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第600回 脳梗塞患者のうつ関連症状の脳領域が「右ローランド弁蓋部」であることを発見

2020.12.11

株式会社日立製作所 研究開発グループ基礎研究センタの主管研究長で工学博士・医学博士の神鳥明彦さんらとの共同研究で,MEグループ,筋電グループ,感性ブレイングループが協力して取り組んでいる高次脳機能研究に関する研究論文がネイチャー・リサーチ社のScientific Reports誌に掲載され,2020年11月20日に日立製作所のホームページに研究トピックスとして紹介されました.

脳梗塞患者のうつ関連症状の脳領域が「右ローランド弁蓋部」であることを発見
2020年11月20日 株式会社日立製作所ホームページ
http://www.hitachi.co.jp/rd/news/topics/2020/1120.html

「日立は、広島大学および広島県日比野病院と共同で、脳梗塞後のうつ病発症メカニズムの解明に向け、うつ関連症状の脳領域を推定する技術を開発し、右ローランド弁蓋部がうつに関連する領域であることを初めて見出しました。具体的に開発した技術は、脳梗塞患者の複数のうつ関連指標の類似度により患者グループを分類したデータ駆動型分析と、MRI脳画像を用いた脳損傷解析です。本技術により医師を支援することで、脳梗塞患者は、より適切なケアを受けられるようになることが期待されます。今後、日立は本技術をうつ関連症状だけでなく、脳梗塞患者のさまざまな症状に適用していくことで、病院でのリハビリへの導入を推進し、患者のQoL向上への貢献をめざします。」

脳梗塞患者のうつ関連症状の脳領域が「右ローランド弁蓋部」であることを発見
2020年11月20日 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=-HskAOkYdjw&feature=emb_logo

掲載論文:
Lesions in the Right Rolandic Operculum are Associated with Self-rating Affective and Apathetic Depressive Symptoms for Post-stroke Patients
Stephanie Sutoko, Hirokazu Atsumori, Akiko Obata, Tsukasa Funane, Akihiko Kandori, Koji Shimonaga, Seiji Hama, Shigeto Yamawaki, and Toshio Tsuji
Scientific Reports, volume 10, Article number: 20264, doi.org/10.1038/s41598-020-77136-5, Published online: 20 November 2020. (SCI, IF=3.998)
URL: https://www.nature.com/articles/s41598-020-77136-5
PDF: https://www.nature.com/articles/s41598-020-77136-5.pdf

今後は,脳卒中後うつ病と脳画像,高次脳機能との関係解析を継続するとともに,脳卒中後うつ病発症の予測やクラウドコンピューティングを駆使した医療現場での診断支援を目指します.