2023年もあっという間に1月下旬となり,修士論文の提出締め切りが近づいています.修士論文の作成時や学術雑誌,国際会議への論文投稿時には,論文を英語で執筆することが必要になります.もちろん,自力で英語論文を執筆する能力を身に着けることが大切なのは言うまでもありませんが,とはいえいきなり英語論文を執筆するのはかなりの困難を伴うと思います.
最近,deep learningに基づく優秀な機械翻訳アプリ,英文校正アプリを手軽に利用することが可能になりました.これらのアプリをうまく使いこなせば,結果的に自らの英語能力の向上につながりますし,先生方に英語原稿を提出する前に英文のクオリティをアップすることが可能になります.
すでによく知られているとは思いますが,以下にいくつかのアプリと関連記事を引用しておきます.
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1.機械翻訳アプリ
■DeepL翻訳:科学技術論文に強く,微妙なニュアンスのある翻訳ができるという評価を受けているスタンダードアプリ.有料版も比較的安価に設定されており,また30日間無料(いつでもキャンセル可能)なので,手軽に利用することができそうです.
https://www.deepl.com/ja/translator
・DeepLを使ったPDFやWordベースの自動翻訳プログラムも公開されています.
https://qiita.com/Cartelet/items/9506dfb5776346c570ae?utm_campaign=popular_items&utm_medium=feed&utm_source=popular_items
■Google翻訳:よく知られている機械翻訳アプリ.無料です.
https://translate.google.co.jp/?hl=ja
・Google Scholarを利用すれば,特定の言い回しや単語が他の学術論文で使われているかどうかを手軽にチェックすることができます.Googleの検索演算子やワイルドカードを使えばさまざまな検索が可能です.
https://scholar.google.com/
https://www.siteengine.co.jp/blog/content-marketing/google-search-command/
2.英文作成・校正アプリ
■DeepL Write:DeepLベースの英文校正アプリです.まだβ版ですが,英語(アメリカ)を選べばかなり使えそうです.
https://www.deepl.com/write
・DeepLベースのAI添削アプリもあります.
https://englister.yunomy.com/
■ChatGPT:人間の発話をシミュレートしてユーザと自然なやり取りをするチャットボットのモデルで,最近,マイクロソフトの巨額投資で注目を集めているオープンAIによって開発されました.
https://openai.com/blog/chatgpt/
https://www.btcc.com/ja-JP/academy/crypto-basics/what-is-chatgpt
■Grammarly:優れた自動校正アプリとして有名です.Wordに埋め込むこともできます.
https://app.grammarly.com/
https://www.path-to-success.net/grammarly
■AI校正の比較
https://eibun-hikaku.net/topics/ai_checker.html
3.参考情報
・以下の記事では,DeepLとGrammarlyを利用した英語論文作成法が紹介されています.
https://eanesth.exblog.jp/240618090/
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000090606.html
・英文の要約文を作成するアプリもいろいろ使えそうです.
https://www.ntt.com/shines/posts/b-t_20201111.html
・「最近ものすごく優秀な修士就活生が増えている」
https://togetter.com/li/1758185
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以上をまとめると,
もとの日本語論文の文章作成(自分の研究と流れが似ているような英語論文を参考にしながら執筆&推敲)
⇒DeepLで英文変換
⇒機械翻訳で日本語に戻したときに意味が通じるように元の日本語論文を修正
⇒DeepL WriteやGrammarlyなどで校正
⇒専門用語や言い回しをGoogle Scholarでチェック(日本人しか使っていないような言い回しは避け,native speakerが使用しているような言い回しを使う)
というような流れで作業を進めていけば,(自力で英作文するより)容易に英語論文を作成することが可能です.学術雑誌投稿論文についても,研究室内の英語能力の高い人が最終チェックをすれば,高額の英文校正サービスは不要になりそうです.
もちろん,機械翻訳アプリや英文校正アプリによって提示された英文が適当かどうか判断できるだけの基本的な科学英語力を身に着けていることが必須条件で,そのためには普段からできるだけ多くの英語論文を読んでおくことが大切です.また,英語化よりも研究内容の新規性/独創性を明確にすること,日本語論文のストーリ/文章構成の完成度が高いことなどがはるかに重要であることは言うまでもありませんが,便利なアプリを上手に,そして正しく利用して英語論文の作成を進めるとよいでしょう.