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2025年1月17日

■以下の記事が掲載されました.西川一男さん(マツダ首席研究員, 広島大学特任教授)は生体システム論研究室の博士課程後期修了生で,地方大学・地域産業創生交付金交付対象事業(展開枠)「ひろしまものづくりデジタルイノベーション創出プログラム」のスマート空調システム開発プロジェクトリーダーです.おめでとうございます!

人とモノ 文理融合めざす
西川一男さん マツダ首席研究員&広島大特任教授
朝日新聞 2024年12月30日朝刊

■ 感性ブレイングループインターンシップ生の花本 太一君(呉工業高等専門学校専攻科)が以下の2件の賞を受賞しました.おめでとうございます!

・電気学会優秀論文発表賞B
・電子情報通信学会中国支部奨励賞
受賞者名: 花本 太一(呉工業高等専門学校専攻科)
講演情報:
呼吸と運動の同時計測による新奇動物体に対するゼブラフィッシュの情動行動評価
花本 太一, 曽 智, 平野 旭, 脇谷 伸, 吉田 将之, 辻 敏夫
2024年度(第75回)電気・情報関連学会中国支部連合大会講演論文集
R24-17-03,2024年10月

2025年1月10日

■ 以下の国際学術雑誌論文が掲載決定になりました.この論文は広島国際大 学,ニッティド株式会社との共同研究の成果で,D3の森永浩介先生(広島国際大 学総合リハビリテーション学部リハビリテーション支援学科,助教)の博士学位 論文の一部です.この論文誌”Heliyon”はCell Pressから発行されているオープ ンジャーナルで,Web of Scienceの”MULTIDISCIPLINARY SCIENCES”というカテゴ リーのQ1ジャーナル(Journal Impact Factorによるランキング)です.おめで とうございます!
Assessing  the acute effect of compression socks on improving arterial compliance in young volunteers
Kosuke Morinaga, Masako Nakahara, Kotaro Matsura, Shigekazu Ishihara, Yasuhiro Idobata, Takafumi Kobata, and Toshio Tsuji
Heliyon  (accepted, SCIE, IF=3.4)

■ 以下の国際学術雑誌論文が掲載されました.
186. Risk of Autism Spectrum Disorder at 18 Months of Age is Associated with Prenatal Level of Polychlorinated Biphenyls Exposure in a Japanese Birth Cohort
Hirokazu Doi, Akira Furui, Rena Ueda, Koji Shimatani, Midori Yamamoto, Akifumi Eguchi, Naoya Sagara, Kenichi Sakurai, Chisato Mori, and Toshio Tsuji
Scientific Reports, volume 14, Article number: 31872, doi.org/10.1038/ s41598-024-82908-4, Published: 30 December 2024. (SCI, IF=3.8)
URL: https://www.nature.com/articles/s41598-024-82908-4
PDF: https://www.nature.com/articles/s41598-024-82908-4.pdf

2024年12月20日

■ 以下の国内学会発表を行いました.

脳卒中患者におけるiPadを用いたTrail Making Testの有用性の検討
久保 晃紀,濱 聖司,水口 寛彦,神鳥 明彦,辻 敏夫
第58回日本作業療法学会,PA-6, 札幌コンベンションセンター,2024年11月9日~10日.

■ 以下の国際特許(PCT出願)が公開されました.

67. 血液循環システムの制御装置、制御方法及びプログラム
日本国特許出願 特願2022-207247, 国際出願番号:PCT/JP2023/044815, 公開番号:WO/2024/135522,
辻 敏夫, 曽 智, 木下 拓矢, 高橋 秀暢
出願日:2023年12月14日

65. 測定装置
日本国特許出願 特願2022-8023, 国際出願番号:PCT/JP2022/047301, 公開番号:WO/2023/140038,
辻 敏夫, 古居 彬, 許 自強, 森田 暢謙
出願日:2022年1月21日

2024年12月13日

■以下の国際学術雑誌論文が掲載決定になりました.土居 裕和先生(長岡技術科学大学),島谷 康司先生(県立広島大),古居 彬先生(広島大学)らと取り組んでいる乳児自発運動解析プロジェクトの研究成果で,千葉大学との共同研究を土居先生を中心に発展させたものです.この論文誌”Scientific Reports”はWeb of Scienceの”MULTIDISCIPLINARY SCIENCES”というカテゴリーのQ1ジャーナル(Journal Citation Indicatorによるランキング)です.おめでとうございます!

Risk of Autism Spectrum Disorder at 18 Months of Age is Associated with Prenatal Level of Polychlorinated Biphenyls Exposure in a Japanese Birth Cohort
Hirokazu Doi, Akira Furui, Rena Ueda, Koji Shimatani, Midori Yamamoto, Akifumi Eguchi, Naoya Sagara, Kenichi Sakurai, Chisato Mori, and Toshio Tsuji
Scientific Reports (accepted, SCI, IF=3.8)

コラム

【研究紹介】赤血球の突出型形態変化ステージと人工心肺灌流中の血液粘度との相関解析: In Vitro研究

2025.01.17

広島大学生体システム論研究室では約10年前から人工心肺に関する研究を開始し,博士課程修了生の岡原 重幸先生(純真学園大学保健医療学部教授),高橋 秀暢先生(広島国際大学保健医療学部講師),宮本 聡史さん(広島大学病院診療支援部臨床工学部門部門長),博士課程D2の吉野 将さん(広島大学病院診療支援部臨床工学部門)らとともに,血液粘度推定,人工心肺装置の自動制御,血中マイクロバブル発生数の推定などの研究課題に取り組んできました.
https://bsys.hiroshima-u.ac.jp/news/17855

2024年11月,岡原 重幸先生と曽 智先生を中心に赤血球の突出型形態変化(エキノサイトーシス)ステージと人工心肺灌流中の血液粘度との相関解析に成功し,ASAIO Journalに論文が掲載されました.ASAIO JOURNALは1955年に創刊されたthe American Society for Artificial Internal Organs (ASAIO,米国人工内臓学会)の論文誌で,人工臓器の研究開発をカバーする査読付きの医学専門誌です.Web of Scienceの”TRANSPLANTATION”というカテゴリーのQ1ジャーナル(Journal Citation Indicatorによるランキング)です.

今後も本研究チームとともにこれまでの研究成果を発展的に統合し,自動制御可能でさまざまな機能を備えた人工心肺システム「スマートCPB (cardiopulmonary bypass)」の実現と臨床応用につなげていければと思っています.ひきつづきよろしくお願いします.

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180. Correlation analysis between echinocytosis stages and blood viscosity during oxygenator perfusion: an in vitro study
Shigeyuki Okahara, Satoshi Miyamoto, Zu Soh, Masaru Yoshino, Hidenobu Takahashi, Hideshi Itoh, and Toshio Tsuji
ASAIO Journal, 70(11), pp.938-945, DOI: 10.1097/MAT.0000000000002214, November 2024. (SCI, IF=3.1)
URL

<論文内容>
The study aimed to investigate the effect of red blood cell (RBC) morphology on oxygenator perfusion, focusing on stages of echinocytosis and their correlation with blood viscosity. A test circuit with an oxygenator and human RBC mixtures was used to induce changes in RBC shape by increasing sodium salicylate concentrations (0, 10, 20, 30, 60, and 120 mmol/L), while hematocrit, blood temperature, and anticoagulation were maintained. Blood viscosity was measured using a continuous blood viscosity monitoring system based on pressure-flow characteristics. Under a scanning electron microscope, the percentages of discocytes, echinocytes I?III, spheroechinocytes, and spherocytes were determined from approximately 400 cells per RBC sample. Early echinocytes, mainly discocytes and echinocytes I and II in the range of 0-30 mmol/L were predominant, resulting in a gradual increase in blood viscosity from 1.78±0.12 to 1.94±0.12 mPa s. At 60 mmol/L spherocytes emerged, and at 120 mmol/L, spheroidal RBCs constituted 50% of the population, and blood viscosity sharply rose to 2.50±0.15 mPa s, indicating a 40% overall increase. In conclusion, the presence of spherocytes significantly increases blood viscosity, which may affect oxygenator perfusion.

本研究の目的は,赤血球(RBC)の形態変化が人工心肺灌流に及ぼす影響を,エキノサイトーシス(突出型形態変化)の段階と血液粘度との相関に着目して調べることであった.人工心肺とヒト赤血球混合液を備えた試験回路を用い,ヘマトクリット値,血液温度,抗凝固療法を維持したまま,サリチル酸ナトリウム濃度(0,10,20,30,60,120mmol/L)を上昇させることにより,赤血球形状の変化を誘導した.血液粘度は,我々が開発した圧力-流動特性に基づく連続血液粘度モニタリングシステムを用いて測定した.走査型電子顕微鏡で,赤血球サンプルあたり約400個の細胞から,円板細胞,エキノサイトI, II, III,球棘細胞,球状赤血球の割合を測定した.0-30mmol/Lの範囲では,主に円板細胞,エキノサイトIおよびIIといった初期のエキノサイトが優勢であり,その結果,血液粘度は1.78±0.12から1.94±0.12mPasへと徐々に上昇した,60mmol/Lでは球状赤血球が出現し,120mmol/Lでは球状赤血球が集団の50%を占め,血液粘度は2.50±0.15mPasへと急激に上昇し,全体として40%の上昇を示した.結論として,球状赤血球の存在は血液粘度を著しく上昇させ,酸素灌流に影響を及ぼす可能性がある.
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第751回 2025年,今年もよろしくお願いします!

2025.01.10

今日から2025年(令和7年)の全体ゼミを開始しました.
2024年は大地震と航空機事故に始まりいろいろたいへんな一年となりましたが, 2025年はおだやかで平和な一年となることを祈っています.
今年も2月下旬まで,博士論文,修士論文,卒業論文の作成と各論文発表会が予 定されており,研究室は一年でもっとも忙しい時期を迎えます.各自,体調に十 分に気をつけながら,余裕をもったスケジュールで論文作成や発表準備を進めて いくとよいでしょう.国際的なトップジャーナルに掲載されるような魅力にあふ れた研究論文の完成を目指して,ラストスパートでがんばってください!
2025年もどうぞよろしくお願いいたします!

 

第750回 Happy Xmas 2024 (War should be over)

2024.12.20

2024年の生体システム論研究室全体ゼミは,12月20日開催の第29回が最後となりました.年内の研究打ち合わせをいくつか予定していますが,2024年の活動はほぼ終了しました.

毎年,国際学術雑誌論文を10編発表することを目標にして活動していますが,2024年もこの目標を達成することができ,活発に教育,研究に取り組むことができました.個人的には,昨年から続いていた健康上のトラブルが少しずつ改善し,充実した時間を過ごすことができました.また,12月に入って日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)にノーベル平和賞が授与されるという素晴らしいニュースが届き,広島で暮らす私たちにとって記憶に残る年となりました.

以下に2024年の生体システム論研究室(辻・曽研究室)の研究業績をまとめておきます.

国際学術雑誌論文: 10編(インパクトファクタ合計値42.6)
国際会議論文: 3編
国内学会発表: 3件
博士学位論文: 1編
特許: 国際特許出願2件

■過去の年間インパクトファクタ合計値と国際学術雑誌論文数の推移:
2024: 42.6(10編)
2023: 39.041(10編)
2022: 30.090(7編)
2021: 48.442(11編)
2020: 46.312(12編)
2019: 44.131(8編)

このような研究成果をあげることができたのは,研究室スタッフ,学生諸君,多くの共同研究者・研究協力者の皆様をはじめ,本研究室を支えてくださったすべての方々のおかげです.ここに改めて御礼申し上げます.

本研究室に関わってくださっているすべてのみなさんにとって,2025年が素晴らしい年になることを祈っています.来年もどうぞよろしくお願いします!

We wish you a very merry Christmas and a happy new year!

第749回 英語論文

2024.12.13

修士論文の作成時や国際学術雑誌,国際会議への論文投稿時には,論文を英語で執筆することが必要になります.もちろん,自力で英語論文を執筆する能力を身につけることが大切なのは言うまでもありませんが,とはいえいきなり英語論文を執筆するのはかなりの困難を伴います.

最近,deep learningに基づく優秀な機械翻訳アプリ,英文校正アプリを手軽に利用することが可能になりました.これらのアプリをうまく使いこなせば,結果的に自らの英語能力の向上につながりますし,先生方に英語原稿を提出する前に英文のクオリティをアップすることが可能になります.

すでによく知られているとは思いますが,以下にいくつかのアプリと関連記事を引用しておきます.

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1.機械翻訳アプリ

■DeepL翻訳:科学技術論文に強く,微妙なニュアンスのある翻訳ができるという評価を受けているスタンダードアプリ.非常にレベルの高い英訳が可能ですし,先行研究サーベイをするときには英文和訳機能も便利です.有料版も比較的安価に設定されており,また30日間無料(いつでもキャンセル可能)なので,手軽に利用することができます.
https://www.deepl.com/ja/translator

■Google翻訳:よく知られている機械翻訳アプリ.無料です.
https://translate.google.co.jp/?hl=ja&sl=auto&tl=ja&op=translate

■Google Scholar:特定の言い回しや専門用語が他の学術論文で使われているかどうかを手軽にチェックすることができます.Googleの検索演算子やワイルドカードを使えばさまざまな検索が可能です.たとえば,日本人の著者だけが使っているような言い回しは避ける,適切な前置詞を見つけるなどの使い方が可能になります.
https://scholar.google.com/

2.英文作成・校正アプリ

■DeepL Write:DeepLベースの英文校正アプリです.英語(アメリカ)を選べば自動で校正してくれます.
https://www.deepl.com/ja/write

■ChatGPT:人間の発話をシミュレートしてユーザと自然なやり取りをするチャットボットのモデルで,オープンAIによって開発されました.
https://openai.com/index/chatgpt/
https://note.com/kan_hatakeyama/n/ncc312ff6a23d

■Grammarly:優れた自動校正アプリとして有名です.Wordに埋め込むこともできます.
https://www.grammarly.com/
https://www.path-to-success.net/grammarly

■Ginger Page:作成した英文を文脈に合わせてチェックする機能などが用意されています.
https://www.getginger.jp/

■AI校正の比較
https://eibun-hikaku.net/topics/ai_checker.html

3.参考情報

・以下の記事では,DeepLとGrammarlyを利用した英語論文作成法が紹介されています.
https://eanesth.exblog.jp/240618090/
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000090606.html

・英文の要約文を作成するアプリもいろいろ使えそうです.
https://www.ntt.com/shines/posts/b-t_20201111.html

・「最近ものすごく優秀な修士就活生が増えている」
https://togetter.com/li/1758185
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以上をまとめると,

日本語論文の文章作成(自分の研究と流れが似ているような論文を参考にしながら執筆&推敲)
⇒DeepLで英文変換
(機械翻訳で日本語に戻したときに意味が通じるよう元の日本語論文を修正)
⇒DeepL WriteやGrammarlyなどで校正
⇒専門用語や言い回しをGoogle Scholarでチェック(日本人しか使っていないような言い回しは避け,native speakerが使用しているような言い回しを使う)

というような流れで作業を進めていけば,自力で英作文するよりも容易に英語論文を作成することが可能です.学術雑誌投稿論文についても,研究室内の英語能力の高い人が最終チェックをすれば,高額の英文校正サービスは不要になりそうです.

もちろん,機械翻訳アプリや英文校正アプリによって提示された英文が適当かどうか判断できるだけの基本的な科学英語力を身に着けていることが必須条件で,そのためには普段からできるだけ多くの英語論文を読んでおくことが大切です.また,英語化よりも研究内容の新規性/独創性を明確にすること,日本語論文のストーリ/文章構成の完成度が高いことなどがはるかに重要であることは言うまでもありませんが,便利なアプリを上手に,そして正しく利用して英語論文の作成を進めるとよいでしょう.

レベルの高い英語論文完成を目指してがんばってください!