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第593回 第6期ハイパーヒューマンテクノロジープロジェクト研究センター

2020.10.30

広島大学ハイパーヒューマンテクノロジープロジェクト研究センターの継続設置が承認されました.

ハイパーヒューマンテクノロジープロジェクト研究センターは2003年4月1日に設置され,21世紀COEプログラム応募に向けての基盤作りのため第1期(2003-2007年度)の活動を開始しました.その後,広島大学21世紀COEプログラム「超速ハイパーヒューマン技術が開く新世界」(2004-2008年度)が採択され,第2期(2008-2010年度),第3期(2011-2013年度),第4期(2014-2016年度),第5期(2017-2019年度)を経て,第6期(2020-2022年度)の活動に入りました.

https://www.hiroshima-u.ac.jp/prc/center_list
https://www.hiroshima-u.ac.jp/prc/center_list/procen_hyperhumantech

■現在のプロジェクト:

2020-2022年度 広島大学ハイパーヒューマンテクノロジープロジェクト研究センター
・センター長:
辻 敏夫(広島大学大学院先進理工系科学研究科)
・研究実施部局:
広島大学大学院先進理工系科学研究科
広島大学大学院医系科学研究科
広島大学病院

・研究目的:
本プロジェクトセンターでは,人間が有する様々な生体機能を解析・モデル化した上で,人間を超えたセンシング/アクチュエーション技術と人間の脳を超えた制御/情報処理技術を組み合わせたハイパーヒューマン理論/技術の研究開発,ならびにその体系化を目指している.最終的には,人間の能力をはるかに超えた認知・行動能力を実現する様々な形態での人工機械技術の創出を目指し,これまでのエンジニアリングの枠組みを超えた様々な応用,特にメディカル,バイオ,スポーツ,教育,生物分野など,現在も作業の多くが人間の手作業である分野への横断的な応用を目指す.
人間の能力をはるかに超えた認知・行動能力を実現するハイパーヒューマンテクノロジーは,18世紀の産業革命における人間の肉体限界をはるかに超えた蒸気機関,20世紀におけるIT革命における人間の計算能力をはるかに超えたコンピュータの出現により産業構造が変わったように,21世紀の産業構造を大きく変革する可能性がある.その意味で,人間の認知・行動能力の限界が大きな障害となっていた多岐にわたる産業分野において,本プロジェクトセンターから世界に先駆け発信されるハイパーヒューマンテクノロジーは大きな技術変革の起爆剤となる可能性がある.

第6期では,医工連携分野,脳・こころ・感性研究分野を中心に推進していく予定で,以下のような研究課題に取り組んでいきます.

(1) ハイパーヒューマンテクノロジーのメディカル,バイオ,産業応用
・生理的振戦機能を有する新しい5指駆動型筋電義手の開発
・生体信号に基づく新生児モニタリングシステムの開発
・重心動揺/動体視力に基づく障害評価支援システムの開発
・非侵襲的交感神経活動計測システムの開発
・ヒト頸動脈プラークのJellyfish Sign評価システム
(2) ハイパーヒューマンテクノロジーの脳・こころ・感性応用
・血管剛性に基づく脳/自律神経状態の定量評価
・脳卒中患者の高次脳機能・脳画像の関係解析
・疼痛刺激/匂い刺激に伴う人間の主観・機能的脳画像・血管粘弾性の関係解析
・自動車運転適性に関する高次脳機能簡易検査法の開発
・新しい確率モデルを用いたてんかん/睡眠脳波解析
(3) ハイパーヒューマンテクノロジーの実用化研究
・生体信号に基づく新しいヒューマンインタフェース技術の開発
・非侵襲的末梢交感神経活動評価法の開発
・生き物らしさを有する5指駆動型筋電義手の開発
・魚の感情推定技術の構築とヒューマン-フィッシュ・インタフェースの開発

これらの研究課題は本研究室の各グループの研究課題でもあり,本研究室のメンバーが広島大学ハイパーヒューマンテクノロジープロジェクト研究センターの活動に大きくかかわっていることになります.

本センターでは,人間の高度で巧みな認知・行動能力に学びつつ,最終的には人間の能力をはるかに超えた新しい技術の創出を目指して,これまでのエンジニアリングの枠組みを超えた横断的研究を展開していきたいと思っています.
引き続きご支援のほどよろしくお願いします.