第29回バイオメカニズム学術講演会は,2008年10月25日(土),26日(日)の2日間,広島県東広島市において開催されました.
今年度の学術講演会では「工学・医学・生物学・心理学を融合し進化するバイオメカニズム」をテーマとして,バイオメカニズムの基礎/応用研究に加えて,萌芽的な研究や他分野との新たな融合の試みなど,さまざまな新しいトピックスの講演を広く募集しました.
開催地となった東広島市西条町は人口約6万3千人の小都市で交通の便が悪く,また2日目には雨が降るという悪条件下での開催となりましたが,予想を上回る参加者数,発表件数で,活発な学術講演会になったと思います.
最終的な参加者数は217名で,内訳は会員(共催学会を含む)114名,非会員7名,学生96名でした.
特別講演には,東京工業大学大学院総合理工学研究科教授の伊藤宏司先生を講師にお迎えし,「移動知:適応的運動機能の発現とバイオメカニズム」と題してご講演いただきました.
「移動知」は動くことで生じる身体,脳,環境の動的な相互作用によって発現される適応的行動能力のことで,生物学と工学を融合する新しい研究分野として注目を集めています.
伊藤先生には,移動知の概念と科学研究費補助金特定領域研究で実施されている移動知研究の最先端,さらにパラメータ適応/状態適応/文脈適応からなる環境適応モデルについて,実験結果を交えながらわかりやすく紹介していただきました.
「移動知」は新しい概念ですが,バイオメカニズムの研究テーマとしてとらえることもでき,本講演会のテーマを象徴する特別講演であったと思います.