意識を支える心の諸機能の視覚化:

記憶・言語・注意・身体感覚と脳活動

 

広島大学研究支援金 文・理ジョイントプログラム
(平成14年5月〜平成16年4月)
研究成果報告書

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本報告書は,平成13年度後期広島大学研究支援金「文・理ジョイントプログラム」として採用された,「意識を支える心の諸機能の視覚化:記憶・言語・注意・身体感覚と脳活動」の研究成果報告書です。平成13年度から,広島大学大学院教育学研究科,工学研究科,留学生センターのスタッフが,広島県立身体障害者リハビリテーションセンターと共同で,同機関に設置されたファンクショナルMRI装置を用いて,心や身体の働きを支える脳活動に関する研究を進めていました。本プログラムは,その4名のスタッフが,それぞれの得意分野を生かしつつ,共通の到達目標を設定して研究を進めることを発想し,実現したものです。

「意識」という,脳科学にとって最も扱いにくいテーマを研究タイトルに含めることが無謀であることは,もちろん承知していました。しかし,各スタッフがそれぞれ取り組んでいた記憶,注意,言語,運動機能や身体感覚の補償といった研究テーマを一つの方向に向けるためには最善の目標であると考え,あえて前面に押し出しました。
ファンクショナルMRI実験を中心に,従来から行ってきた心理実験や脳波実験も加えて,心の諸機能がどのように関連しあって意識を生み出しているかを理解すること,現代社会における大問題の一つである“心の病気”を正確に把握すること,脳損傷や四肢切断による機能損失の評価や補償の方法を考案することなどに,少しでも貢献できればと考えて研究を進めました。
2年間という短い期間でしたが,このプロジェクトの研究成果が,今後の“心と脳”研究の発展に寄与することができれば幸いです。

このプロジェクトは,広島県立身体障害者リハビリテーションセンターの全面的協力がなければ,実施することはできませんでした。
片山昭太郎所長,丸石正治先生をはじめ,同センターの多くのスタッフから,課題の考案,ファンクショナルMRIデータの収集,結果の解析など,研究全般にわたって惜しみない助力をいただきました。
最後になりましたが,心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。

平成16年4月
研究代表者 大学院教育学研究科・教授 宮谷 真人


目次

T.研究組織ほか・・・・・・(1)

U.研究成果概要
記憶へのアプローチ
Self-reference process and MPFC activity: A fMRI study ・・・・・・(3)
Nakao, T., Miyatani, M., Maruishi, M., Muranaka, H., & Doujo, H.

言語へのアプローチ
日本語の音韻組立処理を検討するための心理実験法・・・・・・(15)
河原純一郎・玉岡賀津雄・丸石正治・村中博幸

記憶負荷が語彙判断課題時の事象関連電位に及ぼす影響・・・・・・(19)
中尾美月・武澤友広・中尾 敬  

注意へのアプローチ
Does one’s name attract visual attention?・・・・・・(27)
Kawahara, J., & Yamada, Y.

身体感覚へのアプローチ
fMRI環境下での生体情報計測システムの開発・・・・・・(41)
辻 敏夫・田中良幸・丸石正治・村中博幸

学会発表抄録・・・・・・(49)


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