2018年1月16日(火)に今年度最後の血管弾性研究会を開催しました.
この研究会は,2001年に広島大学大学院医歯薬保健学研究科 麻酔蘇生学教室の河本昌志先生・佐伯昇先生,日本光電工業の鵜川貞二さん,生体システム論研究室という3つのグループ間の医工連携/産学連携研究としてスタートしました.
血管の硬さの変化をリアルタイムで計測する技術を確立し,交感神経遮断術中の診断支援に応用しようという目的で,当初は半年に1回くらいのペースで研究会を行なっていました.その後,研究が進むにつれて徐々に開催頻度が上がり,最近は年に3~4回のペースで研究会を開催しています.
この間,研究テーマもひろがり,現在は,自律神経活動モニタリング法や自動血圧計を利用した血管内皮機能評価法,痛み計測法の提案とfMRI研究,非観血血圧計測技術と診断支援システムの開発,体表脈波計測技術と体調急変予測法の提案,高次脳機能評価法の開発と気分障害解析といった多くの研究テーマに取り組んでいます.
また,広島大学大学院医歯薬保健学研究科 心臓血管生理医学教室の吉栖正生先生,広島大学原爆放射線医科学研究所の東幸仁先生,広島大学医学部 麻酔蘇生学教室の中村隆治先生,デルタ工業の藤田悦則さん,小倉由美さん,本研究室の卒業生である静岡大学学術院工学領域電気電子工学系列の平野陽豊先生をはじめとする多くの方々をメンバーに迎え,国や県からいくつかの研究助成を受けながら研究活動を続けています.従来の医工連携や産学連携の枠を超え,メンバー同士が助け合いながらチーム一丸となって新たな研究に挑戦しています.
1月16日(火)の第64回血管弾性研究会は,長年,本研究会を支えてくださった鵜川貞二さんの送別会を兼ねた会となりました.鵜川さんは本研究会の創設メンバーの一人であり,平成20年度地域イノベーション創出研究開発事業(一般枠2年)「粘弾性インデックスに基づく血管ストレスモニタリングシステム」のプロジェクトマネージャーを務めていただきました.また,本学博士課程後期に入学後,2012年に「血管内皮機能評価法ezFMDの提案と臨床応用」という博士学位論文をまとめられ,博士(工学)の学位を授与されました.今年3月に日本光電工業を退職され故郷の三重県松坂に戻られることになり,今回が最後の研究会参加となりました.
1月16日(火)は,鵜川さんにパルスオキシメータ開発の歴史に関する講演をしていただくとともに,送別会を開催し,名残惜しいながらも楽しい時間を過ごすことができました.鵜川貞二さんの今後のご健勝とご活躍をお祈りいたします.長い間,ありがとうございました!
血管弾性研究会は,研究室の外から支えてくださる多くの共同研究者の方々のお陰で成立しています.メンバーの方々に感謝しつつ,今後も研究会活動を通じて広島大学における産学連携・医工連携研究を推進していければと思います.