生体システム論研究室では,産業技術総合研究所の福田修先生,県立広島大学の大塚彰先生,有限会社追坂電子機器,有限会社マクロデータをはじめとする共同研究者の方々とともに産学官コンソーシアムを結成し,2000年ころからバリアフリーインタフェース「バイオリモート」の研究に取り組んできました.
バイオリモートはわずかな身体の動きや筋から発生する筋電位信号を利用して身の回りにある家電製品やコンピュータなどのリモートコントロールを実現するバリアフリー生活支援装置で,身体の不自由な障害者や高齢者の方々の生活支援を目的として開発しました(平成13年度即効型地域新生コンソーシアム研究開発事業).
また,バイオリモート技術を応用したロボットインタフェースについては「CHRIS (Cybernetic Human-Robot Interface System)」と命名し,2005年に開催された愛知万博「愛・地球博プロトタイプロボット展」に出展しました(平成16,17年度次世代ロボット実用化プロジェクト プロトタイプ開発支援事業).
現在も筋電グループにおいてPDの島 圭介君,D1の芝軒 太郎君が中心となって研究を継続しています.
このバイオリモート,CHRISの研究開発に協力していただいてる小林勝さんが尾道で一人暮らしを始められ,ご自宅でバイオリモートを使用されています.
小林さんは17歳のときに事故で頸髄損傷となられ,約25年間,自宅で療養生活を送られてきましたが,現在は電動車いすで活発に行動されており,お仕事もなさっています.
研究にも非常に積極的で,時間がかかる実験にも嫌な顔一つせずに協力してくださるだけでなくいろいろなアイデアを自発的に提案してくださり,本当にいつも頭が下がる思いでいっぱいです.
小林さんも我々の研究チームの一員です.https://bsys.hiroshima-u.ac.jp/wordpress/pub/img/article/shinano070626.jpg
小林さんの長年の夢であった一人暮らしを支援するため,M2の草野 洋一君をはじめてするメンバーが県立広島大学理学療法科の大塚研究室のメンバーと協力しながら,バイオリモートの設置と調整,メンテナンスを担当してくれています.
現在は,部屋の照明,テレビ,ラジオ,扇風機などが操作できるようになり,小林さんの夜更かし生活に貢献しています(?).
今後も,バイオリモートのさらなる充実(操作可能機器および使用可能センサの拡充,操作予測機能やヘルスモニタリング機能など新機能の開発)を図るとともに,小林さんの生活がすこしでも便利に,そして自由になるよう活動を続けていければと思います.