2013年から取り組んでいた科学研究費補助金(新学術領域研究)「構成論的発達科学 − 胎児からの発達原理の解明に基づく発達障害のシステム的理解 −」が終了し,2017年11月25,26日に情報通信研究機構 脳情報通信融合研究センターで開催された日本発達神経科学学会第6回学術集会において研究成果報告を行いました.
「構成論的発達科学」は,東京大学の國吉康夫先生を領域代表者とする新学術領域研究で,生体システム論研究室では
・新生児運動非接触計測法とGeneral Movements診断支援システムの開発
・General Movements自動診断技術の確立と胎・乳幼児発達評価システム
(研究代表者:辻 敏夫)
というテーマで研究に取り組みました.日本発達神経科学学会第6回学術集会では,
「マーカーレス動画像解析にもとづく乳幼児発達評価支援システム」
と題して,曽 智先生とともに筋電グループの川嶋 克明君,木下 直樹君,南木 望君たちが取り組んでくれている研究内容を紹介しました.
本研究班の目的は,新生児,乳幼児,就学児のGeneral Movements,歩行運動(ハイハイ,よちよち歩き),視線追跡時の身体動揺などを非接触計測し,運動発達と発達障害の関連性を定量的に明らかにしようというもので,世界で初めての試みです.将来的には,発達障害児もしくはそのハイリスク児を早期にスクリーニングするシステムの開発につなげたいと考えています.
新学術領域研究「構成論的発達科学」は終了しましたが,研究はまだまだ続きます.現在,MEグループでも児の自律神経活動の無拘束計測実験を開始しており,自発運動と自律神経活動に基づいて運動評価とスクリーニングを行うという試みにチャレンジしています.最終的には「構成論的発達科学」という新しい研究分野の確立を目指して,引き続き研究に取り組んでいければと思っています.