水槽の底に設置した126個の電極を用いて,ゼブラフィッシュ(Danio rerio)という体長約3 cmの魚の生体電気信号を計測しました.この生体電気信号から呼吸と運動情報を抽出し,ニューラルネットで識別することにより,恐怖/不安状態,快状態という魚の情動を推定することに成功しました.
研究紹介
末梢血管剛性は痛み関連領野の脳活動と主観疼痛強度に正相関する
メディカルエンジニアリンググループ疼痛刺激をヒトに提示したときの脳活動,末梢交感神経活動指標である末梢血管剛性,Visual Analogue Scale(VAS)による主観評価を計測し,これらの間の関係について解析しました.その結果,脳の疼痛関連領野の一部が末梢血管剛性と有意に相関する活動を示すことが明らかになりました.
疼痛評価
メディカルエンジニアリンググループ交感神経活動に支配される血管力学特性の変化と疼痛を伴う皮膚電気刺激およびヒトが感じる主観的な疼痛強度の関係性を解析しています.そして,末梢血管剛性,皮膚電気刺激および主観的疼痛評価の間に一定の関係が成立することを実験により明らかにしました.
電磁誘導血圧計
メディカルエンジニアリンググループ頸動脈の連続血圧波形を計測可能で,同時に計測者がセンサを介して被験者の脈波を触診可能な新しい血圧計を開発しています.具体的には,(1)高いSN比で連続血圧を計測可能であること,(2)計測者がセンサを介して脈波を触診可能であること,(3)小型で脱着が容易であることという特徴を備えた電磁誘導型非侵襲連続血圧計を提案しています.
血管内皮機能評価
メディカルエンジニアリンググループオシロメトリック法を応用した血管内皮機能評価手法ezFMD (enclosed zone flow-mediated vasodilation) を提案しその力学的計測原理を解明するとともに,血管粘弾性特性を考慮した新しい血管内皮機能評価指標を提案しています.
血管粘弾性モデル
メディカルエンジニアリンググループ末梢血管系の血圧と血管径の非線形特性を考慮した非線形血管力学モデルを導出することにより,血管力学特性を評価するための新しい対数線形化末梢血管粘弾性インデックスを提案しました.
線虫(Caenorhabditis elegans)の 神経回路モデルの構築と化学走性メカニズム解析
感性ブレイングループ本研究では,全神経接続が解明されているCaenorhabditis elegansの神経ネットワークモデルを提案し,実際の神経回路構造を用いた化学走性シミュレーションを行いました.提案モデルは,化学走性の情報処理メカニズム解明を目標とする実生物実験の指針の立案に資することが期待されます.
小型魚類の呼吸波と行動解析に基づいた バイオアッセイシステム
感性ブレイングループ本研究では、小型魚類の呼吸波と呼ばれる生体電気信号に着目し,魚の行動や呼吸信号を同時にモニタリングすることで,水質汚濁を検出するためのバイオアッセイシステムを提案します.
齧歯類嗅覚系の選択的順応メカニズムを再現する嗅球数理モデル
感性ブレイングループ本研究では,嗅覚系の内部状態である神経活動からニオイの感覚を予測するという手法を提案し,嗅覚系構造の一部を模倣したニューラルネットモデルを構築し,感覚予測を目指します.
確率共鳴を利用した触知覚感度向上効果を有する低侵襲手術用把持鉗子
ヒューマンモデリンググループ本研究では,ノイズによって知覚可能な閾値を向上させる確率共鳴という現象を用いることで触知覚感度を向上させる効果を持たせた低侵襲手術用把持鉗子を開発しました.
電気刺激を用いた力覚提示
ヒューマンモデリンググループ本研究では,電気刺激の手法の一つである電気的筋肉刺激(Electrical Muscle Stimulation : EMS)を用いて物体の剛性を呈示するシステムの構築を行いました.更に開発したシステムを用いて視覚・触覚情報による剛性の変化に関する検証実験を行った結果,目標の剛性と知覚した剛性の間に正の相関が確認されました
感覚運動機能を向上させる ウェアラブルスーツSEnS
ヒューマンモデリンググループ本研究ではアクチュエータや電機駆動装置を使わない人の感覚運動機能を向上させるウェアラブルスーツSEnS (Sensorimotor Enhancing Suit) を開発しました.この研究の目的はスーツ使用者の上肢における随意筋活動度を減らすことで力の再現能力を向上させることにあります.