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2024年12月13日

■以下の国際学術雑誌論文が掲載決定になりました.土居 裕和先生(長岡技術科学大学),島谷 康司先生(県立広島大),古居 彬先生(広島大学)らと取り組んでいる乳児自発運動解析プロジェクトの研究成果で,千葉大学との共同研究を土居先生を中心に発展させたものです.この論文誌”Scientific Reports”はWeb of Scienceの”MULTIDISCIPLINARY SCIENCES”というカテゴリーのQ1ジャーナル(Journal Citation Indicatorによるランキング)です.おめでとうございます!

Risk of Autism Spectrum Disorder at 18 Months of Age is Associated with Prenatal Level of Polychlorinated Biphenyls Exposure in a Japanese Birth Cohort
Hirokazu Doi, Akira Furui, Rena Ueda, Koji Shimatani, Midori Yamamoto, Akifumi Eguchi, Naoya Sagara, Kenichi Sakurai, Chisato Mori, and Toshio Tsuji
Scientific Reports (accepted, SCI, IF=3.8)

2024年12月6日

■以下の国内学会発表を行いました.瀬川晃生君,花本太一君は呉高専からのインターンシップ生です.発表,ごくろうさまでした!

変分オートエンコーダを用いたゼブラフィッシュのカフェイン濃度依存性遊泳行動評価
瀬川 晃生, 曽 智, 平野 旭, 脇谷 伸, 吉田将之, 辻 敏夫
2024年度(第75回)電気・情報関連学会中国 支部連合大会講演論文集
R24-17-02,2024年10月

呼吸と運動の同時計測による新奇動物体に対するゼブラフィッシュの情動行動評価
花本 太一, 曽 智, 平野 旭, 脇谷 伸, 吉田 将之, 辻 敏夫
2024年度(第75回)電気・情報関連学会中国支部連合大会講演論文集
R24-17-03,2024年10月

2024年11月29日

■以下の論文が掲載されました.

185. Epileptic seizure detection using a recurrent neural network with temporal features derived from a scale mixture EEG model
Akira Furui, Ryota Onishi, Tomoyuki Akiyama, and Toshio Tsuji
IEEE Access, Volume: 12, pp.162814-162824, Digital Object Identifier:10.1109/ACCESS.2024.3487637, Date of Publication: 29 October 2024 (SCI, IF=3.4)
URL: https://ieeexplore.ieee.org/document/10737339
PDF: https://ieeexplore.ieee.org/stamp/stamp.jsp?tp=&arnumber=10737339

2024年11月22日

■以下の国際会議論文がacceptになりました.いずれも乳幼児発達研究会の研究成果で,筋電グループM2の上田 怜奈さん,米井 陸也君の修士論文の一部です.おめでとうございます!

Discriminative Analysis of Autistic Tendencies at 18 Months of Age Using Eye Gaze Characteristics in 4-, 10-, and 18-month-old Infants
Rena Ueda, Hirokazu Doi, Akira Furui, Koji Shimatani, Hideaki Hayashi, and Toshio Tsuji
2025 IEEE/SICE International Symposium on System Integration (SII2025), Munich, January 21-24, 2025. (accepted)

Non-Negative Tensor Factorization of Infant Spontaneous Movements: A Pilot Study for ASD Risk Evaluation of Newborn Infants
Rikuya Yonei, Akira Furui, Hirokazu Doi, Koji Shimatani, Hideaki Hayashi, Midori Yamamoto, Kenichi Sakurai, Chisato Mori, and Toshio Tsuji
2025 IEEE/SICE International Symposium on System Integration (SII2025), Munich, January 21-24, 2025. (accepted)

コラム

第749回 英語論文

2024.12.13

修士論文の作成時や国際学術雑誌,国際会議への論文投稿時には,論文を英語で執筆することが必要になります.もちろん,自力で英語論文を執筆する能力を身につけることが大切なのは言うまでもありませんが,とはいえいきなり英語論文を執筆するのはかなりの困難を伴います.

最近,deep learningに基づく優秀な機械翻訳アプリ,英文校正アプリを手軽に利用することが可能になりました.これらのアプリをうまく使いこなせば,結果的に自らの英語能力の向上につながりますし,先生方に英語原稿を提出する前に英文のクオリティをアップすることが可能になります.

すでによく知られているとは思いますが,以下にいくつかのアプリと関連記事を引用しておきます.

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1.機械翻訳アプリ

■DeepL翻訳:科学技術論文に強く,微妙なニュアンスのある翻訳ができるという評価を受けているスタンダードアプリ.非常にレベルの高い英訳が可能ですし,先行研究サーベイをするときには英文和訳機能も便利です.有料版も比較的安価に設定されており,また30日間無料(いつでもキャンセル可能)なので,手軽に利用することができます.
https://www.deepl.com/ja/translator

■Google翻訳:よく知られている機械翻訳アプリ.無料です.
https://translate.google.co.jp/?hl=ja&sl=auto&tl=ja&op=translate

■Google Scholar:特定の言い回しや専門用語が他の学術論文で使われているかどうかを手軽にチェックすることができます.Googleの検索演算子やワイルドカードを使えばさまざまな検索が可能です.たとえば,日本人の著者だけが使っているような言い回しは避ける,適切な前置詞を見つけるなどの使い方が可能になります.
https://scholar.google.com/

2.英文作成・校正アプリ

■DeepL Write:DeepLベースの英文校正アプリです.英語(アメリカ)を選べば自動で校正してくれます.
https://www.deepl.com/ja/write

■ChatGPT:人間の発話をシミュレートしてユーザと自然なやり取りをするチャットボットのモデルで,オープンAIによって開発されました.
https://openai.com/index/chatgpt/
https://note.com/kan_hatakeyama/n/ncc312ff6a23d

■Grammarly:優れた自動校正アプリとして有名です.Wordに埋め込むこともできます.
https://www.grammarly.com/
https://www.path-to-success.net/grammarly

■Ginger Page:作成した英文を文脈に合わせてチェックする機能などが用意されています.
https://www.getginger.jp/

■AI校正の比較
https://eibun-hikaku.net/topics/ai_checker.html

3.参考情報

・以下の記事では,DeepLとGrammarlyを利用した英語論文作成法が紹介されています.
https://eanesth.exblog.jp/240618090/
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000090606.html

・英文の要約文を作成するアプリもいろいろ使えそうです.
https://www.ntt.com/shines/posts/b-t_20201111.html

・「最近ものすごく優秀な修士就活生が増えている」
https://togetter.com/li/1758185
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以上をまとめると,

日本語論文の文章作成(自分の研究と流れが似ているような論文を参考にしながら執筆&推敲)
⇒DeepLで英文変換
(機械翻訳で日本語に戻したときに意味が通じるよう元の日本語論文を修正)
⇒DeepL WriteやGrammarlyなどで校正
⇒専門用語や言い回しをGoogle Scholarでチェック(日本人しか使っていないような言い回しは避け,native speakerが使用しているような言い回しを使う)

というような流れで作業を進めていけば,自力で英作文するよりも容易に英語論文を作成することが可能です.学術雑誌投稿論文についても,研究室内の英語能力の高い人が最終チェックをすれば,高額の英文校正サービスは不要になりそうです.

もちろん,機械翻訳アプリや英文校正アプリによって提示された英文が適当かどうか判断できるだけの基本的な科学英語力を身に着けていることが必須条件で,そのためには普段からできるだけ多くの英語論文を読んでおくことが大切です.また,英語化よりも研究内容の新規性/独創性を明確にすること,日本語論文のストーリ/文章構成の完成度が高いことなどがはるかに重要であることは言うまでもありませんが,便利なアプリを上手に,そして正しく利用して英語論文の作成を進めるとよいでしょう.

レベルの高い英語論文完成を目指してがんばってください!

第748回 論文作成

2024.12.06

生体システム論研究室では,毎年,多くのメンバーが修士論文,卒業論文の作成に取り組んでいますが,最終的にはこれらの論文が国際学術雑誌や学会誌に掲載されることを目指しています.

学会誌や学術雑誌に掲載されるレベルの論文をまとめるためには,
・研究の狙いと新規性,独自性が明確であること
・研究目的に対応した魅力的な研究成果が得られていること
・従来研究との比較や統計的検定といった客観性が十分に示されていること
が重要です.

もちろん,魅力的な実験結果を得たり,その客観的評価を示すまでには,さまざまな工夫と長い時間が必要だと思いますが,研究の狙い,新規性や独自性,研究目的に対応した研究結果を得るために必要なプロセスについては,早め目のチェックを行うこと大切です.研究を進めていくとき,
・全体の狙いや方向性を明確にすること
・部分の詳細を論理的にきちんと構築していくこと
という全体と部分の問題を同時に考慮する必要があります.日々の課題はどうしても後者の部分に関する問題解決が主となり,部分を積み上げていくことのみに気をとられがちですが,部分を寄せ集めても全体にたどり着くわけではなく,研究の大前提である前者については意外にあいまいなままになっていることがあります.

論文の締め切り間際に慌てないためにも,早い時期に書き言葉の形で論文化を進めておくとよいでしょう.

1.余裕を持ったスケジュールで早目に着手:研究結果が揃う前に論文執筆開始する.

2.目次,流れ,ページ割を決定:論文全体のあらすじをおおよそ決定する.

3.従来研究(先行研究)として引用する文献の整理:必要に応じてサーベイを追加する.参考文献のイントロ等をチェックし,従来研究の流れや自分の研究のオリジナリティを再確認する.

4.論文の狙いとそれに対応する結論を明確にし,最も主張したいことをまとめておく:新規性や独自性を主張する核となるポイントはひとつで十分.その代わり,そのポイントについては圧倒的な結果を示したい.

5.「はじめに」を作成:研究の必要性,従来研究の動向と問題点,それを解決するための核となるアイデア,本論文の内容,本論文の成果(従来研究でできなかったことが解決できるか)といったポイントを明確にし,オリジナリティが十分かどうか,きちんと筋が通っているかどうかをチェックする.必要に応じて3から5を繰り返す.

6.提案する方法や開発するシステムの明確化:研究の新規性,独自性を強調し,具体的な理論やアイデアを説明する.

7.研究の新規性や有用性を客観的に説明するために必要な実験と予想される結果(仮説):実験結果からはっきり言えることをきちんと把握し,従来法との比較や統計的検定などを用いて提案法の有用性を示す.

参考のため,自己評価用のチェックリストを以下にまとめておきます.

・研究題目は研究の特徴や魅力を端的に表しているか,
・研究の必要性はクリアか,
・研究目的は明確で説得力があるか,
・従来研究のサーベイは十分か,
・従来研究の問題点が明確に示されており,解決すべき研究課題が明示されているか,
・研究の新規性,オリジナリティが明確になっているか,
・研究内容の再現性,一般性,普遍性は十分か,
・研究結果は従来研究の結果と比較して魅力的か,
・目的に挙げた研究課題が解決されているか,
・結論は明確か

修士論文,卒業論文の早期完成を目指すとともに,その論文を国際学術雑誌等に掲載することを目標にがんばってください!

第747回 2024年度広島大学大学院先進理工系科学研究科電気システム制御プログラム 修士論文中間発表会(M1)

2024.11.29

2024年11月8,15日の3日間,M1の修士論文中間発表会を行いました.

2020年度に設置された広島大学大学院先進理工系科学研究科では,M1の修士論文中間発表が義務付けられています.中間発表の目的は,入学後の早い時期に研究のゴールを明確にするとともに,自分の研究の意義,特徴,新規性,独創性などをわかりやすく説明できるようにすることにあり,M1にとっては修士研究を進めていくうえでのマイルストーンとなります.また,今後の就職活動に向けて,自分の研究のセールスポイントを整理するよい機会にもなったのではと思います.

今年度は,M1の11名が発表を行いました.全員,魅力的な研究内容で,非常にレベルの高いM1修士論文中間発表会となりました.もう少しで学術雑誌に論文投稿ができそうな新規性,独創性の高い研究発表が多く,よかったと思います.それぞれの今後の課題をよく整理し,一つずつ課題を解決していくとよいでしょう.

M1のみなさん,おつかれさまでした!

第746回 2024年度広島大学大学院先進理工系科学研究科電気システム制御プログラム 修士論文中間発表会(M2)

2024.11.22

11月13日(水)に電気システム制御プログラムの修士論文中間発表会が行われ,生体システム論研究室からは13名のM2が研究発表を行いました.

今年度はリモート形式の発表会となりましたが,全員,非常に魅力的な研究発表で,充実した修論中間発表会となりました.全体ゼミでの発表練習から発表内容が大きく改善した人が多く,修士論文全体のストーリの整理という意味でも有意義な中間発表会だったと思います.また,質疑応答に関してもほぼ的確な回答が行えており,堂々とした発表態度もよかったと思います.

研究の進捗状況はそれぞれで異なりますが,今回の予稿・発表スライドの作成作業を通じて自分の修士論文の完成形をはっきりイメージすることができたのではと思います.今後は修士論文の早期完成を目指し,以下の点を改善していくとよいでしょう.

(1) 新規性・独創性を明確にし,従来研究との差異を強調するような工夫を強化する
(2) 論文のストーリを明確にし,必要に応じて従来研究のサーベイを追加する
(3) 実験やシミュレーションを改善,充実させ,研究の有用性をさらに明確にし従来研究との比較結果を示す
(4) 研究目的に対応した結論が得られているか
(5) 残された課題を箇条書きにし,具体的に解決策を検討する

早いもので2024年も残すところあと約一月半となりました.体調に十分に気をつけながらラストスパートでがんばってください.
修論中間発表会,おつかれさまでした!!