ニュース

第641回 英語論文の作成

2022.01.21

2022年もあっという間に1月下旬となり,修士論文の提出締め切りが近づいています.修士論文の作成時や学術雑誌,国際会議への論文投稿時には,論文を英語で執筆することが必要になります.もちろん,自力で英語論文を執筆する能力を身に着けることが大切なのは言うまでもありませんが,とはいえいきなり英語論文を執筆するのはかなりの困難を伴うと思います.

最近,deep learningに基づく優秀な機械翻訳アプリを手軽に利用することが可能になりました.これらのアプリをうまく利用すれば,結果的に自らの英語能力の向上につながりますし,先生方に英語原稿を提出する前に英文のクオリティをアップすることが可能になります.

すでによく知られているとは思いますが,以下にいくつかのアプリと関連記事を引用しておきます.

■DeepL:科学技術論文に強く,微妙なニュアンスのある翻訳ができるという評価を受けているスタンダードアプリ.有料版も比較的安価に設定されており,また30日間無料(いつでもキャンセル可能)なので,手軽に利用することができそうです.
https://www.deepl.com/ja/translator

・DeepLを使ったPDF自動翻訳プログラムも公開されています.
https://qiita.com/Cartelet/items/9506dfb5776346c570ae?utm_campaign=popular_items&utm_medium=feed&utm_source=popular_items

・DeepLベースのAI添削アプリもあります.
https://english.yunomy.com/

■Google翻訳:よく知られている機械翻訳アプリ.無料です.
https://translate.google.co.jp/?hl=ja

■Google Scholarを利用すれば,特定の言い回しや単語が他の学術論文で使われているかどうかを手軽にチェックすることができます.Googleの検索演算子やワイルドカードを使えばさまざまな検索が可能です.
https://scholar.google.com/

■Grammarly:優れた自動校正アプリとして有名です.MS Wordに埋め込むこともできます.
https://app.grammarly.com/

・以下の記事では,DeepLとGrammarlyを利用した英語論文作成法が紹介されています.
https://eanesth.exblog.jp/240618090/

・「最近ものすごく優秀な修士就活生が増えている」
https://togetter.com/li/1758185

以上をまとめると,

もとの日本語論文の文章作成(自分の研究と流れが似ているような英語論文を参考にしながら執筆&推敲)
⇒DeepLで英文変換
⇒Google翻訳で日本語に戻したときに意味が通じるように元の日本語論文を修正
⇒Grammarlyで校正
⇒専門用語や言い回しをGoogle Scholarでチェック(日本人しか使っていないような言い回しは避け,native speakerが使用しているような言い回しを使う)

というような流れで作業を進めていけば,(自力で英作文するより)容易に英語論文を作成することが可能です.学術雑誌投稿論文についても,研究室内の英語能力の高い人が最終チェックをすれば,高額の英文校正サービスは不要になりそうです.

もちろん,英語化よりも研究内容の新規性/独創性を明確にすること,日本語論文のストーリ/文章構成の完成度が高いことなどがはるかに重要であることは言うまでもありませんが,便利なアプリを上手に,また正しく利用して英語論文の作成を進めるとよいでしょう.