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第599回 AI(機械学習)を用い、脳卒中後うつ病の原因を解明

2020.12.04

濱 聖司先生(日比野病院,広島大学脳神経外科,脳・こころ・感性科学研究センター)との共同研究で,MEグループ修了生の吉村 和真君が修士研究として取り組んでいた論文がネイチャー・リサーチ社のScientific Reports誌に掲載され,2020年11月11日に広島大学霞キャンパスにおいて記者発表を行いました.

AI(機械学習)を用い、脳卒中後うつ病の原因を解明
~脳の損傷がストレス適応力の低下を引き起こす
~脳卒中後うつ病早期診断への応用に期待
広島大学ホームページ 2020年11月12日
https://www.hiroshima-u.ac.jp/news/61081

この論文では,
(1) 脳卒中後うつ病を高次脳機能検査結果から高い精度で識別することに成功,
(2) 機械学習の解析結果より,うつ症状,意欲低下(アパシー),不安という3つの気分障害に共通する症状を見出すことに成功したもので,
(3) ストレス脆弱性の高まり,タッピング課題の図形に対する反応性低下,数字に対する反応時間の低下という3つの症状が同時に起こった場合には脳卒中後うつ病発症確率が上がる
ということを世界ではじめて明らかにしました.

掲載論文:
Relationships between Motor and Cognitive functions and Subsequent Post-stroke Mood Disorders Revealed by Machine Learning Analysis
Seiji Hama, Kazumasa Yoshimura, Akiko Yanagawa, Koji Shimonaga, Akira Furui, Zu Soh, Shinya Nishino, Harutoyo Hirano, Shigeto Yamawaki, and Toshio Tsuji
Scientific Reports, volume 10, Article number: 19571, doi.org/10.1038/s41598-020-76429-z, Published online: 11 November 2020. (SCI, IF=3.998)
URL: https://www.nature.com/articles/s41598-020-76429-z
PDF: https://www.nature.com/articles/s41598-020-76429-z.pdf

記者発表には生体システム論研究室を代表して古居 彬先生が参加し,テレビニュースや新聞やネットニュースで取り上げられました.

脳卒中でうつ病リスク AI分析
NHK総合 11月12日

「脳卒中後うつ病」原因をAIで解明
広島ホームテレビ 2020年11月13日

脳卒中後のうつ 原因をAIで分析 広島大学「脳の損傷がストレス適応力を低下」
RCC中国放送 2020年11月19日

うつ症状を高精度識別 広島大がAI診断技術
日刊工業新聞  2020年11月13日
https://www.nikkan.co.jp/articles/view/578277

脳卒中後うつはストレス適応力が低下することが原因?
POST 2020年11月13日
https://1post.jp/5780

脳卒中後うつ病、「抑うつ気分」など識別可能な機械学習モデルを開発
QLife Pro, 医療NEWS 2020年11月16日 PM12:30
http://www.qlifepro.com/news/20201116/stroke.html

今後は,MEグループのM2の田淵元太君やB4の楠 崚斗君が取り組んでいるように,MRI脳画像の利用やニューラルネットをスパース化することにより予測性能を向上するとともに,クラウドコンピューティングを導入し実際の医療現場での診断支援を目指します.