持ち上げ動作アシストにおける振動付与が力知覚変化に与える影響の考察

木吉 達哉 （2024年3月工学部第二類卒業）

空気圧ゲル人工筋（PGM）は軽量かつ柔軟でありながら出力が可変的であるという特徴を持つため，装着時の負担軽減や身体に沿った装着性のあるアシストスーツに活用できる．しかしいくつかの課題もあり，その一つにアシストスーツに対する違和感がある．ここで述べた違和感とは，アシストスーツの実際のアシスト力と使用者が感じるアシスト力との間に差異が生じることである．この差異について，支援ロボットについての先行研究において支援力が想定と異なると患者が感じた際に意欲が低下するという報告もあり，重筋作業者においてもアシスト力の差異が意欲低下につながることが想定される．この差異を解決するために先行研究では視覚提示や振動提示によるアプローチが行われており，特に過小評価の改善について効果が認められている．しかし，これらの研究は腕や手首などの小さな動作でしか検証を行っておらず，持ち上げ動作などの全身運動においては検証がなされていない．従って，実作業時に求められる持ち上げ動作などで，実動作中に制限を受けない振動提示による効果が示されると有用である． 本研究では持ち上げ動作アシストにおける振動付与による力知覚変化の考察を目的とし、アシスト中に振動提示ができる運動アシスト機器を開発し，評価実験を行った．