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第656回 非侵襲マイクロニューログラフィ法の創出:血管力学モデルから末梢交感神経活動を復元

2022.06.03

本研究室のMEグループを中心に取り組んできた末梢血管剛性に関する研究が日本学術振興会科学研究費補助金(以下,科研費) 基盤研究(A)に採択されました.

科研費は,人文学,社会科学から自然科学までの全ての分野にわたり,基礎から応用までのあらゆる「学術研究」を格段に発展させることを目的とする「競争的研究費」であり,ピアレビューによる審査を経て独創的・先駆的な研究に対する助成を行うものです.
https://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/03_keikaku/index.html

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2022年度日本学術振興会科学研究費補助金基盤研究 基盤研究(A)(R4~R8年度)
研究課題名「非侵襲マイクロニューログラフィ法の創出:血管力学モデルから末梢交感神経活動を復元」
■研究代表者:辻 敏夫
■研究分担者:曽 智,古居 彬, 吉野 敦雄,岡田 芳幸,岩瀬 敏, 濱 聖司
■配分額(予定):41,730千円 (間接経費を含む)

■研究概要:
交感神経は自律神経の一つであり,様々な臓器や組織の機能調節に関与している.なかでも,末梢の自律神経活動を司る末梢交感神経には,自律神経機能や脳機能の異常/障害に起因する異常信号が現れることが知られており,その計測・評価は臨床上,極めて重要である.しかしながら,末梢交感神経活動の計測においては,無麻酔下で経皮的に微小針を患者の神経束内に刺入するマイクロニューログラフィ法を用いる必要があり,侵襲的かつ熟練した手技を要するため一般の臨床には普及していない.そこで本研究では,世界で初めて非侵襲かつ簡便に末梢交感神経活動を計測可能な新手法の創出を目指す.まず,(1)研究代表者が独自に開発した末梢血管力学特性計測法と生体信号分散分布確率モデルに基づき,非侵襲計測可能な末梢血管剛性から末梢交感神経電気活動を復元する新理論「非侵襲マイクロニューログラフィ法」を確立する.次に,(2)fMRIによる脳活動と末梢交感神経活動の同時計測を行い,疼痛刺激に対する因果ネットワークモデルを同定する.さらに,(3)交感神経機能の計測・評価が困難とされている脳卒中患者を対象とした自律神経機能検査法を新たに開発する.
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-22H00197/
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現在,MEグループで取り組んでいるいくつかの研究テーマを包括するような研究内容になっています.可能な限りスピードアップして研究を進め,最終的には臨床現場で患者さんの役に立つような革新的な技術を確立したいと思っています.
みなさん,どうぞよろしくお願いします.