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インパクトファクター

先日,21世紀COEの成果報告書をまとめるため,研究室で発表した論文が掲載された学術雑誌のインパクトファクター(Impact Factor,以下IFと略記)を調査しました.
IFとは雑誌の重要度や影響度を評価するための指標で,最近,研究者の業績評価によく使用されています.
今日は,田中先生が調査してくれた研究室論文のIFのランキングを発表しましょう.


IFは,その雑誌に掲載された過去2年間の論文の総引用回数を論文数で割った値で,論文1編あたりの平均引用回数です.
つまり,掲載されている論文が多く引用されたということは,その論文誌の重要度が高いというわけです.
アメリカのISI社の引用文献データベースSCI (Science Citation Index: 図書館のホー ムページから利用可能) に基づいた値が標準のインパクトファクターとされています.
電気電子・情報・システム工学の分野ではあまりポピュラーではありませんが,医学や理学の分野では非常に重要な評価基準となっています.
IFの高い論文誌に掲載されれば,出版した論文数が少なくても自分の全論文のIFの総和は高くなり,逆にIFが0の論文誌にいくら掲載されても総和は0のままになってしまいます.


残念ながら,国内の和文の雑誌はほとんどのものが対象外(つまり0点)です.
そこで,2000年以降に発表した学術雑誌論文で国際誌のIFを調べ,そのベスト10をまとめてみました.

論文番号 雑誌名 IF
138 NeuroImage 4.869
110, 146 Exp. Brain. Res. 2.306
140 Biolo. Cybern. 2.142
102, 127 IEEE R&A 2.103
130 IEEE NN 1.666
152 Arti. Int. in Med. 1.124
101, 139 IEEE SMC-Part B 1.02
128 J. Int. Infor. 0.941
126 Motor cont. 0.911
120, 153 IEEE SMC-Part A 0.555

丸石先生や笠井先生の医学系や生物系の論文のIFが, 工学系の論文に比べて高いことがわかりますね.


インパクトファクターの使用には根強い批判もあり,もちろん,これで研究の評価が決まるわけではまったくありません.
しかし,なんらかの基準で評価されることがわかっているのであれば,日ごろからその点を考慮して備えておくことは,戦略としては当然のことでしょう.


研究の世界に限らず,「個人評価」はどの世界においてもごく普通に行われています.
就職の際の面接試験なんかもそうですね.
将来,もし自分がなんらかの評価を受けることがわかっているのであれば,普段から少しずつ準備をしておくことが大切でしょう.
いざというときに慌てても仕方がありませんからね.


2006/02/10