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新学術領域 「構成論的発達科学」

科学研究費補助金(新学術領域研究)「構成論的発達科学−胎児からの発達原理の解明に基づく発達障害のシステム的理解−」の2013年度第1回全体会議が,平成25年5月17日,18日にキャンパスプラザ京都において開催されました.

科学研究費は,文部科学省,日本学術振興会の「競争的研究資金」で,基礎から応用までのあらゆる「学術研究」(研究者の自由な発想に基づく研究)を格段に発展させることを目的としています.
「新学術領域研究」は,既存の研究分野の枠に収まらない新興・融合領域や異分野連携などの意欲的な研究を見い出し,新たな研究領域や革新的・挑戦的な学術研究の発展を促すことを目的として設定された研究種目です.


本研究室では,東京大学の國吉康夫先生を領域代表者とする「構成論的発達科学−胎児からの発達原理の解明に基づく発達障害のシステム的理解 −」に参加し,「新生児運動非接触計測法とGeneral Movements診断支援システムの開発」(研究代表者:辻 敏夫)というテーマで研究に取り組んでいます.
実際に研究に取り組んでいるメンバーは,筋電グループの芝軒 太郎君,右田 涼君,中島 翔太君,岡山大学の中塚 幹也先生,県立広島大学の島谷 康司先生,横浜国立大学の島 圭介先生です.また,イタリアのGaslini病院,ジェノバ大学とも連携して研究を進める予定です.


本研究班の目的は,新生児に生じる自発運動であるGeneral Movements(以下,GMs と略記)を非接触計測し,運動発達と発達障害の関連性を明らかにするとともに,発達障害児もしくはその危険児を早期にスクリーニングする手法を開発することです.具体的には,

 (1)  動画像から新生児のGMsを非接触計測する方法を確立する
 (2)  GMsと自律神経活動の関係性を明らかにし,発達の解明に役立てる
 (3)  GMsを確率的に評価可能な新しい評価インデックスを提案し,発達障
      害児を診断支援するシステムを開発する

という3点に取り組みたいと考えています.

本研究は,GMsと自律神経活動に基づいて運動評価とスクリーニングを行う世界初の試みであり,最終的には構成論的発達科学という新たな学問領域の発展に少しでも寄与できればと思っています.


2013/05/28