末梢交感神経活動に反応する末梢血管剛性の変化を利用した新たな疼痛評価法を提案した.血管剛性βは,対数線形化末梢血管粘弾性モデルに基づいて一拍ごとの連続血圧およびプレチスモグラムから計算される.実験では,健常被験者に皮膚電気刺激を与えた場合の疼痛強度の評価指標として,正規化血管剛性βnと主観的疼痛評価指標((Numeric rating scale: NRS)を比較することによって提案法の有効性を調べた.実験結果から,正規化血管剛性βnと皮膚刺激電流最大振幅Imaxの間に有意な相関が示された(R2 = 0.77、p <0.05).さらに,皮膚電流最大振幅Imaxと正規化血管剛性βnは,シグモイド関数を介してNRS値と強く相関していた(Imax vs NRS:R2 = 0.91,p <0.01; βn v.s.NRS:R2 = 0.92,p < 0.01).したがって,提案した正規化血管剛性により被験者の疼痛強度を定量的に評価できる可能性が示された.
研究紹介
疼痛評価
関連文献情報
1.対数線形化末梢血管粘弾性モデルに基づく交感神経活動の定量化と皮膚電気刺激に対する客観的疼痛評価への応用松原 裕樹,平野 博大,平野 陽豊,松岡 玄樹, 栗田 雄一,鵜川 貞二,中村 隆治,佐伯 昇, 河本 昌志,吉栖 正生 ,辻 敏夫計測自動制御学会論文集, Vol. 51, No. 9, pp. 627-633, 2015.
2.Assessment of Pain with Mechanical Nociceptive Stimuli by the Change of Arterial Wall Impedance
Abdugheni KUTLUK, Harutoyo HIRANO, Ryuji NAKAMURA, Noboru SAEKI, Masao YOSHIZUMI, Masashi KAWAMOTO, Murat HAMIT, and Toshio TSUJI
The 2012 5th International Conference on BioMedical Engineering and Informatics (BMEI 2012), pp. 315-318, Chongqing, China, October 16-18, 2012.