,評価項目は以下のとおりです.

1. 視聴覚・情報機器の使い方は効果的でしたか
2. 発表者の声,話し方は聞き取りやすかったですか
3. 理解すべき重要な箇所が強調されるなど,発表の説明はわかりやすかったですか
4. 発表に対する発表者の熱意を感じましたか
5. 研究内容は興味深いものでしたか
6. 前回の発表からの進展に満足しましたか
7. 総合的に判断して,この発表に満足しましたか
8. コメント(自由記述)

1〜7の項目に対しては4点, 3点, 2点, 1点, 0点の5段階評価としていますので,合計点は28点満点です.
全体ゼミ終了後,全員のアンケート結果を集計して,全評価者による評価合計点の平均点(発表者本人の自己採点分は除く)を計算し,これを各発表者の総合得点としています.
おおむね得点率80%(28点満点ですから22.4点以上)以上が,優れた発表の目安になると思います.
発表者には総合得点および得点率とともに,記入者情報を削除したアンケート結果の詳細をフィードバックしています.

今月からこの発表評価アンケートにはじめて取り組んでいるM1や4年生も,すでにいろいろなコメントを記入してくれています.
中には単なる感想にとどまらず,発表に関する改善点,今後の研究課題の指摘などを行っている人もおり,感心しています.

全体ゼミでの発表と聴講は,自分の力を高めるための絶好の機会であり,1年後には必ずその成果が表れると思います.
相手に対する敬意と思いやりの気持ちを忘れることなく,全力かつ真剣に取り組むとよいでしょう.

第266回 生体システム論研究室ホームページ2011

2011.04.19

研究室ホームページを2011年度バージョンに更新しました.
https://bsys.hiroshima-u.ac.jp/wordpress/

本研究室ではホームページからさまざまな情報を発信しています.
トップページの左端には以下の7つのメニューを用意しています.

・What’s new: 最新のニュースやお知らせ
・Research topics: 研究紹介,グループ紹介,共同研究
・プロジェクト: 過去・現在の研究プロジェクト
・メンバー: 教員・職員,共同研究者,研究協力者,博士研究員,大学院生,学部生
・研究業績: 学術雑誌論文,国際会議論文,国内講演会発表論文,解説・著書,学位論文,招待講演,受賞情報,記事,放送,展示会・見学会,特許
・学会活動: 学会や社会での活動
・Column: 全体ゼミ議事録に掲載したコラム(今回が第264回目)

「メンバー」ページでは,研究室メンバーの簡単な自己紹介文を読むことができます.

全体ゼミ議事録でお知らせしたニュースのうち公開可能な情報はこのホームページにアップされ,ホームページ自体が研究室のインターネットアーカイブとして機能しています.
特に,研究業績のページではこれまでに発表したほぼすべての研究論文(学術雑誌論文,国際会議発表論文),解説・記事,book chapterなどの情報を閲覧することが可能で,過去の研究成果の全貌をオンラインで参照することができます.
研究室に新加入したメンバーにとっては,自分の研究テーマに関連する過去の論文や研究室のこれまでの研究内容を調べる際にたいへん役立つと思います.
なお,このアーカイブは研究室外の方も自由に閲覧可能です.新しい生体システム論研究の発展に少しでも役立てばと願っています.

今年もホームページの作成・管理・運営は,D2の服部 佑哉君が作業を一手に引き受けてくれています.
本ホームページに関してお気づきの点,修正点,追加の情報等があれば,服部君までお知らせください.

毎年,多くの卒業生,修了生から,「いまでもときどき研究室のホームページを見てます」という話を聞き,うれしく思っています.
今年度もできるだけ多くの研究室情報をお伝えできればと思います.

第265回 2011年度の研究活動を開始しました

2011.04.12

今年度から加入したメンバーの研究テーマと所属する研究グループも決まり,いよいよ2011年度の研究活動を本格的に開始しました

生体システム論研究室では研究室内に4つの研究グループを設け,関連する外部の共同研究者の方々とともに研究テーマごとの研究会を開催しています.
4つのグループとそれぞれが開催している研究会は以下の通りです.

■筋電グループ
 ・筋電義手/バイオリモート研究会
 ・メディカル・データ・マイニング(MDM)研究会
■MEグループ
 ・血管弾性研究会
■A-lifeグループ
 ・A-life研究会
■生体グループ
 ・自動車研究会

各グループは週1回のグループゼミを通じて研究を進め,全体ゼミや上記研究会においてそれぞれの研究成果を発表します.

全体ゼミや研究会で発表する際には,わかりやすく,かつ説得力のあるストーリを組み立てる必要があり,プレゼンテーションの良い訓練になります.
4年生も最初は緊張するでしょうが,1年も経てば落ち着いて堂々とした発表ができるようになると思います.
研究会に参加してくださる共同研究者の方々は,他学部・他大学の先生方,企業・公的研究機関の専門家などで,その専門分野も工学にとどまらず,医学や理学療法/作業療法,生物学など多岐にわたっています.
各分野の専門家と同じレベルでディスカッションできるよう,すこしずつ経験を積んでいくとよいでしょう.

今年度も各グループ間の協力と競争を通じて,できるだけ多くの有益な研究成果を世の中に発信できればと思います.

第264回 平成23年度(2011年度),新たなるスタート

2011.04.05

去る3月23日に平成22年度(2010年度)広島大学学位記授与式(卒業式)が行われ,本研究室からは博士課程後期1名,前期8名,学部8名の計17名が修了/卒業しました.

博士課程後期修了生のアブドゲニ・クトゥルク君には博士(工学)の学位が授与され,今年度は広島大学大学院工学研究院客員研究員(博士研究員)として本研究室で研究活動に従事します.
博士課程前期修了生の大中 潤君,川本 敬之君,草野 洋一君,実政 亨君,髙木 寛君,田村 康裕君,福島 俊介君,丸山 大海君は修士(工学)の学位を得て,就職のためそれぞれの勤務地に向かいました.

学部卒業生には学士(工学)の学位が授与され,菊池 亮太君,木原 大輔君,杉江 研勇君,成末 充宏君,平野 博大君,正岡 和弥君,山口 裕希君の7名は本学大学院工学研究科博士課程前期に進学しました.
松原 弘明君は,就職のため研究室を離れました.
全員,それぞれの道で活躍されることを祈ります!

研究室を離れる9名と入れ替わるようにして,新しいメンバー10名が本研究室に加入しました.
新M1の大塚 紘之君,丸元 崇弘君,新4年生の伊藤 達也君,伊藤 雅史君,佐々木 桂一君,末田 大和君,中村 豪君,早志 英朗君,福地 智宏君,宮本 健太郎君です.
今年も素晴らしいメンバーが集まってくれました.

最初はいろいろと不安なこともあるかと思いますが,何事にも積極的に取り組んでいくことが大切です.
新しい経験が力となって蓄積されていくと信じます.
院生,共同研究者のみなさん,サポート,よろしくお願いします.

また3月31日付で長い間,研究室の技術職員を務めていただいた輝平 盛重先生が退職され,4月1日には栗田 雄一先生が准教授として着任されました.
栗田先生は奈良先端科学技術大学院大学からの異動ですが,以前,広島大学21世紀COEプログラムにおいて特任助教として活躍されていました.
今後は,本研究室において,生体力学的アプローチによる運動評価と医療をはじめとするさまざまな分野への応用研究に取り組んでいかれる予定です.
どうぞよろしくお願いします.

2011度の研究室メンバーは教員3名,秘書1名,博士研究員3名,博士課程後期学生5名,博士課程前期学生21名,学部生8名の計41名で,これは広島大学においても最大級の規模を誇ります.

21世紀も10年代に突入し,時代はますます混迷の度を深めているように思います.
こういうときこそ自分がなすべきことをきちんと考え,そのことに全力で取り組んでいくことが大切です.
今年度もメンバー全員が互いに助け合うことによって,オリジナリティに溢れた魅力的な研究を展開していければと思います.

今年度もどうぞよろしくお願いします!

第263回 平成22年度全体ゼミは今日で終了しました

2011.03.01

2月21日(月)の博士学位論文発表会,2月28日(月)の修士論文発表会も無事終了し,今日で平成22年度の全体ゼミも終了です.

まず先週になりますが,2月21日(月)に行われた博士学位論文発表会では,アブドゲニ・クトゥルク君が数年間にわたる研究成果をまとめた博士学位論文の発表を行いました.
研究内容,発表内容とも博士学位論文にふさわしい内容で,非常に良い研究発表だったと思います.
研究題目は以下の通りです.

  • アブドゲニ・クトゥルク
    Measurement and Evaluation of Vascular Impedance Characteristics for Medical Applications
    (医療応用を目的とした血管インピーダンス特性の計測と評価)

また,修士論文発表会では以下の8名が発表を行ないました(発表順).

  • 草野 洋一
    Operation Assistance for Layer-Based Selections Using Bayesian Network with Gaussian Mixture Structure
    (混合正規分布モデルに基づくベイジアンネットを用いた階層型メニュー操作支援法)
  • 川本 敬之
    A Neural Net-based Biomusic System Using Mechanomyograms and Motion Acceleration Signals
    (ニューラルネットに基づくバイオミュージックシステム:筋音・加速度信号を用いた新しい音楽演奏法)
  • 丸山 大海
    Noninvasive Monitoring of Arterial Viscoelstic Indices Using a Foil-type Pressure Sensor
    (箔状圧電センサを利用した血管粘弾性インデックスの非観血モニタリング)
  • 高木 寛
    A Motor Function Evaluation System for Finger Tapping Movements Using Magnetic Sensors and Video Camera
    (磁気センサとビデオカメラを用いた指タップ運動機能評価システム)
  • 田村 康裕
    A CPG Synergy Model for Evaluation of Human Finger Tapping Movements
    (CPGシナジーに基づく指タップ運動機能解析)
  • 実政 亨
    A Rehabilitation-Aid System for Arm Movement Disorders Using Human Trajectory Generation Model in Virtual Curling Task
    (仮想カーリング作業における手先軌道生成モデルを用いた上肢運動訓練支援システム)
  • 大中 潤
    A Design Method of Pedal Reaction Force Considering Human Force Sensation and Sole Deformation
    (人間の力覚と靴底変形を考慮したペダル反力設計手法)
  • 福島 俊介
    A mechanical impedance based human-seat model for development of a driving seat to reduce neck injury from rear-end impacts
    (機械インピーダンスモデルに基づく頸部損傷軽減シート設計支援システム)

全員,博士課程前期2年間の成果を実感させてくれる堂々とした素晴らしい発表で,魅力的な研究内容がよくあらわれていたと思います.
修論発表会,本当におつかれさまでした!

今日で平成22年度の全体ゼミは終了しますが,研究室説明会(平成23年度卒業研究テーマ説明会)が3月9日(水)に,研究室公開(オープ ン・ラボ)が3月10日(木)10:00-17:00に予定されています.
3月16日(水)13:00には新しい4 年生が研究室に配属され,新年度に向けての活動を開始します.
また大学院博士課程前期には研究室内の7名に加え外部から2名が入学予定です.

研究室を離れる人たちは,それぞれの研究課題や問題点を整理し,後輩たちがスムーズに研究をつなげるよう,最後のまとめと 引継ぎをよろしくお願いします.
また,来年度の就職活動を予定している人は普段からできるだけ積極的な行動を心掛けていくといいでしょう.

平成22年度も生体システム論研究室として非常に良い活動ができたと思います.
感謝します!新年度も,研究室内の結束をさらに進め,みんなで助け合いながら活動していければと思います.
来年度も引き続き,どうぞよろしくお願いします!

第262回 2010年度の卒論発表会が終了しました

2011.02.22

平成22年度卒業論文発表会が2月17日(木)に行われ,本研究室からは4年生8名が1年間の研究成果を発表してくれました.
発表者と研究題目は以下のとおりです(発表順).

  • 杉江 研勇
    箔状圧電センサを利用した頚椎損傷患者のための家電機器制御インタフェース
  • 菊池 亮太
    ビデオ画像を用いた新生児運動解析システムとGeneral Movements評価
  • 山口 裕希
    再現性評価に基づく指タップ運動機能評価
  • 木原 大輔
    血流依存性血管拡張反応検査中の動脈壁粘弾性特性の推定
  • 平野 博大
    自律神経活動評価を目的とした対数線形化末梢血管粘弾性インデックスの提案
  • 正岡 和弥
    線虫(C.elegans)の動力学モデリングと摩擦力推定法の提案
  • 成末 充宏
    遺伝的アルゴリズムを用いた頸部損傷軽減シート設計支援システムの開発
  • 松原 弘明
    下肢の反力知覚特性に基づく自動車ペダル特性の解析・設計

全員,この1年間の成果がよくあらわれたプレゼンテーションで,研究内容,発表態度とも素晴らしかったです.
昨年3月に研究室に配属されてからわずか1年間足らずで,全員,驚くべき成長を遂げてくれたと感心しています.

もちろん,発表や質疑に関して,「こうすればよかった」と思うこともたくさんあると思います.
自分の研究内容や発表スライド,話し方,質疑応答などを自分なりに客観的に見直し,次の機会に活かしていくとよいと思います.

これまで日々指導をしてくれた研究室の先輩たちや他の4年生に感謝しつつ,自分の研究に自信と誇りを持ち,より高いレベルの卒業論文完成を目指して引き続きがんばってください.
卒論発表会,おつかれさまでした!

第261回 2010年度論文発表会

2011.02.10

2010年度の卒業論文・修士論文・博士学位論文発表会の日程が決定しました.

<卒論発表会>
日時:平成23年2月17日(木) 15:00〜16:20
場所:工学部103講義室

<修論発表会>
日時:平成23年2月28日(月) 13:00〜15:00
場所:工学部103講義室

<博士学位論文発表会(公聴会)>
日時:平成23年2月21日(月) 15:00-16:00
場所:広島大学大学院工学研究科 A1-142(セミナー室)

卒論発表会ではB4の8名が,修論発表会ではM2の8名が 発表を行います.
また,博士学位論文発表会ではアブドゲニ・クトゥルク君が博士学位の審査を受けます.

発表まで,残りわずかとなりました.
いま一度,各自の研究のアピール点を明確にし,どうすればその魅力を効果的に聴衆に伝えることができるかよく考えてみるとよいでしょう.
いろいろ考えて工夫すること,これが大切ですね.

学生生活の総決算にふさわしい内容の発表を期待しています.
がんばってください!

第260回 学振特別研究員(速報)

2011.02.02

学振特別研究員に曽 智君,芝軒 太郎君が内定しました!

以前,お知らせした学振特別研究員の募集ですが,平成23年度採用枠に曽君,芝軒君が内定しました.
https://bsys.hiroshima-u.ac.jp/wordpress/news/10706

曽君は,今年度,学振特別研究員のPDですが,これは博士学位の早期取得に伴ってDC2の最終年度がPDに振り替えられたもので,今回の内定により平成23年度から3年間,PDが延長されることになります.
また,芝 軒君はDC2での採用ですので,採用期間は2年間です.

学振の特別研究員としての経歴は,若手研究者のキャリアパスの構築という観点からも非常に魅力的です.
また,給料に相当する研究奨励金が支給されるだけでなく,科学研究費補助金(特別研究員奨励費)が交付され,研究に必要な物品の購入や旅費に使用できます.
このような恵まれた条件で研究活動に専念できる期間中に,次なる飛躍につなげるための研究業績を残すことが重要ですね.

学振特別研究員に採用されるためには,魅力的な研究計画と十分な研究業績の両方を明確に示すことが必要です.
この2つは博士学位取得のためにも必要なことですから,早い時期にこれらを明確に意識することは早期の学位取得にもつながります.
博士課程後期に進学する人は,この学振特別研究員への応募を目標に研究計画を組み立てていくのがよいと思います.

平成24年度採用の募集は今年の5月頃に行われる予定です.

第259回 指タッピング装置

2011.01.25

日立製作所と共同研究中の指タッピング装置が製品化されました.

本研究室では,佐古田 三郎先生(国立病院機構 刀根山病院院長院長),日立製作所基礎研究所の神鳥 明彦さんとともにパーキンソン病の診断支援システムの開発に取り組んできました.

現在の研究メンバーは,筋電グループの島 圭介君,髙木 寛君,田村 康裕君,山口 裕希君の4名で,パーキンソン病診断支援システムだけでなく,指タッピング運動の解析やモデル化にも取り組んでいます.
今回,指タッピング装置が日立コンピュータ機器株式会社から発売されました.
http://www.hitachi-cp.co.jp/products/medical/tapping/index.html

現在は非医療機器ですが,今後も医療認可を目指して研究を継続していく予定す.

学術性の高い研究を行い,しかもその成果を実用化すること,これこそが工学研究の理想の形と考えています.
今後も新たな機器の開発を目指して研究を進めていければと思います.

第258回 筋電義手&バイオリモート研究会近況報告

2011.01.18

筋電義手&バイオリモート研究会は,PDの島 圭介君,D1の芝軒 太郎君を中心とした筋電グループが運営しています.

研究会メンバーは,陳 隆明先生(兵庫県立総合リハビリテーションセンターリハビリテーション中央病院整形外科部長・リハビリテーション科部長),大塚 彰先生(県立広島大学理学療法学科教授),福田 修先生(産業総合技術研究所,広島大学客員教授), 髙木 健先生(広島大学ロボティクス研究室),戸田靖行さん(ボランティア団体「みはらタコ工房」),追坂電子機器(追坂則弘社長,吉野 智昭さん),近畿義肢製作所(増田さん)などで,取り上げている研究テーマは
・筋電義手関連技術の開発
・バイオリモート関連技術の開発
・サイバネティック・インタフェース技術の新展開
の3つに大別されます.

昨年の12月3日に開催した研究会は,バイオリモート研究会としては52回目,筋電義手研究会としては22回目の開催となりました.
研究会では, 芝軒君とM1の村上 隆治君がそれぞれの研究成果に関する研究発表を行うとともに,5指駆動型筋電義手と筋電義手用バーチャルトレーニングシステムのデモンストレーションを行いました.
当日の研究会の様子は,大阪テレビが製作中のドキュメンタリー番組の中で紹介される予定です.
また2月7日には,陳先生のご協力のもと,村上君が開発中のシステムを用いたトレーニング実験を実施する予定です.

本研究会では,大学,病院,独立行政法人,企業,ボランティア団体がチームを組み,私たちが提唱しているサイバネティック・インタフェース技術を核とした産学官連携研究,医工連携研究に取り組んでいます.
今後も,学術性と実用性を兼ね備えた新しい研究に取り組んでいければと思います.

第257回 2011年,今年もよろしくお願いします!

2011.01.11

年末恒例の大掃除,MDM研究会,研究室忘年会も無事終了し,今日から2011年の全体ゼミを開始しました.
忘年会には共同研究者である県立広島大学の島谷 康司先生,日立製作所の神鳥明彦さんが参加してくださり,楽しい時間を過ごすことができました.

今年も年明けから2月末にかけては博士論文,修士論文,卒業論文の作成と論文発表会が予定されており,3月には卒業式,学位記授与式を迎えます.
すでに昨年12月からアブドゲニ・クトゥルク君の博士学位審査が始まっています.
各自,体調には十分に気をつけながら,できるだけ早目のスケジュールで進めましょう.
学会の論文誌に掲載されるような完成度の高い研究論文の完成を目指して,最後までがんばってください!

年明けから,博士研究員の曽 智君とD1の芝軒 太郎君の日本学術振興会特別研究員内定という朗報が届きました.
今年は良い年になりそうですね!
引き続き,高いレベルの研究を目指して2011年も活動していければと思います.

どうぞよろしくお願いします.

第256回 2010年の全体ゼミも今日で終了です

2010.12.21

月日が経つのは早いもので,今日で2010年の全体ゼミを終了しました.

今年は広島大学大学院工学研究科の改組があり,生体システム論研究室にとってもいろんな意味で再スタートの年となりました.
新しい研究への取り組みや就職活動などで忙しい一年だったと思いますが,各自,努力に見合った達成感は得られたのではと思います.

また,生体システム論研究室全体としても昨年同様,レベルの高い活動を継続することができました.

これも,研究室スタッフ,学生諸君,多くの共同研究者・研究協力者の皆様をはじめ,本研究室を支えてくださったすべての人たちのおかげです.
ここに改めて御礼申し上げます.

以下,2010年の生体システム論研究室の研究業績をまとめておきます.

* 学術雑誌論文:10編(掲載決定を含む)
* 国際会議論文: 8編(Proceedings印刷中を含む)
* 国内学会発表:20件
* 解説: 3編
* 著書(分担執筆): 2編
* 博士学位論文: 1件
* 招待講演: 2件
* 受賞: 2件
* 展示会: 1件
* 特許出願: 3件

21世紀も2010年代に入り,政治的にも経済的にも時代はますます不確定性を増しているようです.
これからの時代を生き抜くためには,自身の能力にさらなる磨きをかけるとともに,より広い世界に自分のネットワークを広げていくことが大切だと思います.
来年も研究室メンバー全員で協力しながら,一人一人の人間力を高めるような活動が維持できればと思っています.

2011年もどうぞよろしくお願いします!

第255回 魅力的な発表のためのチェックリスト

2010.12.14

早いもので2010年の全体ゼミも残すところあと2回となりました.
年明けからは就職活動も徐々に本格化し,面接試験を受ける機会も増えることと思います.

全体ゼミやグループゼミでの発表も聴講者から評価されることを考えれば,面接試験と共通する点は多いですね.
発表の際に,改めて以下のようなポイントを確認してみてはいかがでしょうか.

1.明るく積極的な表情をしているか
2.自信に溢れた堂々とした態度で臨んでいるか
3.聞き取りやすい大きな声で,はきはきとした話し方をしているか
4.熱意を持って発表に取り組んでいるか,またその熱意を伝えるような話し方ができているか
5.論理的で説得力のある説明ができているか
6.専門の異なる人にとってもわかりやすい説明ができているか
7.相手の話をよく聞き,適切で説得力に富んだ受け答えができているか
8.魅力的な人間性を持っているか,そしてそれを積極的に表現しているか

与えられた短い時間で,いかにして自分の研究や自分自身の魅力を相手に伝えるか,また伝えようとしているかが重要です.
そのためには論理的な思考力と活気に満ちた熱意の両方を具体的に表現する必要があると思います.

今一度,自分の発表時の姿が上記のチェックリストをどの程度,満たしているかを客観的にチェックしてみるといいでしょう.
上記チェックリストを使って研究室の他のメンバーを評価してみるのもいいと思います.
また,自分が発表している姿をビデオに撮影してみるのも,客観的な自分観察に役立つでしょう.

研究室では当たり前になっている研究発表ですが,自分自身に磨きをかける絶好の機会だと思います.
次回の発表のときに意識して取り組んでみるといいでしょう.

第254回 学会シーズンは続く

2010.12.07

秋は学会のシーズンです.

11月最後の週末には第19回計測自動制御学会中国支部学術講演会が島根大学において行われ,M2の川本 敬之君が研究発表を行いました.
川本君は,今年の4月から現在の研究テーマに取り組み始めてまだ約半年ですが,短期間のうちに研究成果を挙げ,よく学会発表できるレベルにまでまとめあげたと思います.

今年度は川本君と同様,大学院で新しい研究テーマに取り組んでいる人が何人かいますが,全員,非常によくがんばっていると感心しています.
本人の努力とグループメンバーのサポートに敬意を表します.

以下は川本君がまとめてくれた学会発表の議事録です.
研究の魅力を十分にアピールできており,非常に良い発表だったと思います.

川本です.お忙しいところ失礼いたします.
第19回計測自動制御学会中国支部の議事録を送付致します.
<島根大学 2010年11月27日〜28日>
——————————————

【発表内容】
加速度信号を用いたバイオミュージックシステム
川本 敬之, 芝軒 太郎, 島 圭介, 辻 敏夫, 福田 修
第19回計測自動制御学会中国支部学術講演会論文集, pp. 152-153, 2010.

【質疑応答】
Q1.筋音成分,運動成分は同時に計測されるので操作が難しくなるのではないか.
A1.2つの成分は同時に計測されるが,いづれの成分が閾値を越えているかいないかを判断することで,別々の制御が可能となっているので操作に大きく影響することはない.
Q2.筋音制御モードと運動制御モードはどうやって切り分けるのか.
A2.あらかじめ操作者がどちらの演奏方法を使うかを選んでおくことで各モードを使い分ける.
Q3.R-LLGMNのように高度なNNを使わず,他のNNを使った場合はどうなのか.
A3.使ったことがないため分かりません.
Q4.識別対象の分解能を増やす必要があるのではないか.
A4.今回の実験では,筋音制御モードにおいて4方向の動作しか学習していないが,各動作の確率分布をベクトルとして考えることで360度あらゆる角度を表現できている.また,識別問題が難しくなるということも考えられるため,今回の実験では必要ないと考えられる.
※Q4については,いろいろな意見も踏まえて質問され,質問の意図がよく理解できず上手く答える事が出来ませんでした.

【感想・反省点】
質疑応答時間一杯まで質問を頂けたことから,発表内容はよく伝わったのではないかと思います.
しかし,質疑応答の中で十分答えられる内容の質問だったにもかかわらず,いろいろな意見を加えて質問されるうちに質問の意図がわからなくなり,上手く答えられない場面がありました.
発表の場では想定しないことが数々あるため,これからも訓練していかなければならないと痛感しました.

第253回 2010年度新学術領域班会議

2010.11.30

文部科学省科学研究費補助金 新学術領域研究「神経系の動作原理を明らかにするためのシステム分子行動学(領域代表者:飯野雄一)」の2010年度班会議・ワークショップが,平成22 年11月8日〜11月10日にホテルアジュール竹芝,および東京大学小柴ホールにおいて行われました.

文部科学省科学研究費補助金 新学術領域研究は,既存の研究分野の枠に収まらない新興・融合領域や異分野連携などの意欲的な研究を見い出し,新たな研究領域や革新的・挑戦的な学術研究の発展を促すことを目的として2008年度に設置されたの研究種目で,飯野雄一先生(東京大学)を領域代表者とする「神経系の動作原理を明らかにするためのシステム分子行動学」は2008年度に採択されました.
2010年は中間評価の年度にあたり,今回の評価結果がよければ2012年度まで継続する予定です.

本研究室は,計画研究班の一つとして「生物行動のシステム工学的解釈とバイオミメティックセンサシステムの提案」というテーマで研究に取り組んでいます.
研究メンバーは,本研究室からA-lifeグループの曽 智君,服部 佑哉君,来山茂央君,山田 泰隆君,齋藤 牧紀君,正岡 和弥君,金沢大学の滝口 昇先生,日本原子力研究開発機構の鈴木 芳代さん,それに大阪大学の大竹 久夫先生です.

先日,開催された2010年度班会議では以下の2件の研究発表を行いました.

線虫の身体運動モデルと動画像情報を利用した線虫の筋活動推定法の提案
(A study on prediction of muscular activities using C. elegans models and video image)
山田 泰隆, 鈴木 芳代, 曽 智, 服部 佑哉, 辻 敏夫
新学術領域研究「神経系の動作原理を明らかにするためのシステム分子行動学」
2010年度班会議・ワークショップポスター発表プログラム,P-17,2010.

拡張グラフカーネル法を用いたラット嗅球の匂い地図推定法の提案
(Glomerular activity pattern prediction using the marginalized graph kernel)
曽 智,辻 敏夫,滝口 昇,大竹 久夫
新学術領域研究「神経系の動作原理を明らかにするためのシステム分子行動学」
2010年度班会議・ワークショップポスター発表プログラム,P-18,2010.

曽君を中心としたA-lifeグループのメンバーが協力して研究発表の準備に取り組んでくれ,多くの生物分野の先生方に興味を持っていただくことができました.
A-lifeグループでは生物学と工学を融合した新しい学際領域の研究を目指しており,線虫,マウス,小型魚類とも工学の立場から,「生物に学ぶ」,「生物を利用する」という観点で研究を進めています.
まだまだ多くの課題が残されていますが,生物分野と工学分野の懸け橋となるような学術研究成果をあげていければと思います.

第252回 第43回日本人間工学会 中国・四国支部大会に参加しました

2010.11.25

10月30日(土)に広島大学医学部広仁会館で開催された第43回日本人間工学会中国・四国支部大会に参加しました.

日本人間工学会中国・四国支部は,本研究室の前身でもある旧人間工学研究室がその設立と運営に関わってきた学会で,現在も本研究室が会の運営に協力しています.
今年度は広島開催ということもあり,本研究室から以下の9件の研究発表を行うとともに,約30名の学生が学会に参加しました.

疲労度モニタリングシステムを有する自動車用シートの開発
小島 重行,内川 竜一,小倉 由美,藤田 悦則,辻 敏夫,金子 成彦
日本人間工学会第43回中国・四国支部大会予稿集,pp. 36-37,2010.

血流依存性血管拡張反応検査中の血管粘弾性インデックスの推定
木原 大輔,堀内 徹也,クトゥルク アブドゲニ,辻 敏夫,鵜川 貞二,高柳 恒夫,森本 陽香,中村 隆治,佐伯 昇,東 幸仁,河本 昌志,吉栖 正生
日本人間工学会第43回中国・四国支部大会予稿集,pp. 50-51,2010.

シート組み込み型エアパックセンサを用いた人間の自律神経活動評価
小松 雄亮,丸山 大海,クトゥルク アブドゲニ,辻 敏夫,小島 重行,小倉 由美,藤田 悦則,中村 隆治,佐伯 昇,河本 昌志,吉栖 正生
日本人間工学会第43回中国・四国支部大会予稿集,pp. 110-111,2010.

ビデオ画像を用いた新生児運動解析システムとGeneral Movements評価
菊池 亮太,高木 寛,島 圭介,辻 敏夫,島谷 康司,大塚 彰
日本人間工学会第43回中国・四国支部大会予稿集,pp. 58-59,2010.

頚椎損傷患者のための箔状圧電センサを利用したマスク型インタフェース
杉江 研勇,草野 洋一,芝軒 太郎,島 圭介,辻 敏夫,上野 直広
日本人間工学会第43回中国・四国支部大会予稿集,pp. 84-85,2010.

再現性評価に基づく指タップ運動の特徴抽出
山口 裕希,田村 康裕,島 圭介,辻 敏夫,佐野 佑子,神鳥 明彦,佐古田 三郎
日本人間工学会第43回中国・四国支部大会予稿集,pp. 88-89,2010.

ペダル操作時の踏み込み角度と反力知覚特性の相互関係
松原 弘明,田中 良幸,辻 敏夫 大坪 智範,西川 一男,農沢 隆秀
日本人間工学会第43回中国・四国支部大会予稿集,pp. 80-81,2010.

ステアリング操作時の覚醒レベルに伴う人間の手先インピーダンスの変化
中原 裕貴,田中 良幸,辻 敏夫,山田 直樹,西川 一男,農沢 隆秀
日本人間工学会第43回中国・四国支部大会予稿集,pp.24-25, 2010.

仮想テニスにおける作業スキルの個人差を考慮した上肢運動訓練支援手法
井上 晴仁,石井 政隆,田中 良幸,辻 敏夫
日本人間工学会第43回中国・四国支部大会予稿集,pp. 100-101, 2010.

社会人Drの小島さんを除いてほとんどの人がはじめての学会発表でしたが,落ち着いて発表を行っており,質疑応答にもよく答えていたと思います.
各自,研究内容に関する課題やうまく説明できなかった点などを整理し,今後の研究発表に活かしていくとよいでしょう.
また聴講に参加した学生が,他大学や企業の研究発表に対して積極的に質問を行っていた点も非常によかったと思います.

研究発表を聴いてその場で的確な質問やコメントをするためには,
 (1) 聴講した発表のポイントを的確に把握し,
 (2) 自分の意見やアイデアをその場でまとめ,
 (3) その内容を自分の言葉でわかりやすく説明する.
という能力が必要です.
今後もぜひ積極的に発言していくとよいと思います.

第44回大会は山口県下関市で行われる予定です.
来年度も多くの研究発表ができるよう,高いレベルの研究成果を目指してがんばりましょう!

第251回 平成22年度修論中間発表会が終了しました

2010.11.16

11月5日(木)に複雑システム工学専攻の修士論文中間発表会が開催され,本研究室から8名のM2が研究発表を行いました.

今年度は非常に早くから準備ができていた人,直前に大きく進展した人の2つのタイプに分かれたようでしたが,結果的には全員が分かりやすく,かつ魅力的な研究発表を行っており感心しました.
質疑応答に関しても,ほとんどの人が的確に回答しており,この点もよかったと思います.

各自,発表準備は非常にたいへんだったと思いますが,今回の予稿・発表スライドの作成作業を通じて研究内容が固まり,修士論文の完成形(ゴール)がはっきりしたのではないでしょうか.
今後は,その完成形をより強固なものにするための研究課題を明確にし,早めに論文をまとめていくとよいと思います.
そして,そのプロセスの中で,自分の研究のオリジナリティや特徴,利点を強調するような実験や解析をできる限り追加していくとよいでしょう.

早いもので2010年も残り約6週間となりました.急に寒くなりましたが,体調には十分に気をつけながら研究を進めていきましょう.
修論中間発表,おつかれさまでした!

第250回 地域イノベーション創出研究開発事業最終評価ピアレビュー

2010.10.28

今年3月末に終了した地域イノベーション創出研究開発事業「粘弾性インデックスに基づく血管ストレスモニタリングシステム」の最終評価ピアレビューが10月13日(水)に行われました.

この事業は平成20〜21年度の2年間にわたって実施したもので,本研究コンソーシアムのシーズ技術である血管ストレスモニタリング技術を,
1) 手術用自律神経活動モニタリングシステム,
2) 非観血血管ストレス測定モジュール,
3) 血管内皮機能評価付血圧計
という3つの形に展開し,最終的には事業化することを目指しています.
プロジェクトマネージャーは本研究室のメン バーでもある日本光電工業の鵜川貞二さんです.

平成20年度地域イノベーション創出研究開発事業(一般枠2年)
「粘弾性インデックスに基づく血管ストレスモニタリングシステム」
プロジェクトマネージャー: 鵜川 貞二氏(日本光電工業株式会社)
研究実施者: 広島大学,広島大学病院,県立広島大学,広島県立総合技術研究所,日本光電株式会社,有限会社MIZOUE PROJECT JAPAN,株式会社デルタ ツーリング,株式会社日本マイクロシステム(管理法人:財団法人ひろしま産業振興機構)
https://bsys.hiroshima-u.ac.jp/wordpress/news/10642
https://bsys.hiroshima-u.ac.jp/wordpress/news/10678

最終評価ピアレビューは本事業の研究成果を専門家が審査するというもので,報告書等の書類審査とヒアリングが行われました.
当日は広島大学大学院医歯薬学研究科の河本昌志先生,吉栖正生先生,デルタツーリングの藤田 悦則さんをはじめとして各研究機関から研究担当者が参加し,ヒアリングに臨みました.
鵜川プロジェクトマネージャーのプレゼンテーション,デルタツーリングによる実機デモンストレーションなどにより,本事業の研究成果を十分にアピールできたのではないかと思います.

本研究室では,他にもさまざまな共同研究やプロジェクトを実施しています.
使用した研究費に見合った研究成果を挙げ,その成果を広く社会に還元できるよう,引き続き研究に取り組んでいければと思います.

第249回 国際会議で発表

2010.10.19

9月15-18日の4日間,ギリシャのテッサロニキで20th International Conference on Artificial Neural Networks (ICANN2010)が開催されました.

この国際会議はEuropian Neural Network Society (ENNS)によって1991年から運営されているannual meetingで,予稿集は会議後,一般書籍として出版されます.
たとえばamazon.co.jpで検索すると今年の予稿集は3冊の書籍として販売されています.
amazon.co.jp検索

今回,共同研究者の鈴木 芳代さん,D1の服部 佑哉君がICANN2010に参加し研究発表を行いました.

Computational Inferences on Alteration of Neurotransmission in Chemotaxis Learning in Caenorhabditis elegans
Michiyo Suzuki, Tetsuya Sakashita, Toshio Tsuji, and Yasuhiko Kobayashi
In: K. Diamantaras, W. Duch and L.S. Iliadis (Eds.), Artificial Neural Networks -ICANN 2010, Lecture Notes in Computer Science, Vol. 6352, pp.291-300, Springer, Heidelberg, 2010.

A Novel Tuning Method for Neural Oscillators with a Ladder-like Structure based on Oscillation Analysis
Yuya Hattori, Michiyo Suzuki, Zu Soh, Yasuhiko Kobayashi, and Toshio Tsuji
In: K. Diamantaras, W. Duch and L.S. Iliadis (Eds.), Artificial Neural Networks -ICANN 2010, Lecture Notes in Computer Science, Vol. 6352, pp.401-410, Springer, Heidelberg, 2010.

服部君にとってははじめての海外発表でかなり緊張したでしょうが,非常に良い刺激になったものと思います.
外国で英語を使って自分から情報を発信し海外の研究者と交流することは,通常の大学生活では得難い,非常に大きな経験です.
単なる海外旅行とは大きく異なりますね.
また,海外の空気に触れることは,自分のことや日本のことを客観的に考えてみる良い機会となります.

以下は服部君が作成してくれた発表議事録です.
今後も良い研究成果を挙げ,また国際会議発表にチャレンジできるといいですね.

A-lifeの服部です.
9月15-18日に開催された20th International Conference on Artificial Neural Networks (ICANN2010)に参加してきましたので,議事録を送付いたします.

ICANN2010
■開催地:テッサロニキ(ギリシャ)
■開催期間:2010/9/15〜18
■分野:ニューラルネットワーク関係
■発表情報:
Yuya Hattori, Michiyo Suzuki, Zu Soh, Yasuhiko Kobayashi, and Toshio Tsuji
A Novel Tuning Method for Neural Oscillators with a Ladder-like Structure Based on Oscillation Analysis
The 20th International Conference on Artificial Neural Networks (ICANN2010), Thessaloniki, Greece, September 15-18, 2010.
■質疑応答
Q. 提案法がsimple法に比べ,誤差曲線の最良値と最悪値の幅が大きいが,改善策は考えているのか.
A. Local GAの調整対象とするOscillatorを,各Oscillatorの誤差の大きさごとに設定すれば,最悪値の誤差が減り,改善される可能性があります.
■感想
かなり緊張してしゃべったため,内容を正しく伝えられたか少し疑問です.
質問内容は聞き取れたのですが,的確な応答を英語で話せませんでした.
学会の雰囲気は,スーツ姿が珍しいほどにフランクな感じで,質問しやすい環境でした.

第248回 オープンキャンパス開催報告(その2)

2010.10.12

先週に続いてオープンキャンパス2日目の総括です.
アンケートに記入された見学者のコメントから分かるように,多くの方に楽しんでいただけたようでよかったですね.
各グループの担当者にとっては反省点がいろいろあったと思いますが,すべて通常の大学生活では得ることができないような貴重な経験です.
さまざまな形で今後につながると信じます.

来年度のオープンキャンパスも各グループで競い合いながら良いものにしていきたいですね.
来年度もがんばりましょう!

===<2日目>======================================
井上です.お忙しいところ,失礼致します.
オープンキャンパス2日目は,ME,A-life,生体組がデモを行いました.
本日も昨日に引き続き,多くの方が見学にお越しになりました.
見学者の方には,研究室の魅力をある程度伝えることができたように思います.
以下,本日のデモの議事録です.
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◆グループ名:MEグループ(部屋番号:544)
デモ内容:超音波測定,エアパックセンサ,薄状圧電センサ
説明者 :平野(博)
実演者 :木原,堀内

■質問内容:
Q1. ドライビングシートを用いて飲酒運転をどのように評価しているのか.
A1. 脈の感覚や呼吸はを調べることで飲酒しているか評価します.
Q2. ドライビングシートの実用の目処はどの程度たっているのか.
A2. 飲酒,居眠り,いらいらなど情報がわかるようになっており,数年のうちに実用化できるくらい出来上がっています.

■感想:
午前中,B4の説明が堅苦しいものとなっており,高校生の反応があまり良くなかったように思えた.午後からは,発表側も慣れてデモをしたときや,逆質問をしたときの高校生の反応が良くなったように思えた.時間配分がうまくいかず,他のグループの方や高校生に迷惑をかけた点などがあったので,今後は注意していきたいと思います.
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◆グループ名:A-lifeグループ(部屋番号:533)
デモ内容①:メダカの生体電気信号計測
説明者 :来山
実演者 :来山

■質問内容:
Q1. 実際に工場廃水の監視はメダカを使っているのか.
A1. 実際にメダカ等の小型魚類を工場などで使用しています.しかしながら,今ある装置は魚が死んだかどうかしか判断できないので,汚染の発見が遅れる可能性があります.今研究しているシステムでは汚染が始まると即座に発見できるため,有用だと思います.

■感想:
質問が少なかったことと,あまり興味をもってもらえなかったことが残念でした.もっと興味をもってもらえるような説明やPPTを作るべきだったと後悔してます.ただ,中にはよく話を聞いてくれていた人もいたので少しは充実感がありました.この反省を次に生かせるように精進していきたいです.
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◆グループ名:A-lifeグループ(部屋番号:533)
デモ内容②:線虫バーチャルモデルの開発
説明者 :正岡
実演者 :正岡

■質問内容:
Q1. ロボットは水中でどう動いているのか.
A1. ロボットはくねり運動をしているだけで,その時にかかる水の抵抗を利用して水中を泳いでいます.

■感想:
本日のデモでは少し固い発表になってしまったので,高校生が食いつけるような発表ができたらよかったです.実物のロボットがあればもっとインパクトが出ると思うので,今度はもっとおもしろいデモにしたいです.
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◆グループ名:生体グループ (部屋番号:532)
デモ内容:ドライビングシミュレータ,モーションキャプチャ
説明者 :松原,成末
実演者 :中原,井上

■質問内容:
Q1. 高速,低速時を考慮してステアリングを設計しているのか.
A1. 今回は行っておりません.しかし,実際に考慮する必要はあると考えます.
Q2. 実車にデモ内容のような電子制御を導入し,異常が生じるとどうなるのか.
A2. 壊れた場合は制御できなくなります.なんらかの安全対策が必要になります.
Q3. この制御は実車に使われているのか.
A3. 近年では,多くの自動車で電子制御を用いたステアリング制御が行われています.しかしながら,私たちが考案したプログラムは現段階では使用されておりません.
Q4. 赤い服を着ていても計測できるのか.
A4. 色を抽出して計測を行っているので,マーカと同じ色の服を着ている場合は計測できません.
Q5. 手についている赤いものは何ですか.
A5. マーカといって,その動きを計測することで運転中の人間の動きなどを記録することができます.
Q6. 大学の勉強は忙しいか.
A6. 大学では自分の興味がある分野の勉強ができるので,勉強したい分野が多ければそれだけ忙しくはなります.
Q7. 今のステアリングの位置は最適な位置か.
A7. 今は実車に基づいて位置を設定しております.
Q8. この装置(仮想ペダル装置)は何をするか.
A8. 操作しやすいペダルを実現するために研究を行っている装置です.

■感想:
特に大きな問題はなく,説明を行えたと思います.ただ,午前中は説明が硬くあまり良い反応をいただけなかったので,もう少し分かりやすく説明を行う必要があったと感じました.午後からは,積極的に質問や体験をしていただいたので良かったと思います.
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◆2日目アンケート集計結果:
得票数 :37/56(ME),28/56(A-life),41/56(生体)

コメント:
・ドライビングシミュレータが面白かったです.
・実際に体験できておもしろかったです.
・親切で丁寧な説明でわかりやすかった.
・普段できない体験ができて楽しかったです
・工学系のことだけでなく他の学部に応用させることに興味を持ちました.
・普段の生活に利用できたりするので、すごいと思った.
・水中で線虫が動くことに興味を持ちました.
・「生体システム論」は、どういったものか理解することができました.
・工学はロボットだけを作っているイメージがありましたが、医学分野で役立つことも研究しているとわかり勉強になりました.ありがとうございました.
・線虫モデルは,将来的に役立つと思いました.
・工学部にはいろいろな内容の研究があり,みなさんが楽しそうに研究している印象を受けました.
・研究している内容に複雑さを感じ,興味がわきました.
・実際に体験することができ,よかったです.
・さまざまな応用例をあげて頂き,わかりやすかったです.

第247回 オープンキャンパス開催報告(その1)

2010.10.05

以前にもお知らせしましたように,8月8日(日),9日(月)の2日間,広島大学オープンキャンパス2010に参加しました.
https://bsys.hiroshima-u.ac.jp/wordpress/news/10713

研究デモは,1日目は筋電グループ,2日目は生体グループ,MEグループ,A-lifeグループが担当し,研究室メンバー全員で対応にあたりました.
デモ見学のあとにはアンケートの記入をお願いしましたが,2日間で89枚のアンケート用紙を回収することができましたので来訪者の総数は優に100名を超えていたと思われます.

以下は,M1の村上君,井上君がとりまとめをしてくれたオープンキャンパスの総括です.
両日とも良い点,反省点ともいろいろとあったようですが,非常に良い経験になったことは確かです.
来訪者のコメントもありがたいですね.
研究室全体としても,各研究グループとしても,そして一人一人の研究メンバーとしても,今回のオープンキャンパスの経験を今後の活動に活かしていければと思います.
オープンキャンパス,おつかれさまでした!

===<1日目>======================================
村上です.お忙しいところ,失礼致します.
本日,オープンキャンパス1日目が開催され,本研究室では筋電組が先陣をきってデモを行いました.約30~40人の方が訪れ,中学生から保護者の方まで様々な年齢層の方がおられました.反応は概ね良好で,楽しんでいただけたようでした.
以下,本日のデモの議事録です.
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◆グループ名:筋電グループ(部屋番号:241)
デモ内容①:3指義手,5指義手,筋電マウス,Bio-Music
説明者 :菊池
実演者 :山口,平松

■質問内容:
Q1. 義手以外には何を行っているのか.
A1. 生体信号を計測して車椅子や家電機器を操作しています.また,生物の仕組みのモデル化や人間の身体の特性を考慮した車の設計など様々な研究を行っています.
Q2. 義手を操作するには電極を貼り付けなければならないのか.
A2. 筋電信号を計測するために貼り付ける必要があります.実際に処方されている筋電義手には電極が内蔵されているため,義手を腕に装着すると操作することが可能です.
Q3. 先天的に腕を失くしている方でも義手を操作できるのか.
A3. 訓練することによって操作できるようになる可能性があります.本研究室では仮想空間に義手のモデルを生成して,その操作訓練を行う訓練システムを開発しています.
Q4. 肩から切断していた場合でも操作できるのか.
A4. 筋電信号の計測ができれば操作可能です.しかしながら,実際には筋電信号の計測やコントロールが難しく,上腕切断の方が義手を自在に操作できるように研究を進めていく必要があります.
Q5. 電極を貼る位置はどのように決めているのか.
A5. 現在は経験的に上手く信号を計測できる部分に貼っています.実際に義手を患者に処方する場合でも経験的に決めているため,本研究室では適切な電極位置を選ぶ研究も行っています.
Q6. 義手の重さはどのくらいか.
A6. 3指義手は800g程度です.最近では500g未満の軽い義手も開発されています.
Q7. 5指義手の握る強さは調整できるのか.
A7. 操作者の力の入れ具合に合わせて調整可能です.
Q8. どの部分まで腕が残っていれば義手を操作できるのか.
A8. 筋電信号の計測ができれば操作可能ですので,肩に近い部分まで切断していても操作できる可能性はあります.しかし,実際には肘より上が切断している場合は筋電義手の操作が難しく,義手を処方されないケースが多いです.
Q9. 工学部に女の子は少ないのか.
A9. 少ないです.しかし,サークルやバイトなどをすることで出会うはことはできます.
Q10. 就職はどの程度できるのか.
A10. 本研究室のM2は今年全員就職が決まっています.工学部には学校推薦という制度があるため,就職活動が有利に進められると思います.
Q11. 筋電信号に個人差はないのか.
A11. あります.そのため,本研究室ではニューラルネットを用いて個人個人の信号を学習することで,誰でも操作可能なシステムを開発しています.
Q12. 5指義手はワイヤーを引っ張ることで曲げているのか.
A12. そのとおりです.指ひとつひとつにモータがついており,ワイヤーで引っ張っています.
Q13. 5指義手はこの研究室で作っているのか.
A13. 本研究室で作製しております.設計図を書いて部品を発注し,組み立てています.
Q14. 電極を貼りかえるたびに学習する必要があるのか.
A14. 基本的には学習する必要があります.学習することによって筋電信号の個人差や電極の位置の違いなどに対応することができ,誰でも同じように操作することが可能になります.
Q15. 義手制御システムはどのくらい大きいのか.
A15. 現在は様々な計測機器や変換機器などを個別に用意して接続しているため大きくなっていますが,システムを1チップ化して小さくする研究も行っています.
Q16. 研究のやりがいはありますか.
A16. あります.開発したシステムを実際に一般の方に使用していただいたり,研究会などで外部の方に評価していただけので,やりがいをもって研究活動を行うことができます.

■感想:
特に大きな問題はなく,各種システムの操作・説明が上手く行えていました.アンケートの評価もとても良く,楽しく聞いていただけたと思います.質疑応答に関して,知識がまだ十分でなく答えに詰まることがありましたが,M1,M2でサポートできていました.
今後もより良いデモができるよう事前準備,メンテナンス等しっかり行っていきます.
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◆グループ名:筋電グループ(部屋番号:231)
デモ内容②:車椅子,家電,ゲーム
実演者 :植野
説明者 :杉江

■質問内容:
Q1. 車椅子の値段はいくらなのか.
A1. まだ,市販はされていないのですが,EMG信号の計測,学習,制御のシステム全体で500万円ほどになります.
Q2. 販売されているのか.
A2. 販売はされていません.学生だけでは,システムのアフターケアなどを行うことが難しいので,サポートをしていただける企業があれば,すぐにでも売り出したいと考えています.
Q3. 車椅子が大きく,使える場所が限られると思うが,どこで使うのか.
A3. この車椅子を使用しなければいけないということはないので,より小さな車椅子を用いればどこでも使えます.また,家電機器の操作などは車椅子を用いなくても,パソコンと赤外線を送信する小型の装置だけで使用可能です.
Q4. 人によって筋の付き方も違うと思うが,誰でも使用可能なのか.
A4. 誰でも使用可能です.確かに人によって筋の付き方が違い,EMG信号の大きさも異なるのですが,このシステムでは使う人に合わせてパソコンに動作を学習させることができます.
Q5. 動作と制御内容の対応を間違えてしまう事はないのか.
A5. 上手く対応をさせていれば,ほとんど間違えることはありません.例えば,「手首を上に曲げると椅子が上に動く」など,直感的にわかりやすいように割り当てておけば,動作と制御の対応を間違えにくくなります.
Q6. 義手で用いていた電極と家電操作で用いた電極は何が違うのか.
A6. 義手の操作に用いた電極は医療用で,ペーストを塗る必要がある代わりに精度よく計測できます.家電操作で用いた電極は精度が少し落ちる代わりに簡単に皮膚に接触させるだけで使えるものです.
Q7. 新しいテレビなど,製品を買った場合にはどうするのか.
A7. 新しく買ったテレビのリモコンの赤外線を装置に当て,パソコンに覚えさせることで,新しい製品でも,この家電操作のシステムを用いて使うことが出来ます.

■感想:
終始ほとんど途切れることなく見学の方が来られて,中には反応の大きな人や鋭い質問をされる方もあり,非常に充実したオープンキャンパスであったと思います.今回の経験を活かして,これからのデモもより良いものにしていきます.
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◆1日目アンケート集計結果:
得票数 :30/33(241部屋),29/32(231部屋)

コメント:
・とても進んでいて驚きました.専門外でも分かりやすく説明していただき,よかったと思います.
・広大に合格したら,この研究室に入りたいと思いました.
・筋電位信号で障害のある人も自由に動けるようになることはすばらしいと思った.
・見てきた中で一番面白かった.
・はじめて大学の研究室をみて感動しました.
・電動義手が特に興味がわいた.
・脳波(思考)で動かせるように研究してください.
・学問が具体的に社会に役立つために応用されていてすばらしい.
・説明が丁寧で分かりやすかった.
・大変面白かったです.研究室の方の仲もよさそうで良いかんじでした.障害者の方たちのためになる点もすばらしいし,健常者の方にもいろいろ活用できると思いました.
・筋肉からでる電気でいろいろなものを動かせることに驚いた.
・電動車椅子のことを今回初めて知りましたが,とてもすごいと思いました.500万円でも安いと思ったぐらいです.
・保護者として参加しました.ここの研究室の学生さんはとても感じが良く,説明が丁寧でした.ありがとうございました.
・説明も分かりやすく,理解しやすかったです.いずれの研究も実用化され社会に役立つよう期待しています.
・テレビでしか見れなった技術を間近で見る事ができたのでうれしかった.
・どちらも実用化できればとても便利だと思います.自分も動かしてみたかったです.
・ブレインコントロールを考えてみると,もっと重度障害の方でも使えると思います.
・知らない世界を見せていただき,とても感動しました.皆様が研究されていることが色々な方の助けになっていることがすばらしいと思います.

<以下,次週に続く>

第246回 平成22年度後期全体ゼミを開始しました

2010.09.28

8月3日(火)に行った前期全体ゼミ最終回からあっという間におよそ2カ月が経過し,今日から後期の全体ゼミをスタートしました.

この間,オープンキャンパス,大学院入試,ゼミ旅行,学会・研究会活動などいろいろな行事がありました.
特に4年生の大学院進学希望のみなさんは受験勉強でたいへんだったと思いますが,全員,無事に合格することでき本当によかったです.
おめでとうございます!

また,10月1日付で平野 陽豊君が大学院博士課程後期に入学することになりました.
古巣のMEグループに所属し,血管疾患の検査と治療に関する研究テーマで博士学位の取得を目指します.
みなさん,どうぞよろしくお願いします.

8月28〜29日には大学院入試の打ち上げも兼ねて,鳥取県日野郡ゆきんこ村四季彩にゼミ旅行に出かけました.

当日は多くの研究室メンバーが参加し,自然に恵まれた環境の中でのバーベキューなど,楽しい時間を過ごすことができました.
幹事を務めてくれた芝軒君,大中君,来山君,久保君,木原君,松原君,ごくろうさまでした!

これから年末に向けて,修論中間発表会や各種学会・研究会での研究発表等,さまざまな行事が予定されています.

すでに9月中旬から多くの研究室メンバーが学会発表用の予稿作成に取り組んでいますが,予稿の作成は研究の進捗状況を客観的にチェックすることにつながります.
普段,なんとなく考えていることをきちんと論文形式でまとめることにより,研究のストーリを論理的に見直すことができ,検討が不足している点が浮き彫りになるからです.
また,各自がきちんとした科学論文を作成する能力を身につけることも非常に大切です.
特に,論文を作成した経験がない4年生にとっては非常に良い訓練になると思います.

後期も各グループで協力し,充実した活動を継続していきましょう.
では,後期もよろしくお願いします.

第245回 平成22年度前期全体ゼミ,終了しました

2010.08.03

卒論・修論中間発表会も無事に終了し,平成22年度全体ゼミも今日が前期の最終回です.
3月31日から数えて今日で18回,今年度も高いレベルの全体ゼミを維持することができたと思います.
みなさん,おつかれさまでした.

今年度は大学院改組にはじまり,4〜5月は就職活動が例年以上に厳しく,また6〜7月は卒論・修論中間発表という通常の活動に加えて指タップ機能計測実験や自律神経活動評価実験などの学外での活動が活発化するなどいろいろたいへんでしたが,全員,よくがんばったと思います.
また,各種研究会や展示会,学会活動などに関しても,充実した活動を維持することができました.
このあと,8月8日(月),9日(月)のオープンキャンパスをはじめ,いくつかの予定を残していますが,全体ゼミは明日から夏休みに入ります.

夏休み期間中は,各自,自分の状況を客観的に分析し,目的意識をしっかり持って有意義な時間を過ごしてください.
大学院入試受験予定のみなさんは夏の誘惑に負けることなく,受験勉強,しっかりがんばってください!
全員そろって合格してくれることを祈っています.

後期の全体ゼミは9月28日(火)から開始します.
ではみなさん,良い夏休みを!

第244回 修論中間発表会2010

2010.07.27

卒論中間発表会に続いて,7月20日(火),27日(火)の2日間,平成22年度の修論中間発表会を行いました.

この時期に修論中間発表会を行う目的は,修士論文のストーリを早い段階で明確にすることにあります.
このストーリに沿って今後の課題・スケジュールを精査することにより,研究内容のさらなるレベルアップを図るとともに修士論文の早期完成を目指すことが可能となると思います.
今年度は事情により新しい研究テーマに取り組んでいる人もおり,この時期の中間発表はたいへんだったと思いますが,それぞれの日頃の努力がよく伝わってくる良い発表会だったと思います.

自己評価用のチェックリストを以下にまとめておきます.
各自,今回の中間発表について,もう一度,よく内容をチェックしておくといいでしょう.

・研究題目は魅力的で分かりやすいか,
・研究の必要性はクリアか,
・研究目的は明確で説得力があるか,
・従来研究のサーベイは十分か,
・従来研究の問題点が明確に示されており,解決すべき研究課題が明示されているか,
・研究の新規性が明確に示されているか,
・研究内容の再現性,一般性,普遍性は十分か,
・研究結果は従来研究の結果と比較して魅力的か,
・解決すべき研究課題が解決されているか,
・結論は明確か,

研究内容がある程度進んでいる人は学会発表や論文投稿の可能性を検討してみるといいでしょう.
原稿提出の締め切りや発表日等のスケジュールが研究を進めるための最適なdriving forceとなるでしょう.

夏休み期間中の時間を有意義に使い,レベルの高い修士論文を目指して引き続きがんばってください!
発表者のみなさん,ごくろうさまでした.

第243回 平成22年度広島大学エクセレントスチューデントスカラシップ

2010.07.20

平成22年度の「広島大学エクセレントスチューデントスカラシップ」成績優秀学生表彰受賞者が決定し,7月15日に授与式が行われました.
今年度は本研究室からD1の芝軒君がエクセレントスチューデントに選ばれました.
おめでとう!!!

広島大学エクセレント・スチューデント・スカラシップは平成18年度から開始された広島大学独自の奨学制度で,学生の勉学意欲の向上,優秀な人材の輩出などを図ることを目的とし,学業成績,学術活動等において優秀と認められる学生を成績優秀学生として表彰する制度です.
学部生の場合はGPAが,大学院生の場合には前年度の研究業績が評価の対象となります.

「研究業績」とは,一般に,
・受賞
・特許
・学術雑誌掲載論文
・国際会議発表
・国内学会発表
などを指し,これらを点数化することによって上位得点者が選出されます.

本専攻からは博士課程前期,後期合わせて毎年約2名が成績優秀学生として表彰されています.
本研究室のこれまでの受賞者は以下の通りです.

平成18年度成績優秀学生: 糠谷 優之,谷口 早矢佳,朴 宗仁
平成19年度成績優秀学生: 羽田 昌敏,島 圭介,朴 宗仁
平成20年度成績優秀学生: 島 圭介
平成21年度成績優秀学生: 曽 智,寺脇 充
平成22年度成績優秀学生: 芝軒 太郎
              (平成18,19年度は学部学生を含む.)

エクセレントスチューデントスカラシップの募集は毎年5月頃に行われます.
十分な研究成果が得られた人は論文投稿や学会発表にチャレンジするといいでしょう.
積極的な行動が結果につながると思います.

第242回 卒論中間発表会2010

2010.07.13

生体システム論研究室では,毎年,7月に卒論中間発表会を行っています.
4年生にとってはかなり早い時期での中間発表会ですが,研究室配属後の具体的な目標として最適であり,大学院進学希望者にとっては院試に向けてのひとつの区切りとなります.

前期のうちに卒業研究の内容を進めることにより卒論までの道のりが具体的に見えてきますので,後期の研究計画やスケジュールを自分なりに考え工夫することが可能になります.
また,前期のうちに研究が進んだ人は秋に開催されるいろいろな学会で研究発表を行うチャンスがめぐってきます.

学部生のうちに学会で研究発表をしたり,さらには学会賞を受賞したりという経歴は誰が見ても非常に魅力的であることは間違いありませんね.
7月の卒論中間発表会は4年生にとっては自分自身を大きく成長させる絶好の機会になると思います.

7月6日(火),13日(火)の2日間,今年度の卒論中間発表会を開催しました.
4年生の卒論テーマが決まったのが4月で,実質的には5月頃からの研究開始だったと思いますが,発表者8名全員,全力で研究に取り組んでいる様子がよくわかる非常に良い発表を行ってくれ,なかにはすでにしっかりした研究発表のレベルに達しているような優れた発表もありました.

全体に非常にレベルの高い研究発表会だったと思います.
ただし,各グループの先輩たちの助けがなかったらこれだけの発表はできなかったかもしれませんね.
指導をしてくれた院生の先輩たちに深く感謝するとともに,今回の経験を次回の発表に活かせるよう,良かった点,反省点,今後の課題などを整理しておくといいでしょう.

この後,大部分の人は,夏休み,院試をはさんで,9月以降に研究活動を再開することになります.
各自,前期の総括,資料整理をしっかり行い,自分の卒業研究の理想の完成形について,いろいろと想像してみるとよいと思います.

4年生のみなさん,研究指導を担当してくれた院生のみなさん,おつかれさまでした!

第241回 広島大学オープンキャンパス2010

2010.07.06

8月8日(日),9日(月)に広島大学東広島キャンパスで広島大学オープンキャンパス2010が開催されます.
http://home.hiroshima-u.ac.jp/admicen/nyusi/opencampus.html

広島大学オープンキャンパスは,高校生をはじめとする学外の一般の方にキャンパス内の施設や各部局,研究室の様子などを紹介し,普段は接することができないような学内情報を提供しようというものです.
本研究室では4つの研究グループごとにデモンストレーションを用意し,取り組んでいる研究内容をできるだけわかりやすく紹介できればと考えています.

8月8日(日) A1棟2階 筋電グループ
8月9日(月) A1棟5階 生体グループ,MEグループ,A-lifeグループ
(両日とも,10:30, 11:30, 13:30, 14:30, 15:30, 16:30にデモを行う予定です.)

一般の方々に自分たちの研究の魅力をうまく伝えることは,簡単なようで実は意外に難しいことです.
できるだけわかりやすく研究の本質を説明するためには,説明者自身がその研究内容のポイントをきちんと把握していることはもちろん,その専門的な内容をわかりやすい言葉で表現するだけのコミュニケーション能力を備えていることも必要です.
もちろん,説明の組み立て方やデモンストレーション内容の工夫も重要ですね.

非常に良い機会だと思いますので, 各グループごとに研究の意義やポイント,方向性などをよく考え,わかりやすく,かつ魅力的な説明ができるようしっかり準備を行うといいでしょう.

8月8日(日),9日(月)は高校生だけでなく,本研究室の研究に興味を持ってくださっているすべての方々の参加を歓迎します.
研究内容に関する質問やデモの感想なども大歓迎です.
どうぞよろしくお願いします.

第240回 包括脳ネットワーク

2010.06.29

「21世紀は脳の世紀」,「脳は最後のフロンティア」などと言われるように,21世紀に入って脳科学は急速な発展を遂げています.
今年度,日本の脳研究者間のネットワーク形成と研究支援活動を目的とした文部科学省科学研究費補助金 新学術領域研究「包括型脳科学研究推進支援ネットワーク」(略称:包括脳ネットワーク)が採択されました.

脳研究の新手法・新領域の芽を育て,若手脳研究者の育成を行うため,以下のような活動が予定されています.

1. 脳神経科学者のコミュニティーを維持拡大する
2. 技術支援を軸に,脳科学の最新技術の普及を目指す
3. 脳神経科学の若手育成を行う
4. 我が国の脳科学研究の将来を議論する
http://www.hokatsu-nou.nips.ac.jp/

本研究室のA-lifeグループが参加している新学術領域「分子行動学」も,領域全体として包括脳のネットワークに参加することになりました.
7月27日(火)~30日(金)には「包括脳ネットワーク 夏のワークショップ」が予定されています.
http://www.hokatsu-nou.nips.ac.jp/?page_id=601

脳研究の最先端に触れることができる貴重なチャンスだと思います.
今後の展開が楽しみですね.

第239回 第二類講座対抗駅伝2010

2010.06.22

工学部第二類の初夏の風物詩,第二類講座対抗駅伝が今年も6月5日(土)に行われました.

生体システム論研究室からは,「生体Japan」,「M2さんとゆかりな仲間たち」という2チームが出場し,全32チーム中,8位,21位と健闘しました.
今年もベスト10に入ることができ,また第6区をM1の植野岳君は見事,2年連続で区間2位に入賞しました.
研究活動や就職活動で忙しい中,みんなよくがんばったと思います.
みなさん,おつかれさまでした!!!

◇チーム順位
8位 1:41:59 生体Japan
21位 1:56:24 M2さんとゆかりな仲間たち

◇個人賞(区間賞)
第6区
2位 0:10:56 植野 岳君

駅伝幹事の正岡 和弥君,とりまとめごくろうさまでした.

体力と知力,このふたつを両立させることは非常に大切ですね.
来年の駅伝にも元気に参加できるようがんばってください.

第238回 全体ゼミにデビュー!

2010.06.15

4年生8名が全体ゼミではじめての発表を行いました.

全員, はじめての発表ということを感じさせないくらい,落ち着いたよい発表だったと思います.
発表の組み立て,研究の進捗状況,話し方,発表態度,質問への対応など,どれをとっても予想を上回る出来でした.
また,特に話し方が上手だった人,スライドがきれいだった人,発表がわかりやすかった人,研究が進んでいた人,質問に対する答えが的確だった人など,それぞれ特徴があってよかったと思います.

いつも言っていることですが,全体ゼミで発表を行う目的は以下のような点にあります.

◆研究発表の組み立て方を学ぶこと
◆プレゼンテーション用スライドの作成法を学ぶこと
◆プレゼンテーションでの話し方を学ぶこと
◆人に説明できるレベルにまで研究テーマの理解度を深めること
◆発表できるレベルまで研究を進めること
◆大勢の前で評価されながら研究発表を行うという経験を積むこと
◆予想していないような質問にも対応できる力を養うこと

各自,それぞれの項目に対する達成度を評価しておくとよいでしょう.
自分の発表の優れていた点に磨きをかけて強化していくことができれば聴講者により強い印象を与えることができると思いますし,逆に不足していた点を強化することができれば自らの発表能力をレベルアップすることが可能になります.
自分の発表を客観的に振り返り,良かった点,もの足らなかった点を整理しておくといいですね.

実質的な研究開始からわずか1ヶ月程度であったことを考えれば,本当に素晴らしい発表会でした.
しかしながら,もしグループの先輩たちの助けやグループゼミでの発表練習,あるいは卒業した先輩たちが残してくれた資料がなければ,今回の発表準備はもっともっと大変だったのではと思います.
ひょっとすると自分ひとりの力では今回のようなレベルの高い発表はできなかったかもしれません.
自分の時間を割いて指導してくれた先輩たちに感謝するとともに,今回の発表経験を活かし,より高いレベルを目指してがんばってください.

全体ゼミ発表で身につけた力が,いつの日かきっと自分自身を助けてくれることになると思います.
次回の卒論中間発表も期待しています!

第237回 バイオリモート:近況報告

2010.06.08

生体システム論研究室では,産業技術総合研究所の福田修先生,県立広島大学の大塚彰先生,有限会社追坂電子機器,有限会社マクロデータをはじめとする共同研究者の方々とともに産学官コンソーシアムを結成し,2000年ころからバリアフリーインタフェース「バイオリモート」の研究に取り組んできました.

バイオリモートはわずかな身体の動きや筋から発生する筋電位信号を利用して身の回りにある家電製品やコンピュータなどのリモートコントロールを実現するバリアフリー生活支援装置で,身体の不自由な障害者や高齢者の方々の生活支援を目的として開発しました(平成13年度即効型地域新生コンソーシアム研究開発事業).
また,バイオリモート技術を応用したロボットインタフェースについては「CHRIS (Cybernetic Human-Robot Interface System)」と命名し,2005年に開催された愛知万博「愛・地球博プロトタイプロボット展」に出展しました(平成16,17年度次世代ロボット実用化プロジェクト プロトタイプ開発支援事業).
現在も筋電グループにおいてPDの島 圭介君,D1の芝軒 太郎君が中心となって研究を継続しています.

このバイオリモート,CHRISの研究開発に協力していただいてる小林勝さんが尾道で一人暮らしを始められ,ご自宅でバイオリモートを使用されています.
小林さんは17歳のときに事故で頸髄損傷となられ,約25年間,自宅で療養生活を送られてきましたが,現在は電動車いすで活発に行動されており,お仕事もなさっています.
研究にも非常に積極的で,時間がかかる実験にも嫌な顔一つせずに協力してくださるだけでなくいろいろなアイデアを自発的に提案してくださり,本当にいつも頭が下がる思いでいっぱいです.
小林さんも我々の研究チームの一員です.https://bsys.hiroshima-u.ac.jp/wordpress/pub/img/article/shinano070626.jpg

小林さんの長年の夢であった一人暮らしを支援するため,M2の草野 洋一君をはじめてするメンバーが県立広島大学理学療法科の大塚研究室のメンバーと協力しながら,バイオリモートの設置と調整,メンテナンスを担当してくれています.
現在は,部屋の照明,テレビ,ラジオ,扇風機などが操作できるようになり,小林さんの夜更かし生活に貢献しています(?).

今後も,バイオリモートのさらなる充実(操作可能機器および使用可能センサの拡充,操作予測機能やヘルスモニタリング機能など新機能の開発)を図るとともに,小林さんの生活がすこしでも便利に,そして自由になるよう活動を続けていければと思います.

第236回 地域イノベーション創出研究開発事業,終了しました

2010.06.01

平成20年度から2年間にわたって取り組んできた地域イノベーション創出研究開発事業「粘弾性インデックスに基づく血管ストレスモニタリングシステム」が無事,終了しました.

「粘弾性インデックスに基づく血管ストレスモニタリングシステム」
■プロジェクトマネージャー:鵜川 貞二(日本光電工業株式会社)
■研究実施機関
 広島大学    広島大学病院
 県立広島大学  広島県立総合技術研究所
 日本光電工業株式会社   有限会社MIZOUE PROJECT JAPAN
 株式会社デルタツーリング 株式会社日本マイクロシステム
■管理法人:財団法人ひろしま産業振興機構
■研究費:平成20〜21年度総額 約8300万円

本プロジェクトでは,広島大学医歯薬学総合研究科・広島大学病院の先生方や各機関の研究者の方々と協力しながら,(1)手術用血管ストレス評価システム,(2)非観血計測プラットフォーム(自律神経活動評価,血管内皮機能評価,血管粘弾性評価),(3)血管内皮機能評価付自動血圧計という3つのテーマに取り組み,研究面での学術的貢献はもちろんのこと,医療現場・日常生活において実際に役立つ技術の確立を目指して研究を進めてきました.
現在は,手術用血管ストレス評価システム,自動車シート型血管ストレスセンサ,血管内皮機能評価付自動血圧計の3つに関して事業化・製品化の検討を行っています.

この間,研究メンバーの中村 隆治先生(広島大学医歯薬学総合研究科)が本研究に関連して博士学位論文をまとめられ,鵜川 貞二さん(日本光電),小島 重行さん(デルタツーリング)は本学大学院博士課程後期(社会人選抜)において博士学位の取得を目指して研究を進めておられます.
これまでにも卒業生の坂根 彰君が本研究テーマに関して博士学位を取得しており,また現在もアブドゲニ・クトゥルク君が博士課程後期に在学中です.

5月28日(金)には地域イノベーション創出研究開発事業の総括を兼ねてプロジェクトの母体である血管弾性研究会(第35回)を開催しました.
研究会ではM2の丸山 大海君,M1の久保 諒祐君,小松 雄亮君,堀内 徹也君,B4の木原 大輔君,平野 博大君が研究発表を行い,出席された先生方からさまざまなコメントや新しいアイデアをいただくことができ,極めて有意義な時間を過ごすことができました.

本研究会に限らず,学外のさまざまな分野の専門家の方々と交流する機会は貴重であり,新しい知識を得る絶好のチャンスです.
このような機会があればできるだけ参加し,積極的に発言するとよいでしょう.
学内では得難い経験ができると思います.

血管弾性研究会,今後も引き続き活発な活動を続けていければと思います.

第235回 情報処理学会中国支部優秀論文発表賞

2010.05.25

M1の村上 隆治君が平成21年度情報処理学会中国支部優秀論文発表賞を受賞しました.

対象論文:
筋電義手操作トレーニングを目的としたバーチャルハンド制御システム
村上 隆治, 芝軒 太郎, 島 圭介, 辻 敏夫, 大塚 彰, 陳 隆明
電気・情報関連学会中国支部第60回連合大会講演論文集, pp.355-356, Oct.17, 2009.

この研究は,いままでにないタスクレベルの動作訓練を可能にする筋電義手トレーニングシステムをサイバネティックインタフェース技術とバーチャルリアリティ技術を融合することにより実現しようというもので,受賞対象の論文は村上君が昨年度の電気・情報関連学会中国支部連合大会で発表したものです.

授賞式は平成22年度情報処理学会中国支部総会において行われました.
以下は授賞式に出席した村上君のレポートです.
よかったですね!おめでとう!

<平成22年度情報処理学会中国支部総会>
場所:広島大学東千田キャンパス
日時:2010年5月21日(金) 13:30〜14:30

受賞名:平成21年度情報処理学会中国支部優秀論文発表賞
授与者:情報処理学会中国支部支部長 北村 俊明
受賞者:村上 隆治

感想:情報処理学会の総会中に賞状と盾をいただきました.
自分の研究がこのような公式の場で良い評価をいただき,とてもうれしく思います.
今後も引き続き,魅力ある研究となるよう頑張ります.

第234回 学振特別研究員募集中

2010.05.18

今年度も日本学術振興会(以下,学振)では特別研究員を募集しています.
http://www.jsps.go.jp/j-pd/pd_boshu_f.htm
6月 2日〜4日の申請期間に向けて,現在,3名の研究室メンバーが応募書類作成に取り組んでいます.

特別研究員は学術研究の将来を担う創造性に富んだ研究者を育成するために設けられた制度で,書類審査により採否が決定されます.
学振の特別研究員に採用されると研究奨励金(給料に相当します)と科学研究費補助金(研究費に相当します)が交付されるだけでなく,若手研究者にとって非常に魅力的な経歴となります.

特別研究員の採用区分は大きく分けて以下の4つです.

■DC1(大学院博士課程在学者):博士課程後期1年次(D1)から採用.博士課程後期入学の前年(通常はM2のとき)に応募します.
■DC2(大学院博士課程在学者):博士課程後期2年次(D2)から採用.博士課程後期1年次(D1)に応募します.
■PD(大学院博士課程修了者等):博士学位取得後の博士研究員.DCの最終年度に応募します.
■SPD(大学院博士課程修了者):PD合格者のうち特に優れた者と認められた場合です.

平成21年度の採用実績(競争率)は,PD・SPDが約10%,DCが約30%です.
本研究室ではこれまでに多くの学生が特別研究員として採用されており,今年度も島圭介君と曽智君がPDに採用されています.

博士課程後期進学を考えている人は,一度,先輩たちの申請書を読ませてもらうといいでしょう.
自分の研究のアピールポイントを明確にし,魅力的でオリジナリティ溢れる研究計画をわかりやすく,かつ説得力のある形で文章化することが重要です.
また申請までにできるだけ多くの研究実績(学術雑誌論文,国際会議論文,受賞歴など)を挙げておく必要がありますので,自分の今後の研究展開やスケジュールをじっくり考えてみる良い機会になると思います.

申請書を作成中の人は申請書完成までもう一息ですね.がんばってください!

第233回 4年生歓迎会を開催しました

2010.05.11

新しく研究室に配属された4年生のみなさんを迎え,研究室恒例の4年生歓迎会を4月28日に開催しました.
(幹事の井上君,堀内君,ごくろうさまでした!)

4年生8名の所属グループと研究テーマは以下の通りです.

[筋電グループ]
■木原 大輔: 圧電センサを利用したマスク型インタフェースの開発と障害者支援
■山口 裕希: 磁気センサを利用した指タップ運動機能診断支援システムの開発
■菊池 亮太: ビデオ画像を利用した障害児運動能力評価システムの開発

[ME(メディカルエンジニアリング)グループ]
■平野 博大: 血管粘弾性インデックスにもとづく痛み計測システムの提案
■木原 大輔: 超音波画像にもとづく動脈硬化症診断支援システムの開発

[A-life(人工生命)グループ]
■正岡 和弥: 神経-筋回路モデルにもとづくバーチャル線虫モデルの開発

[生体グループ]
■松原 弘明: 人間の感覚・運動特性に基づく自動車ペダルの操作性評価
■成末 充宏: 機械インピーダンスに基づくドライビングシート設計支援システム

各自の研究テーマについては,これから具体的に研究を進めながらより魅力的な研究内容になるよういろいろと模索していきましょう.

研究室内には4つの研究グループがあり,それぞれのグループで先輩から後輩への研究指導,スケジュール管理,研究資材の調達,研究室生活に必要な物品の購入,コンピュータシステムやLANの管理など,日常の研究室運営業務を行っています.
各グループはグループリーダ,副リーダを中心に,それぞれのメンバーが役割を分担しており,全員で協力しながら研究室を支えてくれています.

グループ内,グループ間でよく協力するとともに,互いのレベルを高めあえるような活動ができるといいですね.
切磋琢磨できる仲間がいるというのは本当に幸せなことだと思います.

第232回 2010年度の発表評価アンケートを開始しました

2010.04.20

2010年度も全体ゼミ研究発表の評価アンケートを実施しています.評価項目は以下のとおりです.

1. 視聴覚・情報機器の使い方は効果的でしたか
2. 発表者の声,話し方は聞き取りやすかったですか
3. 理解すべき重要な箇所が強調されるなど,発表の説明はわかりやすかったですか
4. 発表に対する発表者の熱意を感じましたか
5. 研究内容は興味深いものでしたか
6. 前回の発表からの進展に満足しましたか
7. 総合的に判断して,この発表に満足しましたか
8. コメント(自由記述)

1〜7の項目に対しては4, 3, 2, 1, 0の5段階評価としていますので,各評価点の合計点は28点満点となります.

ゼミ終了後,全員のアンケート結果を集計して,評価合計点の全評価者による平均点(発表者本人の自己採点分は除く)を計算し,これを各発表者の総合得点としています.
今年度は,各学年の発表者のなかから高得点者を公表し,表彰する予定です.
おおむね得点率 80%以上(28点満点ですから22.4点以上)が,優れた発表の目安になると思います.
また,アンケートは記名式ですが,記入者の名前を削除した後,アンケート用紙を発表者にフィードバックしています.

評価アンケートを行う目的は,
(1) 発表者に聴講者の意見をフィードバックし,発表内容,研究内容を改善するための手掛かりを与えること
(2) 聴講者に緊張感を与え,積極的な聴講を促すこと
(3) ゼミ中にできなかった質問や指摘を発表者に伝える機会を与えること
の3点です.

新4年生もすでに多くのコメントを記入してくれています.
中には単なる感想にとどまらず,「このような工夫をしたらどうか」とか,「この点を考慮したほうがよい」というような研究内容に関する新しいアイデアの提案,今後の課題の指摘を行っている人もおり,感心しています.
引き続き,発表や質疑応答のやりとりをよく聴き,気がついたことや思ったことをコメントとして記入するといいでしょう.

発表者にとっても聴講者にとっても,互いの力を高めあう良い機会になると思います.相手に対する敬意と思いやりの気持ちを忘れることなく,常に真剣かつ新鮮な気持ちで取り組むといいでしょう.

第231回 2010年度の研究会活動を開始しました

2010.04.13

本研究室では関連する外部の共同研究者の方々とともに,各研究テーマごとに研究会を開催しています.
共同研究者は他学部・他大学の先生方や企業,公的研究機関等の専門家で,その専門分野も工学にとどまらず,医学や保健福祉,生物学など多岐にわたっています.

今日から2010年度の研究会活動を再開しました.今年度,定期的に開催する予定の研究会は以下のとおりです.

[医工連携・産学連携]
■筋電義手研究会
■バイオリモート(BR)研究会
■血管弾性研究会
■メディカル・データ・マイニング(MDM)研究会

[産学連携]
■自動車研究会
■ネックインジャリ研究会

[学々連携]
■A-Life研究会

昨年度開催していたグローブボックス研究会は筋電義手研究会に,新生児運動解析 (IMA) 研究会はメディカル・データ・マイニング(MDM)研究会に統合しました.

開催頻度,参加メンバー,研究会形式などは異なりますが,いずれも各分野の専門家の先生方とディスカッションをしながら進めています.
研究室外の専門家の先生方と直接,交流ができる貴重な時間であり,研究会を通じて学界や社会に関する最新の情報を得ることもできる貴重な機会です.

研究会で発表する際には,研究室外の方にもわかりやすく,かつ説得力のあるストーリを組み立てる必要があり,研究発表の良い訓練になると思います.
4年生も最初は緊張すると思いますが,1年も経てば落ち着いて発表できるようになるでしょう.
各分野の専門家の方々と堂々とディスカッションできるようになれば,それだけ力がついた証拠ですね.

今年度も,この研究会活動を通じて有意義な研究成果を世に送り出せればと思います.

第230回 生体システム論研究室ホームページを2010年度バージョンに更新しました.

2010.04.07

本研究室ではホームページからさまざまな情報の発信を行っています.ホームページの内容は以下の7項目で構成しています.

  • What’s new: 最新のニュースやお知らせ
  • Research topics: 研究紹介,グループ紹介,共同研究
  • プロジェクト: 過去・現在のプロジェクト
  • メンバー: 教員・職員,共同研究者,研究協力者,博士研究員,大学院生,学部生
  • 研究業績: 学術雑誌論文,国際会議論文,国内講演会発表論文,解説・著書,学位論文,招待講演,受賞情報,記事,放送,展示会・見学会,特許
  • 学会活動: 学会での活動
  • Column: 過去の全体ゼミ議事録に掲載したコラム

特に,研究業績のページではこれまでに発表したほぼすべての研究論文(学術雑誌論文,国際会議発表論文),解説・記事,book chapterなどがアーカイブされています.
このアーカイブを利用すれば過去の論文内容を簡単に参照することができ,研究内容の詳細を知ることができます.
研究室内外を問わず新しく生体システム論研究に取り組もうと考えているみなさんの参考になればと思っています.

検索機能は設けていませんが,たとえば,Googleで検索ワードの後ろにsiteとfiletypeを指定して,
EMG site:www.bsys.hiroshima-u.ac.jp/ filetype:pdf
のように検索すれば,「EMG」というワードを含むすべてのPDFファイルを一覧することができますね.

ホームページの作成・管理・運営はたいへんな作業ですが,毎年,研究室の学生が担当してくれています.
(ちなみにホームページの作成は本研究室の卒業生である岡本 勝君(現 広島市立大学 助教)が担当してくれました.)

今年度も昨年度に引き続きD1の服部 佑哉君が作業を一手に引き受けてくれています.
本ホームページに関してお気づきの点,修正点,追加の情報等があれば,服部君までお知らせください.

今年度もさまざまな情報を世界に向けて発信していければと思っています.

第229回 2009年度から2010年度へ

2010.03.31

去る3月23日に広島大学卒業式・学位記授与式が行われ,本研究室からは博士課程後期1名,前期10名,学部12名の計23名が修了/卒業しました.

博士課程後期修了生の曽 智君は日本学術振興会特別研究員のDC(博士課程在学者)からPD(博士学位取得者)に変更となり,引き続き本研究室でA- lifeの研究活動を続ける予定です.

博士課程前修了生10名のうち,芝軒 太郎君,服部 佑哉君は本学大学院博士課程後期に進学し,それぞれの研究を続けます.
服部君は引き続き日本原子力研究開発機構 特別研究学生として高崎量子応用研究所に滞在する予定です.
また平野 陽豊君は東京理科大学大学院博士課程後期に進学します.
石井 政隆君,加芝 祐介君,片岡 仁之君,河野 曜暢君,寺脇 充君,檜垣 直哉君,楽松 武君は就職のためそれぞれの勤務地に向かいました.

学部卒業生12名については,井上 晴仁君,植野 岳君,来山 茂央君,久保 諒祐君,小松 雄亮君,齋藤 牧紀君,中原 裕貴君,平松 侑樹君,堀内 徹也君,村上 隆治君,山田 泰隆君の11名が本学大学院博士課程前期に進学し,岡田 敏英君は就職のため研究室を離れました.

また柴 建次先生は出身大学である東京理科大学基礎工学部に准教授として赴任されました.

全員,それぞれの道で活躍されることを祈ります.

研究室を離れる10名と入れ替わるようにして,新メンバー8名が本研究室に加入してくれました.
新4年生の菊池 亮太君,木原 大輔君,杉江 研勇君,成末 充宏君,平野 博大君,正岡 和弥君,松原 弘明君,山口 裕希君です.

今年も素晴らしいメンバーが集まってくれました.
慣れないうちはいろいろ不安なことも多いと思いますが,遠慮せず何事にも積極的に取り組んでいくといいでしょう.
院生,共同研究者のみなさん,サポートをよろしくお願いします.

2010度の研究室メンバーは教員2名,職員2名,博士研究員2名,博士課程後期5名,博士課程前期20名,学部生8名の計39名で,広島大では最大級の規模を誇る大きな研究室となります.

数は,時として大きな力を生み出します.
今年度もメンバー同士互いに助け合うことによって数を力に変え,世の中の役に立つ研究を推進していければと思います.

今年度もどうぞよろしくお願いします!

第228回 平成21年度全体ゼミ,今日で終了しました

2010.03.02

3月1日(月)に行なわれた修士論文発表会も無事終了し,今日で平成21年度の全体ゼミも終了です.

すこし前になりますが,2月17日(水)に行われた博士学位論文発表会では,曽 智君が数年間にわたる研究成果をまとめた博士学位論文の内容を発表しました.
研究内容,発表内容とも博士論文にふさわしい優れた内容で,魅力的で素晴らしい研究発表でした.
研究題目は以下の通りです.

曽 智
A Neural Network Model of the Olfactory System for Prediction of Odor Perceptual Characteristics
(におい感覚予測のための嗅覚系ニューラルネットモデルの提案)

また,修士論文発表会では以下の10名が発表を行ないました.

  • 楽松 武
    Computational Analysis of Driver’s Load and Manipulability for Vehicle Behaviors Using Human Joint-Motor Properties
    (生体関節トルク特性に基づく車両挙動に応じた運転負担と可操作性の解析評価)
  • 加芝 祐介
    Active Steering Control of Driver-Vehicle System Based on Human Arm Impedance Properties
    (生体運動インピーダンス特性に基づくドライバ-自動車系のアクティブ操舵制御)
  • 石井 政隆
    A Motor-Control Training Method for Smoothness and Timing of Voluntary Arm Movements in Virtual Tennis Task
    (仮想テニス作業による随意運動遂行過程を考慮した上肢運動訓練支援手法)
  • 片岡 仁之
    The Cybernetic Rehabilitation Aid : A Novel Rehabilitation System Using EMG Signals and Tactile Feedback
    (サイバネティック・リハビリテーション・エイド:EMG信号と触覚フィードバックを用いた新しいリハビリテーションシステム)
  • 芝軒 太郎
    A Novel Channel Selection Method Based on a Partial KL Information Measure for Biological Signal Classification
    (偏KL情報量に基づく新しい生体電極選定法)
  • 河野 曜暢
    Change of Arterial Wall Viscoelasticity by Stimuli with Sense of Pain
    (痛覚を伴う刺激に対する血管粘弾性特性の変化)
  • 寺脇 充
    A Bioassay System Using Bioelectric Signals from Small Fish
    (小型魚類の生体電気信号を利用したバイオアッセイシステムの提案)
  • 服部 佑哉
    A Novel Tuning Method for Neural Oscillators with a Ladder-like Structure based on Oscillation Analysis
    (振動解析に基づく梯子型神経振動子のパラメータ調整法)
  • 檜垣 直哉
    Analysis of Biological Effect of Electromagnetic Field Produced by Total Artificial Heart System Using Transcutaneous Energy Transmission
    (経皮エネルギー伝送を用いた全人工心臓が発生する電磁界の生体影響の解析)
  • 平野 陽豊
    A Study on an Insulator Thickness of a Wireless Energy Transmission Transformer for an Artificial Heart
    (人工心臓用経皮エネルギー伝送用トランスフォーマの絶縁被膜層の厚さの検討)

全員,オリジナリティにあふれた魅力的な研究内容で,博士課程前期2年間の成果を実感させてくれる素晴らしい発表会だったと思います.
研究室を離れる人たちは,それぞれの研究課題や問題点を整理し,後輩たちがスムーズに研究をつなげるよう,最後のまとめと引継ぎをよろしくお願いします.
修論発表会,おつかれさまでした!

今日で平成21年度の全体ゼミは終了しますが,研究室説明会(平成22年度卒業研究テーマ説明会)が3月9日(火)(生体システム論研究室の説明は 13:20-13:40)に,研究室公開(オープン・ラボ)が3月10日(水)10:00-17:00に予定されています.
3月17日(水)には新しい4 年生が研究室に配属され,新年度に向けての活動を開始します.
3月31日(水)には,研究室の新メンバーでの2010年度第1回全体ゼミを行なう予定です.

また,来年度の就職活動もすでに始まっています.
就職を予定している人はできるだけ積極的な行動を心掛けていくといいでしょう.

経済情勢には厳しいものがありますが,自分ならではの特徴を意識し,他の人に負けない魅力的なアピールができるようにしたいですね.
そのためには,普段の生活から自覚と自負を持って行動することが肝要だと思います.
がんばってください!

この一年も研究室として非常に良い活動ができたと思います.
みなさん,本当にごくろうさまでした!
新年度も,グループ内,グループ間の結束をさらに進め,みんなで助け合いながら活動していければと思います.
来年度も引き続き,どうぞよろしくお願いします!

第227回 2009年度卒論発表会,終了しました

2010.02.23

平成21年度卒業論文発表会が2月18日(木)に行われ,本研究室からは4年生12名が1年間の研究成果を発表してくれました.
発表者と研究題目は以下のとおりです(発表順).

  • 来山 茂央
    熱帯魚の生体電気信号モニタリング技術の提案
  • 山田 泰隆
    線虫モデル構築のためのパラメータ推定法の提案
  • 平松 侑樹
    加速度センサを用いた新しい双腕動作識別法とロボット制御への応用
  • 村上 隆治
    VR環境下における筋電義手操作トレーニングシステムの開発
  • 植野 岳
    人間の感覚特性を考慮したHuman-Human Interfaceの提案とリハビリテーションへの応用
  • 井上 晴仁
    外乱抑制作業における人間の手先運動制御の解析評価
  • 岡田 敏英
    高速カメラを用いた印加力測定の精度向上に関する研究
  • 中原 裕貴
    ステアリング操作時の覚醒レベルに伴う人間の手先インピーダンスの変化
  • 小松 雄亮
    エアパックセンサを利用した人間の自律神経活動の評価
  • 堀内 徹也
    対数線形化血管粘弾性インデックスの提案と頸動脈超音波検査への応用
  • 久保 諒祐
    全身共振を利用した体内から体外への小電力無線情報伝送
  • 齋藤 牧紀
    体内埋込型補助人工心臓から放射される電磁ノイズの解析

全員,この1年間の成果がよくあらわれた発表で,研究内容,プレゼンテーションとも最高レベルの卒論発表会だったと思います.

もちろん,落ち着いて発表できた人もいれば,緊張で思ったように話すことができなかった人もいるでしょう.
また,質疑応答に対して完璧に答えることができた人,あるいは意図した回答内容をうまく伝えられなかった人や緊張のあまり質問の意味を取り違えてしまった人など人それぞれだったと思います.
自分自身の発表や質疑応答をもう一度よく整理し,その内容を客観的に評価するとともに課題を明確にしておくとよいでしょう.
次の研究発表の機会に活かしていけると思います.

昨年3月に研究室に配属されてからわずか1年間足らずで,全員,驚くべき成長を遂げてくれたと思います.

これまで日々指導をしてくれた研究室の先輩たちや他の4年生に感謝しつつ,自分の研究に自信と誇りを持ち,より高いレベルの卒業
論文完成を目指して引き続きがんばってください.

卒論発表会,おつかれさまでした!

第226回 2009年度論文発表会

2010.02.12

今年度の卒業論文・修士論文・博士学位論文発表会の日程が決定しました.

<卒論発表会>
日時:平成22年2月18日(木) 14:00〜16:00
場所:工学部102講義室

<修論発表会>
日時:平成22年3月1日(月) 13:00〜15:30
場所:工学部103講義室

<博士学位論文発表会(公聴会)>
日時:2月17日(水) 15:45-16:30
場所:広島大学大学院工学研究科 C1-112(第二類会議室)

卒論発表会では12名のB4が,修論発表会では10名のM2が発表を行います.
また,博士学位論文発表会ではD2の曽智君が博士学位の審査を受けます.

発表会に向けてのこの時期,各自の研究の意義・目的,従来研究の特徴と問題点,自分の研究のセールスポイント(新規性・有用性),何ができたのか・できなかったのか,今後の課題などについてよく考察し,発表のストーリが魅力的かどうか,今一度,確認してみるといいでしょう.
全員,研究内容については十分に魅力的だと思いますので,聴衆にもその魅力が伝わるような工夫ができるといいですね.

学生生活の総決算にふさわしい内容の論文と発表を期待しています.
各自,体調には十分に注意しながら,最後までがんばってください.

健闘を祈る!

第225回 見学会とオープンラボ

2010.02.05

生体システム論研究室では,毎年,何度か見学会を開催しています.
今年度も昨年の秋以降,以下のような見学会を行いました.

ひろしま産業振興機構 シーズ発掘のための大学訪問
「生体のしくみに学ぶものづくり
−生体情報と工学技術のマッチングによる新技術の創出−」
広島大学 2009年9月28日

広島中央サイエンスパーク施設公開2009
「頸部損傷を低減する自動車シート機構設計支援技術の実用化」
広島中央サイエンスパーク 2009年10月23日

広島大学60周年記念事業(第3回ホームカミングデー)
工学部・工学研究科研究室訪問
広島大学 2009年11月7日

また,2010年1月12日には衆議院議員の藤村 修氏をお迎えし,見学をしていただきました.
藤村氏は本研究室の前身にあたる旧人間工学研究室の卒業生です.
当日は筋電グループ関係の研究成果をご覧いただきました.

いずれの見学会においても,各グループの学生が研究紹介を担当しています.
このような見学会で良い説明を行うためには,(1) 研究内容が魅力的であること,(2) 研究内容を分かりやすく,またおもしろく説明できること,(3) その場でデモができるくらいの完成度と再現性を備えていること,(4) 参加者からの質問や想定外のハプニングに対して臨機応変に対応できることという4つのポイントをクリアする必要があります.

また,参加者の方からのコメントや情報がその後の研究の進展に役立つこともよくありますし,分野が異なる方々との会話は学生諸君にとって貴重な経験となるでしょう.

来月の3月10日(水)10:00-17:00には,毎年恒例のオープンラボが予定されています.
対象者は主には広島大学工学部の研究室配属予定者ですが,それ以外の方々も参加可能です.
多くの方々の参加を歓迎します.

第224回 論文作成

2010.01.26

今年度も卒論,修論作成の季節となり,B4,M2を中心に多くの研究室メンバーが論文作成に取り組んでいます.
またほとんどの人が学会に投稿する原稿の作成も同時に進めていること思います.

卒論・修論の作成や学会への研究論文投稿は研究がそれだけ進んだということの証であり,研究を進めていくうえでのひとつのマイルストーンです.
論文作成作業は自分の研究の新規性と有用性を客観的にチェックする絶好の機会であり,研究内容を高めていくための重要なステップになります.
また, 提出締切日が設定されていますので,これは研究を進める上での強力なdriving forceにもなります.

論文提出の際には,指定された締切日を厳守する必要があることは言うまでもないことです.
もちろん,余裕をもって原稿を作成し締切日までにきちんと提出している人もたくさんいますが,中には締切日に間に合わず延長をお願いしている人もいます.
(卒論・修論の場合は期日に遅れたら留年することになりますが...)

たとえ理由があったとしても,約束した締め切りに間に合わず相手に迷惑をかけてしまうようなことはできるだけ避けたいですね.

締め切りよりも早目に仕上げることを心掛け,どのようなことがあっても締め切りに遅れないように進めましょう.
また,各自が作成した論文は先輩や先生方に原稿をチェックしていただき,指導を受けることになります.
毎年,この時期に言っていることですが,注意事項を以下にまとめておきます.

1.気配りのすすめ:

先生方や先輩たちに指導してもらう機会が多くなると思いますが,その人たちも自分の仕事をたくさん抱えているなかで時間を費やしてくださっていることを忘れないようにしましょう.
そう考えれば,できるだけ相手の時間を無駄にすることがないように,前もっていろいろな工夫ができると思います.

たとえば,再チェックしてもらうときには,どこを修正したか,どこを確認して欲しいかがすぐにわかるようにしたほうがいいでしょうし,またすでに一度指摘されたことを繰り返してしまい,同じことを指導されるのは絶対に避けるべきです.
もちろん,見直せばすぐわかるような間違いが残らないように,提出前に自分で十分にチェックする必要があります.
できるだけ相手の立場に立って準備をするようにこころがけるといいと思います.

2.時間的余裕のすすめ:

研究室内では夜中や休日に論文チェックをしてもらったり,締め切り直前になって「すぐみてください」というようなこともあるかもしれませんが,それが当たり前になってしまうのはまずいですね.
特に研究室外部の共同研究者の方々には週末の休み中に「急いでみてください」とは言えないでしょうから,十分な時間的余裕をもって提出する必要があります.
論文を修正する時間を考慮すれば,できれば締め切り1週間前にはチェックをお願いしたいですね.

卒論,修論完成まであと一息です.もちろん,論文を作成している本人が一番大変だと思いますが,自分が追い込まれている場合でも周りのことに気を配れるようになれば素晴らしいと思います.

第223回 学生ケータイあわ~ど2009

2010.01.19

M2の加芝 祐介君が「学生ケータイあわ〜ど2009」でアイデア部門佳作に選ばれました.

学生ケータイあわ〜ど2009
受賞部門:アイデア部門 佳作
テーマ:「迷子その前に」
授与者:電子情報通信学会 中国支部学生会
受賞者:加芝 祐介

学生ケータイあわ〜どは電子情報通信学会 中国支部学生会が中心となって行っているイベントで,携帯電話を使って何かおもしろいことができないかという発想から生まれました.
アイデア部門は携帯電話を使ってできるアイデア(実現できないことも含む)を投稿する部門です.

加芝君は2007年に続く2度目の受賞で,2008年にはM1の福島俊介君が受賞しています.
いずれも普段取り組んでいる研究とは別のテーマですが,このコンテストも研究も良い発想が重要なことは共通しています.
表彰式は2009年12月19日(土)にNHK広島放送局 ハートプラザ4階 ハイビジョンシアターで行われました.

以下は表彰式に出席した加芝君のレポートです.よかったですね!おめでとう!

<学生ケータイあわ〜ど2009表彰式>

場所:NHK広島放送局 ハートプラザ4階 ハイビジョンシアター
日時:2009年12月19日(土)

学生ケータイあわ〜ど2009において,私の「迷子その前に」がアイデア部門の佳作に選ばれました.
12月19日(土)に行われた表彰式に参加し5分程度のプレゼンを行いました.

「迷子その前に」
Bluetoothなどの携帯端末に採用されている近距離通信機能を用いて携帯端末間,もしくは携帯と発信機間の距離を計測します.
距離が一定以上になると注意喚起することで,迷子や物をなくすことを防止します.
また,距離情報から相対速度を計測し,暴走自転車や自動車の急速な接近に対し警告します.

【感想】
二度目の受賞ということで大変光栄に思いました.
研究のスライド作成のスキルを活かしつつも,研究とは違う,面白さ重視のプレゼンを組立てることを意識して行いました.
しかし実際に発表してみると,むしろ研究のプレゼンにこそもっと面白さを導入し,理解しやすいプレゼンの組立てが必要だと感じました.
学会とは異なる場での発表が思わぬ勉強となりました.

第222回 2010年,今年もよろしくお願いします!

2010.01.12

年末恒例の大掃除,バイオリモート研究会,研究室忘年会も無事終了し,今日から2010年の全体ゼミがスタートしました.
(個人的には新年早々,体調を崩してしまい,さんざんな年明けになってしまいましたが..)

昨年12月から曽君の博士学位審査がすでに始まっており,2月末には博士論文・修士論文・卒業論文の提出,3月には卒業式,学位記授与式が予定されています.

この間,2011年4月入社に向けての就職活動もあり,研究室は1年を通じて最も忙しい時期に突入します.
研究室メンバー全員で協力し,体調には十分に気をつけながら乗り切ってください!

21世紀に入って10年目という節目の年ですが,昨年から世界は大きな変動の時期へと突入したようです.

今年も予想もしないようなことがいろいろ起こりそうな気配がしますが,時代の変化を見逃さないよう社会や世界の動向に注意を向けるとともに,しっかりと自分自身の足元を見据えてスキルアップ・キャリアアップに努めることが大切と思います.

もちろん研究室全体としても,高いレベルの研究活動を目指して,これまで同様,活動していければと思います.

2010年もよろしくお願いします!

第221回 2009年の全体ゼミも今日で終了です

2009.12.22

今日で2009年の全体ゼミも終了し,今年も残すところあと1週間余りとなりました.
今年は工学研究科リニューアルや大学院改組などさまざまな行事が重なり多忙な1年となりましたが,生体システム論研究室としては例年同様,活発な活動を継続することができました.

特に,地域イノベーション創出研究開発事業(粘弾性インデックスに基づく血管ストレスモニタリングシステム),科学研究費補助金新学術領域研究(生物行動のシステム工学的解釈とバイオミメティックセンサシステムの提案),都市エリア産学官連携促進事業平成21年度可能性試験(パーキンソン病診断システムに係る健常人による臨床試験の実施)など大規模なプロジェクトが続き,関係者のみなさんはたいへんだったと思いますが,いずれも順調に研究を進めることができたと思います.

また,7月にはイタリアからピエトロ・モラッソ先生,プシケ・ジャノーニ先生をお迎えし,たいへん楽しい時間を過ごすことができました.

これも,研究室スタッフ,学生諸君,多くの共同研究者・研究協力者の皆様をはじめ,本研究室を支えてくださったすべての人たちのおかげです.
ここに改めて御礼申し上げます.

以下,2009年の生体システム論研究室の研究業績をまとめておきます.

* 学術雑誌論文:12編(掲載決定を含む)
* 国際会議論文:17編(Proceedings印刷中を含む)
* 国内学会発表:26件
* 著書(分担執筆):1件
* 博士学位論文:3件
* 招待講演:6件
* 受賞:4件
* 記事:1件
* 展示会・見学会:2件
* 特許出願:5件

昨年からの金融危機や新型インフルエンザ騒動,さらには地球温暖化などを考えると,いろんな意味で時代が大きく変わろうとしているようです.

就職活動を控えているみなさんはたいへんだと思いますが,ピンチをチャンスに変えるような発想で乗り切ってくれればと思います.
そのためにはできるだけ視野を広げていろいろな世界に興味を向けるとともに,自分自身のスキルアップとエビデンスとしての研究業績を意識しながらそれぞれの研究に取り組むことが肝要です.

来年も引き続き活発な活動が維持できるよう,みんなで力をあわせてがんばりましょう.
2010年もどうぞよろしくお願いします!.

第220回 学術研究論文200編達成!

2009.12.15

本研究室では学術雑誌に掲載された論文に通し番号をつけてホームページ上に公開しています.
https://bsys.hiroshima-u.ac.jp/wordpress/international-journal-papers

2009年の最新論文の番号が200番となり,これまでに発表した論文数が200編を突破しました.
200番目の記念すべき論文はM2の芝軒君の論文でした.

200. 偏KL情報量に基づく変数選択法と生体電極選定への応用
芝軒 太郎,島 圭介,辻 敏夫,高木 健,大塚 彰,陳 隆明
計測自動制御学会論文集,2009 (in press)

年代別の論文数の推移は,1980年代が15編,1990年代が77編,2000年代が108編です.
また工学分野の代表的な論文誌であるThe Institute of Electrical and Electronics Engineers(IEEE)のTransactionsに掲載された21編など,海外の著名な学術雑誌にも多くの論文が掲載されています.

このうち,53番の”Human Hand Impedance Characteristics during Maintained Posture in Multi-Joint Arm Movements”や127番の”A human-assisting manipulator teleoperated by EMG signals and arm motions”などは他の研究者からもよく引用されており,当該研究分野としてはかなり高い引用数を示しています.

これらの論文を発表することができたのは,本研究室の学生(卒業生,在学生)のみなさん,共同研究者の先生方,そして事務を担当してくださったスタッフのみなさんのおかげです.
本当に感謝しています!

これからも高いレベルの研究を続けていけるよう,研究室全員で協力しながら進めていければと思います.

追伸:国際会議発表論文も200編に近づきつつあります.さて,200番を取るのはだれの論文でしょうか?

第219回 第42回日本人間工学会 中国・四国支部大会に参加しました

2009.12.08

11月28日(土)に岡山大学工学部で開催された第42回日本人間工学会 中国・四国支部大会に参加しました.

日本人間工学会中国・四国支部はその設立当初から本研究室が深く運営に関わっており,現在も学会のホームページは本研究室内におかれています.
日本人間工学会中国・四国支部
第42回日本人間工学会中国・四国支部大会

今年度は本研究室から以下の8件の研究発表を行いました.

生体信号を用いた飲酒検知に関する研究
小島 重行,前田 慎一郎,落合 直輝,小倉 由美,藤田 悦則,村田 幸治,亀井 勉,辻敏夫,金子 成彦,吉栖 正生
日本人間工学会第42回中国・四国支部大会予稿集,pp.52-53,2009.

車両加速度を考慮した自動車操縦空間の人間特性に基づく解析・評価
楽松 武,田中 良幸,辻 敏夫,西川 一男,農沢 隆秀
第42回日本人間工学会中国・四国支部大会講演論文集,pp. 20-21,2009.

靴底特性を考慮した下肢ペダル操作モデルによる反力知覚メカニズムの解析
大中 潤,楽松 武,田中 良幸,辻 敏夫(広島大学),西川 一男,農沢 隆秀
第42回日本人間工学会中国・四国支部大会講演論文集,pp. 36-37,2009.

仮想カーリング作業における人間の手先軌道生成モデル
実政 亨,石井 政隆,田中 良幸,辻 敏夫
第42回日本人間工学会中国・四国支部大会講演論文集,pp.56-57,2009.

高速カメラを用いた印加力推定精度の向上に関する検討
岡田 敏英,福島 俊介,田中 良幸,辻 敏夫,塩川 満久
第42回日本人間工学会中国・四国支部大会講演論文集,pp. 80-81,2009.

人間の感覚特性を考慮したHuman-Human Interfaceの提案とリハビリテーションへの応用
植野 岳,片岡 仁之,Erhan AKDOGAN,島 圭介,辻 敏夫,長谷川 正哉,大塚 彰
第42回日本人間工学会中国・四国支部大会講演予稿集,pp. 84-85, 2009.

対数線形化血管粘弾性インデックスの提案と頸動脈超音波検査への応用
堀内 徹也,河野 曜暢,Abdugheni Kutluk,辻 敏夫,鵜川 貞二,中村 隆治,佐伯 昇,東 幸仁,河本 昌志,吉栖 正生
第42回日本人間工学会中国・四国支部大会講演論文集,pp. 82-83,2009.

加速度センサを用いた新しい双腕動作識別法とロボット制御への応用
平松 侑樹,芝軒 太郎,島 圭介,辻 敏夫
第42回日本人間工学会中国・四国支部大会講演論文集,pp. 86-87,2009.

学会直前の新型インフルエンザ騒動で発表準備をなかなか思うように進めることができなかったり,また学会当日には,急遽,ピンチヒッターとして島圭介君,河野曜暢君が発表するというハプニングもありましたが,各グループともよく協力して乗り切ったと思います.
質疑応答ではなかなか苦労している場面も見られましたが,各自,非常によい経験になったと思います.
ごくろうさまでした!

今後もまた学会や研究会等で発表するチャンスが訪れると思います.
今回の経験を活かし,より良い発表ができるよう,これからもがんばってください!

第218回 新学術領域班会議

2009.12.01

文部科学省科学研究費補助金 新学術領域研究「神経系の動作原理を明らかにするためのシステム分子行動学」の2009年度班会議・ワークショップが,平成21年11月18日〜11月20日にヤマハリゾートつま恋(静岡県掛川市)において行われました.
科学研究費補助金は,文部科学省及び日本学術振興会にて交付を行っている「競争的研究資金」で,基礎から応用までのあらゆる「学術研究」(研究者の自由な発想に基づく研究)を格段に発展させることを目的としています.
毎年,ピア・レビュー(専門分野の近い複数の研究者による審査)による審査を経て,独創的・先駆的な研究に対する助成が行われています.

「新学術領域研究」は,既存の研究分野の枠に収まらない新興・融合領域や異分野連携などの意欲的な研究を見い出し,新たな研究領域や革新的・挑戦的な学術研究の発展を促すことを目的として新設された研究種目です.

本研究室では,東京大学の飯野雄一先生を領域代表者とする「神経系の動作原理を明らかにするためのシステム分子行動学」に参加し,「生物行動のシステム工学的解釈とバイオミメティックセンサシステムの提案」というテーマで研究に取り組んでいます.
実際に研究に取り組んでいるメンバーは,本研究室からA-lifeグループの曽 智君,寺脇 充君,服部 佑哉君,来山 茂央君,山田 泰隆君,金沢大学の滝口 昇先生,日本原子力研究開発機構の鈴木 芳代さん,それに大阪大学の大竹 久夫先生です.

今回行われた2009年度班会議では以下の3件の研究発表を行いました.
ほとんどの参加者が生物分野の研究者であり,生物学的な視点からの貴重なコメントをいただくことができ,有意義な交流ができたと思います.

小型魚類を「生きたセンサ」として利用したバイオアッセイシステムの提案
寺脇 充,曽 智,平野 旭,辻 敏夫(広島大学工学研究科)
新学術領域研究「神経系の動作原理を明らかにするためのシステム分子行動学」
2009年度班会議・ワークショップポスター発表プログラム,p27,2009

グラフカーネル法とニューラルネットを用いたラットの嗅球活動パターン予測
曽 智,辻 敏夫(広島大学工学研究科),滝口 昇(金沢大学理工研究域),大竹 久夫(大阪大学工学研究科)
新学術領域研究「神経系の動作原理を明らかにするためのシステム分子行動学」
2009年度班会議・ワークショップポスター発表プログラム,p28,2009

線虫の神経−筋モデルの構築と運動シミュレーション
鈴木 芳代((独)日本原子力研究開発機構),服部 佑哉(広島大学大学院工学研究科,(独)日本原子力研究開発機構),曽 智(広島大学大学院工学研究科),小林 泰彦((独)日本原子力研究開発機構),辻 敏夫(広島大学大学院工学研究科)
新学術領域研究「神経系の動作原理を明らかにするためのシステム分子行動学」
2009年度班会議・ワークショップポスター発表プログラム,p29,2009

この研究プロジェクトは平成24年度まで続きます.工学分野にしっかりした根をおろした上で,新しい学術研究成果をあげていければと思います.

第217回 はじめての国際会議発表

2009.11.17

11月10日(火)~12日(木)の3日間,広島大学学士会館において The 5th International Workshop on Computational Intelligence and Applications 2009 (IWCIA 2009)が開催され,本研究室からM2の加芝 祐介君,M1の福島 俊介君が発表を行いました
はじめての国際会議,はじめての英語発表ということで非常に緊張したと思いますが,二人とも論文作成から発表準備まで非常によくがんばったと思います.
発表内容も完成度が高く,すぐにでも学術論文として投稿できるくらいの内容で,素晴らしかったと思います.
以下は二人が作成してくれた発表議事録です.

今後も積極的なマインドを持ち続け,いろいろなことに挑戦していくといいでしょう.
お疲れさまでした!

IWCIA2009(H21.11.11)
会期:2009年11月10日(火)~12日(木)
会場:広島大学学士会館(広島県東広島市)

【発表者】
加芝 祐介
【発表タイトル】
Analysis of Human Hand Impedance Properties Depending on Driving Conditions
Yusuke Kashiba, Yoshiyuki Tanaka, Toshio Tsuji, Naoki Yamada and Takamasa Suetomi
Proceedings of the 5th International Workshop on Computational Intelligence and Applications 2009 (IWCIA 2009), pp. 88-93, Hiroshima, Japan, November 2009.
【質疑応答】
■Q1.車両速度によって手先剛性の変化の仕方が異なっているが,これは何に起因するものと考えられるのか.
■A1.運転中の被験者の目標物によるものと考えられます.人間は車両速度が遅い場合は比較的近くを見ながら運転をしていますが,車両速度が速くなるごとに遠くを見るようになります.
それに伴い運転時に目標とするものも変化していると考えられます.
今回の運転状況であれば,低速では車線を目標物としていたけれども車両速度の上昇にともない車線を目標物としなくなった,その結果として,車両速度100km/hでは車線の有無であまり手先剛性が変化しなかったと考えられます.
■Q2.最後に提案している制御系はフィードバック制御になっているが,視覚情報に応じた手先特性の変化はフィードフォーワード制御になるのでは?
■A2.たしかに,ドライバは次の運転を予測しながら手先特性を変化させており,これはフィードフォーワード制御と捉える事ができます.
このようなドライバの操作特性をアシストするためには,運転状況を把握してあらかじめアシスト量を変化させるような制御が必要となります.
そのためには,ステアリングのセンサだけでなく,車載カメラなどを用いてドライバ状態と運転状況を同時計測し,フィードバック制御とフィードフォーワード制御を組み合わせたシステムにする必要があると考えています.
■Q3.主にどのような視覚情報が手先剛性に影響を与えていると考えられるか?
■A3.車両速度と道路の幅が影響していると考えられます.
■Q4.運転中の操舵反力はどのようになっているのか?
■A4.実車の操舵感をインピーダンス制御にて再現しています.
インピーダンス計測のために強制変位をかける瞬間のみステアリングが位置制御へと切り替わるようにしています.
【感想・反省点】
質問の内容自体は難しいものではなく,ある程度聴きとれていたので,日本語であれば答えられていました.
しかし,聞きもらしたときの対応の仕方について準備不足であったり,説明しようにも単語が浮かんでこず,ほとんど答えることはできませんでした.
英語力不足とともに,質疑応答への準備不足を痛感しました.質問された先生は,人間工学,感性工学の研究をなされており,今回の発表に興味を持ってくださいました.
セッション終了後には日本語で有意義な議論をすることができました.
今後はぜひ英語で議論できるようにしたいです.

【発表者】
福島 俊介
【発表タイトル】
Development of an evaluation tool for a driving seat reducing neck injury based on mechanical impedance
Shunsuke Fukushima, Yuhei Nomoto, Yoshiyuki Tanaka, Toshio Tsuji, Toru Takeshima, Masaya Yamashita
Proceedings of the 5th International Workshop on Computational Intelligence and Applications 2009 (IWCIA 2009), pp. 82-87, Hiroshima, Japan, November 2009.
【質疑応答】
■Q1. 上体の重心(位置,回転モーメント)はどのように設定したか.
接触の際,重心の位置によっては変に回転してしまうが.
■A1. 人間モデルはBioRIDⅡダミーのデータを基に構築しました.
また,未知パラメータは最適化手法により設定しました.
※以下のように回答するべきでした.
ダミーのデータを基にした重心位置,回転モーメントのデータを人間モデルに導入しております.
【感想・反省点】
初めての国際学会でしたが,聴衆の表情を見て,落ち着いて発表することができたと思います.
しかし,質疑応答では質問を十分に聞き取ることができず,何度も聞き返した末に質問者に日本語でフォローして頂き,また座長の先生にも応答のフォローして頂くなど,自分の英語能力不足を痛感しました.
今回の学会は,自分の英語能力の低さを確認できた良い経験だったと思います.

第216回 平成21年度修論中間発表会が終了しました

2009.11.05

11月5日(木)に複雑システム工学専攻の修士論文中間発表会が開催され,本研究室からは10名のM2が研究発表を行いました.

今年はインフルエンザ騒動の影響もあり,若干,心配な面もありましたが,全員,分かりやすく,かつ魅力的な研究発表ができており非常によかったと思います.
質疑応答に関してはやや気になる点もありましたが,ほとんどの人がほぼ的確な回答を行っており,この点もよかったと思います.

それぞれ研究の進捗状況は異なると思いますが,今回の予稿・発表スライドの作成作業を通じて自分の研究の完成形をはっきりイメージすることができたのではないでしょうか.

今後は,その完成形に到達するために残された課題を明確にし,アルゴリズムの工夫を追加し新規性や有効性を強化したり,実験やシミュレーションを追加して有用性を確実なものにしたり,あるいは論文をまとめるためのサーベイを追加し従来研究との差異を強調するような比較実験を追加したりというように,早目に課題解決に取り組むといいでしょう.

今年度は比較的,研究が進んでいる人が多いと思いますので,ここ数年の悲願(?)である早期の論文完成も夢ではないと思います.

2009年も年末まであと50日あまり.引き続き,体調に気をつけながらがんばってください.
修論中間発表,おつかれさまでした!

第215回 新型インフルエンザに注意

2009.11.03

研究室内で新型インフルエンザが発生し,全体ゼミや研究会の予定を急遽,変更するなどあわただしい1週間が過ぎました.

幸い,感染した人たちからの情報提供が迅速に行われ,全体ゼミ延期などの措置を取ることができたこともあり,研究室内の流行はおさまりつつあるようです.
ただし,新型インフルエンザの流行は大学内外でまだまだひろがりを見せています.

引き続き感染しないよう,また感染をひろげないよう,十分に注意しましょう.

今回の新型インフルエンザ騒動に限らず,毎年,冬が近づくと研究室内で風邪が流行します.

各自,体調を崩さないよう日ごろから気をつけるとともに,感染した場合にはグループ内,研究室内に感染をひろげないよう行動するといいですね.

M2,B4は修論,卒論で大事な時期です.
特に,M2は中間発表会が目前に迫っています.
また学会での発表が近づいている人もいます.

発表には万全の体調で臨み,持てる力を出し切りたいですね.
体調の管理には十分に気をつけてがんばってください.

第214回 はじめての学会発表

2009.10.20

10月17日(土)に広島市立大学で開催された電気・情報関連学会中国支部第60回連合大会において,B4の村上隆治君がはじめての学会発表を行いました.

筋電信号でバーチャルハンドを制御し義手の操作トレーニングに応用しようという研究内容で,この学会発表を目指して研究を進めてきた成果が十分に発揮された素晴らしい発表だったと思います.

また,質疑応答では的確なご指摘やご意見をいただき,今後の研究を進める上でも参考になったと思います.

研究を進めていく際に適切なタイミングで学会発表を行うことは,自分の研究内容を見つめ直すことができるという意味で良い機会になります.

もちろん,予稿や発表スライドを作成する能力を身につけることもできますし,予稿の締め切りや発表日が設定されるのも研究を進めていくうえで強力なdriving forceになりますね.

また,緊張したなかでの研究発表はプレゼンテーション能力を磨く絶好のチャンスでもあります.

以下,村上君の学会発表議事録です.

筋電義手操作トレーニングを目的としたバーチャルハンド制御システム
村上 隆治,芝軒 太郎,島 圭介,辻 敏夫,大塚 彰,陳 隆明
電気・情報関連学会中国支部第60回連合大会講演論文集,pp.355-356,Oct.17,2009

【質疑応答】

■Q1.ある動作から別の動作へ流れるような制御は可能なのか.
−A1.現在のシステムでは,他の動作に移行するためには一度動作を行っていない状態にする必要があります.
そのため,親指を曲げて,その状態で人差し指を曲げるといった複数の動作を組み合わせた制御は行えません.

■Q2.物を握った等のフィードバックはどのようにするのですか.
−A1.現在は触覚のフィードバックは行っておりませんが,例えば,物体に加えている力に対応した振動刺激を訓練者に与えるといった方法を検討しております.

質問に対して明確な解答を行うことができず,サポートしていただく質疑応答となってしまいました.
しかし,初めての学会は勉強になることが多く,他の研究は自身の研究への良い刺激になりました.
今後はこの経験を基により良い成果をだしていきたいと思います.

これから年末にかけていくつかの学会に参加し,研究発表を行う予定です.

発表者のみなさんは満足のいく発表ができるよう,体調に気をつけながらがんばってください!
期待しています!

第213回 IEEE EMBS Japan Chapter Young Researcher Award

2009.10.13

トピックスでもお知らせしましたように,島 圭介君が2009年のIEEE EMBS Japan Chapter Young Researcher Awardを受賞しました.
これは論文コンペティションの審査結果による受賞で,研究内容が認められたものです.

この賞はIEEE EMBS (Engineering in Medicine and Biology Society)のannual conferenceで発表を行う日本の若手研究者の中から選ばれるもので,IEEE EMBS Japan Chapterが主催する論文コンペティションです.

本研究室からは,2005年にCOE博士研究員だった卜 楠 君(現 産業技術総合研究所)が受賞しています.
(なぜか研究室ホームページに詳細情報が残っていませんでしたので,以下に再掲載しておきます.)

卜 楠
IEEE EMBS Japan Chapter Young Researcher Award (2005)
受賞論文(一等):
Phoneme Classification for Speech Synthesiser using Differential EMG Signals between Muscles
Nan Bu, Toshio Tsuji, Jun Arita, and Makoto Ohga
Proceedings of the 2005 IEEE Engineering in Medicine and Biology 27th Annual Conference, Paper-ID 788, Shanghai, China, September 2005.

IEEE EMBS Annual International Conference (EMBC)は毎年,開催されます.

ME関係の研究をしている人はこの論文コンペティションに挑戦してみてはいかがでしょうか.
賞金は5万円です!

第212回 メンバー変更

2009.10.06

10月1日付で研究室メンバーを一部変更しましたのでお知らせします.

まずA-lifeグループの稲沢 隆治君が研究生を修了し,就職することになりました.
稲沢君は3月に卒業後,研究生として研究室に在籍しながら,公務員試験に挑戦していましたが,見事,志望する公務員のうち2つに合格しました.
初志貫徹で素晴らしいと思います.おめでとう!

10月からは合格先の職場でジョブトレーニングを兼ねた非常勤勤務に着くことになりました.
今後の活躍を期待しています.

一方,鵜川貞二さん,小島重行さんの2名が大学院博士課程後期に入学され,新しく研究室に参加されることになりました.

お二人とも社会人で,鵜川さんは日本光電工業株式会社,小島さんは株式会社デルタツーリングに所属されています.
以前からMEグループの血管弾性研究会の主要メンバーとして共同研究を行っており,現在も地域イノベーション創出研究開発事業「粘弾性インデックスに基づく血管ストレスモニタリングシステム」を一緒に進めています.

特に鵜川さんには地域イノベーション創出研究開発事業のプロジェクトマネージャーを担当していただいています.

二人ともこの地域イノベーション創出研究開発事業での研究成果をベースに,博士学位論文をまとめていく予定です.

これで現在の研究室メンバーは教員3名,事務職員2名,博士研究員1名,博士課程後期4名,博士課程前期19名,学部生12名,合計41名となりました.
引き続きよろしくお願いします.

第211回 平成21年度全体ゼミ,今日から再開しました

2009.09.29

8月3日に行った前期全体ゼミ最終回から約2カ月,今日から全体ゼミを再開しました.

この間,大学院入試,ゼミ旅行,研究室見学会,各種学会・研究会などいろいろな行事がありました.
特に4年生のみなさんは大学院入試でたいへんだったと思いますが,全員合格することでき本当によかったです.

8月29日,30日には大学院入試の打ち上げも兼ねて,香川県讃岐まんのう公園にゼミ旅行に出かけました.

当日は多くの研究室メンバーが参加し,楽しい時間を過ごすことができました.
満濃池のほとりのたいへん美しいロケーションで施設も充実しており,また讃岐うどんも満喫することができました.

幹事のみなさん,ごくろうさまでした.

秋から冬にかけては,11月5日の修論中間発表会をはじめ,各種学会・研究会での発表,卒論・修論提出など多くの行事が予定されています.

すでに多くの研究室メンバーが学会発表用の予稿作成に取り組んでいますが,くれぐれも締め切りに遅れることがないようきちんとスケジュール管理しながら,できるだけ高い完成度の内容を目指してがんばってください.

これから忙しい時期がやってきます.
新型インフルエンザの感染も広がっているようです.
体調には十分気をつけて,グループ全体・研究室全体で互いに助け合いながら取り組んでいきましょう.

今年度の後期も充実した活動を継続していければと思っています.
では,後期もよろしくお願いします.

第210回 平成21年度前期全体ゼミ,終了しました

2009.08.03

卒論・修論中間発表会も終了し,今日で平成21年度前期全体ゼミは終了です.
今年度は3月30日に第1回全体ゼミを行い,今日で第17回となりました.
この4ヶ月間,今年も各種研究会,見学会,卒論中間発表会,修論中間発表会など多くの行事を行ないました.
自画自賛気味ですが,今年度も総じて高いレベルの活動を継続することができたのではと思います.

また7月16日から19日までの4日間,イタリアからピエトロ・G・モラッソ先生,プシケ・ジャノーニ先生をお迎えし,研究室見学やディスカッションなどを通じて交流を深めることができました.

モラッソ先生は人間の運動制御研究の分野で世界的に有名な研究者で,私のイタリア滞在時代(1992-1993)の恩師です.
ジャノーニ先生は先端的な理学療法学の教育研究を行っておられる研究者で,モラッソ先生の奥様です.

研究室見学では,お二人に各グループの研究内容をデモを交えて紹介しました.
研究紹介はドクターコースのクトゥルク君,曽君が中心となって行ってくれましたが,M2の芝軒君,M1の草野君,高木君も英語で上手に研究紹介を行ってくれました.
質問にもよく対応しており,非常によかったと思います.
モラッソ先生,ジャノーニ先生とも今回で3度目の広島訪問でしたが,たいへん楽しく,かつ有意義な時間を過ごすことができました.

8月4日(火),7日(金)の研究会をはじめいくつかの予定を残していますが,全体ゼミは今日から夏休みに入ります.

全員,それぞれ目的意識をしっかり持って,有意義な時間を過ごせるといいですね.
大学院入試受験予定のみなさんは,受験勉強,しっかりがんばってください!
全員そろって合格してくれることを祈っています.

後期の全体ゼミは9月29日(火)から再開します.
ではみなさん,良い夏休みを!

第209回 修論中間発表会2009

2009.07.27

7月24日(金),27日(月)の2日間,今年度前期の修論中間発表会を行いました.

研究の完成度には個人差があって当然ですが,全員,よくまとまった発表を行っており,それぞれの進捗がよく伝わってくる発表内容だったと思います.
10名の発表者のみなさん,お疲れさまでした!

各自,今回の中間発表の内容をもう一度,精査し,
・研究の必要性は明確で説得力があるか,
・研究の新規性&有用性は明確か,
・先行研究のサーベイは十分か,
・結果は従来法と比較して魅力的か,
・結果の再現性,一般性,普遍性は十分か,
・発表のストーリは効果的か,

という点をチェックし,修論の内容をさらに強化していくといいでしょう.

できれば夏休み中にラフな形でもいいので,一度,論文の形式でまとめてみるといいですね.
学会発表を設定し,それを目標に進めるのもいいと思います.

今年度も早目のスケジュールで修論を進めましょう.
ドクターコースに進学予定の人は修論内容を学会誌に投稿するとともに,より高いレベルを目指して研究をどんどん展開していくこと,研究室を離れる予定の人はこれまでの研究生活・学生生活の総決算として修論をしっかりまとめ,研究内容の整理と引き継ぎの時間が十分取れるようスケジュール管理をしていきましょう.

夏休み期間中の時間を有意義に使い,よりレベルの高い修論を目指してがんばってください!

第208回 平成21年度広島大学エクセレントスチューデントスカラシップ,決定

2009.07.24

本年度の「広島大学エクセレントスチューデントスカラシップ」成績優秀学生表彰受賞者が決定し,7月14日に授与式が行われました.

今年度も本研究室からD2の曽君,M2の寺脇君の2名が選出されました!!!
おめでとう!

広島大学エクセレント・スチューデント・スカラシップは平成18年度から開始された広島大学独自の奨学制度で,学生の勉学意欲の向上,優秀な人材の輩出などを図ることを目的とし,学業成績,学術活動等において優秀と認められる学生を成績優秀学生として表彰する制度です.

広島大学エクセレント・スチューデント・スカラシップ

学部生の場合は前年度の学業成績が,大学院生の場合には前年度の研究業績が評価の対象となり,成績優秀学生には表彰状が授与され,当該年度の後期授業料が免除されます.
大学院生の場合の「研究業績」とは,一般に学術雑誌掲載論文,国際会議発表,国内学会発表,学会賞受賞,特許出願などを指し,これらを点数化することによって上位得点者を選出します.

本研究室でのこれまでの受賞者は以下の通りです.

平成18年度成績優秀学生: 糠谷 優之,谷口 早矢佳,朴 宗仁
平成19年度成績優秀学生: 羽田 昌敏,島 圭介,朴 宗仁
平成20年度成績優秀学生: 島 圭介
平成21年度成績優秀学生: 曽 智,寺脇 充

来年度も受賞できるといいですね!
全員,狙えるレベルにあると思いますので,目標を高く持って取り組んでいくといいでしょう.

第207回 卒論中間発表会2009

2009.07.13

7月6日(月),13日(月)の2日間,2009年度の卒論中間発表会を開催しました.

前回の全体ゼミ発表からあまり時間が経っていないにもかかわらず,発表者12名全員,それぞれ懸命に研究を進めている様子がよくわかり,非常によかったと思います.
なかには驚くべき内容の発表もあり,全体的にレベルの高い研究発表会でした.

4年生の卒論テーマを決めたのが4月で,実質的には5月頃からの研究開始だったと思います.
もちろんスタートの時点では,ほとんどの人が研究テーマに関する十分な知識を持たず,ゼロに近い状態だったのではないでしょうか.
それからわずか2か月余りで今回の中間発表会のような研究発表ができたのですから,その進歩は驚異的です.
おそらく大学に入学してから最も密度の濃い勉強ができたのではないでしょうか.

もちろん,各自,反省点やもの足らなかった点も数多くあるでしょう.
また,もし院生や卒業生の先輩たちの助けがなかったらこれだけの発表はできなかったかもしれませんね.
今回の発表を踏まえて,研究内容に関する知識や技術はもちろんのこと,発表ストーリーの組み立て方,話し方,スライドの使い方,質問に対する回答の仕方,議事録の書き方などなど,客観的に自分の能力をチェックし,より高いレベルを目指して少しずつ前進を続けていくといいでしょう.

この後,夏休み,院試をはさんで,9月から研究活動を再開することになります.
各自,前期の総括,資料整理をしっかり行い,自分の研究の理想についていろいろと考えをめぐらせてみると楽しいと思います.

今回の発表会,みなさんが一所懸命に努力している様子がよく伝わってきました.
素晴らしい発表してくれた4年生のみなさん,研究指導を担当してくれた院生のみなさん,おつかれさまでした!

第206回 教養ゼミ発表会

2009.07.06

本研究室では.毎年前期に学部1年生を対象として「生体のしくみを探る:知能機械への応用を目指して」という教養ゼミを開催しています.
この教養ゼミの成果発表会を7月3日(金)に行いました.

成果発表会には研究室メンバーもほぼ全員出席し,学部1年生7名がPowerPointを使用した15分の発表と質疑応答を行いました.
7名とも良い発表を披露してくれ,中には発表にいろいろな独自の工夫を取り入れたり,非常に自然な語り口で的確かつ落ち着いて説明をしている学生もみられました.
なかなか良い発表会だったと思います.

今年度も教養ゼミの運営・1年生の指導は,D2の曽智君を中心に,本研究室各研究グループの院生の人たちが担当してくれました.
非常によくオーガナイズされており,素晴らしかったと思います.
担当してくれたみなさん,ごくろうさまでした!
1年生の初々しい発表を聴いて,いまの自分の成長を実感する人もいれば,自分の力がもの足らないと危機感を抱く人もいるかもしれませんね.

今月は修論,卒論の中間発表会を予定しています.
みなさん,学部1年生に負けないよう,しっかりがんばってください!
期待しています!

第205回 第二類講座対抗駅伝2009

2009.06.29

毎年恒例の第二類講座対抗駅伝が6月6日(土)に行われました.

今年度も本研究室から「ゆかり姫(永遠の17歳)」,「アクアサンタ」,「井上の光るセンス」という3チームが出場し,4位,15 位,31位というバラスが取れた(?)見事な成績をおさめました.
トップチームの成績は,2005年優勝,2006年優勝,2007年3位,2008年4位,2009年4位と高いレベルを維持しており,またアンカー(7 区)を担当した4年生の植野岳君は見事,区間2位に入賞しました.
研究活動や就職活動と両立しながらの駅伝大会でしたが,素晴らしかったと思います.
みなさん,お疲れ様でした!!!

◇チーム順位
4位  ゆかり姫(永遠の17歳)
15位 アクアサンタ
31位 井上の光るセンス

◇個人賞(区間賞)
アンカー(7区)の2位 : 植野岳君 (ゆかり姫(永遠の17歳))

チーム名にも登場した幹事役の井上 晴仁君,とりまとめごくろうさまでした.

来年はベスト5キープできるでしょうか???楽しみですね!

第204回 地域イノベーション,再始動!

2009.06.22

平成21年度地域イノベーション創出研究開発事業(継続分)に以下の研究課題が採択され,6月12日に今年度のキックオフ会議(第1回共同研究推進委員会,および第31回血管弾性研究会)を開催しました.

「粘弾性インデックスに基づく血管ストレスモニタリングシステム」
 ■プロジェクトマネージャー:鵜川 貞二(日本光電株式会社)
 ■研究実施機関
  広島大学  広島大学病院
  県立広島大学  広島県立総合技術研究所
  日本光電株式会社  有限会社MIZOUE PROJECT JAPAN
  株式会社デルタツーリング  株式会社日本マイクロシステム
 ■管理法人:財団法人ひろしま産業振興機構
 ■平成21年度予算総額 約4000万円

このプロジェクトには血管グループのアブドゲニ・クトゥルク君,河野曜暢君,小松雄亮君,堀内徹也君の4名が参加し,中心メンバーとして活躍してくれています.

今年度は本プロジェクトの最終年度です.
医学部の先生方や各機関の研究者の方々と協力しながら,手術用血管ストレス評価システム,非観血プラットフォーム(自律神経活動評価,血管内皮機能評価,血管粘弾性評価),血管内皮機能評価付自動血圧計とも,実用化・製品化を目指して研究を進めていきます.
医療現場で実際に役立つ新技術を提案していければと思います.

第203回 はじめての全体ゼミ発表

2009.06.15

6月1日,8日,15日の3週間にわたって,4年生12名が全体ゼミで初めての発表を行いました.
今回の発表の主な目的は,

◆研究発表の組み立て方を学ぶこと
◆プレゼンテーション用スライドの作成法を学ぶこと
◆PCと液晶プロジェクタの使用法を学ぶこと
◆人に説明できるレベルにまで,自分の研究テーマの理解度を深めること
◆大勢の前で評価されながら,研究発表を体験すること
◆質疑応答を経験すること

にありました.

卒業研究開始のための準備段階を想定していましたが,全員,研究内容に十分踏み込んだ発表を行ってくれました.
中には,この2カ月間の研究成果をすでに形にしている人もおり,全体的に非常によかったと思います.

発表の準備はそれぞれ大変だったと思いますが,多くの時間と労力を費やした成果は発表に十分にあらわれていたと思います.
ただ,指導してくれた先輩たちの助けやグループゼミでの発表練習,あるいは過去に卒業した先輩たちが残してくれた資料がなければ,発表準備はもっともっと大変だったのではと思います.
自分の時間を割いてまで指導してくれていた先輩たちに感謝するとともに,今回の発表経験をバネにして,より高いレベルを目指していくといいでしょう.

大学院生の人たちは今回の4年生の発表を聴いて,自らの成長を実感できたのではと思います.
4年生は,全体ゼミでの先輩たちの発表がいかに高いレベルにあるかということを実感したのではないでしょうか.
互いに助け合い,刺激しあいながら,研究に取り組んでくれればと思います.

4年生のみなさん,発表,お疲れさまでした!

第202回 研究費

2009.06.08

本研究室では,毎年,広島大学の運営交付金はもちろんのこと,学外からも多くの研究費を交付していただいて研究活動を行っています.

たとえば今年度は,平成21年度科学研究費補助金としてA-life関係の新学術領域研究(研究領域提案型,研究期間H20〜H24)や生体信号解析関係の基盤研究(B)(一般,研究期間H21〜H25)をはじめ,いくつかの交付を受けました.
また,平成20 – 21年度地域イノベーション創出研究開発事業(一般枠,研究期間2年間)は血管関係の医工連携研究で,実用化を目指した産学官研究プロジェクトです.
いずれも非常に多額の研究費を助成していただいています.

昨年から厳しい経済情勢が続いていますが,これらの研究費によって各研究テーマに関係するさまざまな実験装置や資材を購入したり,国内/国外の学会に参加したりすることができます.
研究費に困窮することなく研究を進めることができるのはたいへんありがたいことですが,これらの研究費の大部分が国民の貴重な税金で賄われていることを十分認識し,研究費を決して無駄にすることなく最大限有効に活用する義務があります.

十分な予算に恵まれ研究費を節約する工夫を忘れてしまい,結果的に研究の質が低下してしまったというようなことにならないよう,気を引き締めて研究活動を行う必要がありますね.
そして,高い学術性を備えた上で,実社会に還元できるような研究成果を目指して活動していければと思います.