以前,研究者の業績評価についてお話しましたが, 先日,今度は学生の”特に優れた業績”について議論する機会がありました.
なかなか定義が難しいのですが,たとえば日本学生支援機構では, 「学問分野での顕著な成果や発明・発見のほか,専攻分野に関する文化・芸術・スポーツにおけるめざましい活躍,ボランティア等での顕著な社会貢献等も含めて評価」するとしています.
工学研究科では,このうち「学問分野での顕著な成果や発明・発見」の部分が大きなウェイトを占めることになります.
では,「学問分野での顕著な成果や発明・発見」をどのようにして定量化するか?
一般的には,研究成果発表,受賞,特許等の件数をもとに算出します.
研究成果発表は,学術雑誌論文,国際会議発表論文,紀要,国内学術会議発表論文ごとに点数化し,その合計点を計算します.
受賞は賞の内容に応じて点数化します.
特許は件数を点数化します.
個人間の比較を行うには客観的な指標が必要ですから,一般にこのような方法を用いることになります.
(博士課程前期の学生の場合には,入学試験の成績や授業成績が考慮される場合もあ ります.)
日本学生支援機構では,大学院において第一種奨学金の貸与を受けた学生のうち, 在学中に特に優れた業績をあげた者に対し,奨学金の返還免除を実施しています.
(第一種奨学金は,博士課程前期で月額 88,000円,博士課程後期は月額 122,000円 ですから,返還免除されると大きいですね.)
この制度は,以前の国立大学等の教官となった者に対する奨学金返還免除制度が改定されたものです.
組織評価の時代から個人評価の時代へと変革が進んでいます.
もちろん,研究成果や学業成績がすべてではなく,その個人のほんの一面にしかすぎ ないということを 忘れてはいけませんが,個人の能力や努力が正当に評価されること自体は大きなチャ ンスです.
自分の能力や努力を,できるだけ客観的なエビデンスの形で残しておくことが大切と 思います.