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第541回 博士学位への道 (その3)

2019.05.29

前回のコラムでは本学大学院工学研究科システムサイバネティクス専攻の学位審査の詳細について説明しましたが,ごく簡単にまとめてしまえば「博士学位授与の必要条件は博士学位申請基準をクリアすること」にほかなりません.

博士学位申請基準の「学術雑誌等への掲載論文2編+国際会議発表論文1編」というのは,一見,かなり高いハードルのように思えるかもしれません.たしかに他大学や企業から博士課程後期に新たに入学する人にとっては,3年間で上記の研究業績を挙げる必要がありますのでかなりたいへんです.学術雑誌への論文投稿から掲載決定までに要する時間を考えると,3年間で学位を取得するためには実際には2年間あまりで「学術雑誌等への掲載論文2編+国際会議発表論文1編」に対応する3つの研究成果を挙げる必要があります.そこで本研究室では,他大学や企業から入学する人の場合には,できるだけ入学前から研究打ち合わせを開始し,3年間で博士学位を取得するための研究計画を十分に練ってから入学試験を受けるように指導しています.

一方,研究室内から博士課程後期に進学する人にとっては,卒業論文や修士論文を通じてすでに研究を進めており,これらの内容も含めて論文投稿することが可能ですので,B4やM1の時から研究テーマを決めて計画的に取り組めば,博士課程後期を3年間で修了することは十分可能です.実際,博士課程後期を早期修了することもでき,1年半や2年で博士学位を取得した修了生もいます.

また国際会議発表については,一般的には「学術雑誌等への掲載論文」に比べると難易度は低く,会議にもよりますが論文投稿すれば高い確率で採択されることが多いです.英語で研究発表を行う能力さえ身につけていれば,学術雑誌等への掲載論文よりも容易に達成できると思います.

結局,できるだけ早期に学術雑誌等への掲載論文を2編掲載決定にすることを目標にして,しっかりした研究計画を立てておくことが博士学位取得のポイントということになります.
なお,経済面での支援プログラムもいくつか用意されています.次回は,それらのうち代表的なものについて解説します.