生体システム論研究室では,毎年,多くのメンバーが修士論文,卒業論文の作成に取り組んでいますが,最終的にはこれらの論文が国際学術雑誌や学会誌に掲載されることを目指しています.
学会誌や学術雑誌に掲載されるレベルの論文をまとめるためには,
・研究の狙いと新規性,独自性が明確であること
・研究目的に対応した魅力的な研究成果が得られていること
・従来研究との比較や統計的検定といった客観性が十分に示されていること
が重要です.
もちろん,魅力的な実験結果を得たり,その客観的評価を示すまでには,さまざまな工夫と長い時間が必要だと思いますが,研究の狙い,新規性や独自性,研究目的に対応した研究結果を得るために必要なプロセスについては,早め目のチェックを行うこと大切です.研究を進めていくとき,
・全体の狙いや方向性を明確にすること
・部分の詳細を論理的にきちんと構築していくこと
という全体と部分の問題を同時に考慮する必要があります.日々の課題はどうしても後者の部分に関する問題解決が主となり,部分を積み上げていくことのみに気をとられがちですが,部分を寄せ集めても全体にたどり着くわけではなく,研究の大前提である前者については意外にあいまいなままになっていることがあります.
論文の締め切り間際に慌てないためにも,早い時期に書き言葉の形で論文化を進めておくとよいでしょう.
1.余裕を持ったスケジュールで早目に着手:研究結果が揃う前に論文執筆開始する.
2.目次,流れ,ページ割を決定:論文全体のあらすじをおおよそ決定する.
3.従来研究(先行研究)として引用する文献の整理:必要に応じてサーベイを追加する.参考文献のイントロ等をチェックし,従来研究の流れや自分の研究のオリジナリティを再確認する.
4.論文の狙いとそれに対応する結論を明確にし,最も主張したいことをまとめておく:新規性や独自性を主張する核となるポイントはひとつで十分.その代わり,そのポイントについては圧倒的な結果を示したい.
5.「はじめに」を作成:研究の必要性,従来研究の動向と問題点,それを解決するための核となるアイデア,本論文の内容,本論文の成果(従来研究でできなかったことが解決できるか)といったポイントを明確にし,オリジナリティが十分かどうか,きちんと筋が通っているかどうかをチェックする.必要に応じて3から5を繰り返す.
6.提案する方法や開発するシステムの明確化:研究の新規性,独自性を強調し,具体的な理論やアイデアを説明する.
7.研究の新規性や有用性を客観的に説明するために必要な実験と予想される結果(仮説):実験結果からはっきり言えることをきちんと把握し,従来法との比較や統計的検定などを用いて提案法の有用性を示す.
参考のため,自己評価用のチェックリストを以下にまとめておきます.
・研究題目は研究の特徴や魅力を端的に表しているか,
・研究の必要性はクリアか,
・研究目的は明確で説得力があるか,
・従来研究のサーベイは十分か,
・従来研究の問題点が明確に示されており,解決すべき研究課題が明示されているか,
・研究の新規性,オリジナリティが明確になっているか,
・研究内容の再現性,一般性,普遍性は十分か,
・研究結果は従来研究の結果と比較して魅力的か,
・目的に挙げた研究課題が解決されているか,
・結論は明確か
修士論文,卒業論文の早期完成を目指すとともに,その論文を国際学術雑誌等に掲載することを目標にがんばってください!